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津波禍農地9割復旧 法人経営の安定 課題 東日本大震災から5年半 宮城県

日本農業新聞 9/11(日) 7:00配信

 東日本大震災による津波被害を受けた宮城県で農地の復旧率が9割を超えた。11日で震災から5年半を迎える中、各地で被災農家らが設立した農業法人が営農を始めている。地域の将来を背負う格好で、高齢農家らの農地を引き受け、多くが経営を大規模に広げての再始動となった。その半面、将来の機械、施設の更新には多額の資金が必要になる。農地を守る法人の経営をどう軌道に乗せるかがこれからの課題となってくる。(日影耕造)

 県によると、津波被害を受けて復旧工事が必要となった1万3000ヘクタールに対し、16年5月までに1万1832ヘクタールが復旧し、農家に引き渡した。

 復旧率は91%。2020年度までに全農地の復旧を目指しており、県は「ほぼ予定通りに進んでいる」(農地復興推進室)と説明する。

 仙台市荒浜地区の農事組合法人せんだいあらはまは、復旧農地に建てたハウス10アールで、ミニトマト「アンジェレ」を栽培する。荒浜地区の全農地が被害を受け、当時は水田が壊滅的な状況になった。法人代表の佐藤善一さん(69)は「ようやくここまでたどり着いた」と話す。

 同法人は16年度、水田作92ヘクタールに加えて、野菜40アールを栽培する。いずれも、農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じて借り上げた。

 トラクターなどの農機やハウスは13年度から使い続けている。どれも同時期に導入したため、23年度ごろ一斉に更新を迎える。更新にかかる資金として3500万円程度が必要になる見込みだ。

 法人では機械、施設の更新を見据え、15年度から必要資金の積み立てを開始。現時点で確保しているのは約250万円で、あと7年で残る資金を確保する必要がある。「収益が下がるようなことになれば更新もおぼつかなくなる」と佐藤さんは危機感を強める。米価が今後どう推移するかも不安材料だ。 

 農地バンクの業務を担当するみやぎ農業振興公社によると、バンクを通じた農地集積面積の上位50法人のうち、17法人が津波被災地で震災後に発足した法人だ。県全体の集積の4分の1近い700ヘクタールが集まっている。

 同公社は「地域の農地を一手に引き受けている被災地の法人の経営は、地域農業の行く末を左右する。農地が復旧したら復興が完了するわけではない。農家の努力だけでなくJAや行政の一体的な支援が必要だ」(担い手育成部)と指摘する。

日本農業新聞

最終更新:9/11(日) 7:00

日本農業新聞