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タイムスリップしている気分 「古地図アプリ」で散策してみた 100年前の街つぶさに

西日本新聞 9月11日(日)7時0分配信

 スマートフォンやタブレット端末向けの「古地図アプリ」を、ご存じだろうか? 現在立っている場所にかつて何があったのか、衛星利用測位システム(GPS)の位置情報を利用し、今昔の地図画面を比べながら街の変遷を体感できる。約100年前の官営八幡製鉄所(現在の北九州市八幡東区)周辺の古地図を収録したアプリをダウンロードし、八幡散策に出かけた。

 使ったのは、ATR Creative(京都府精華町)が提供している無料アプリ「こちずぶらり」。メニュー画面の「新着/おすすめ地図」を開くと、1917(大正6)年と22年にそれぞれ作られた「八幡市地図」2種類がある。いずれも国際日本文化研究センター(京都市)所蔵で、17年分は「市制記念」と銘打たれ、当時の八幡駅発の汽車時刻表付きだ。

 昔は製鉄所構内だったイオンモール八幡東(同区東田3丁目)敷地内でアプリを開いた。現在地は、古地図で「硫酸」「耐火煉瓦(れんが)」と記された建物があるエリアだ。画面右下にあるボタンを押すと、現在の地図に切り替わる。新旧の画面と、目の前の店舗を交互に見ていると、タイムスリップしている気分になった。

「わずか5年で街が激変」

 八幡市制が施行された17年当時の製鉄所は、創業(01年)期の試行錯誤を経て、第1次世界大戦(14~18年)による好景気で沸いていた。創業時に年産数万トンだった鋼材生産量も10倍超に増え、所内も街も爆発的な発展中だった。

 こちずぶらりは2011年に初公開。製鉄所を含む「明治日本の産業革命遺産」が昨年7月、世界文化遺産に登録されたのを受け「(世界遺産構成施設がある)大牟田や長崎も含めて古地図を探し回り、3カ月後に更新版を出した」(ATR社)。ちなみに八幡市地図を2種類アップしたのは「わずか5年で街が激変しており興味深かった。急きょ、二つとも出そうとなった」(同)からだという。

「ポケモンGO」だけではもったいない

 1世紀前の北九州地域は八幡だけでなく、それぞれの街の骨格が整っていった時期だ。ATR社に「小倉や門司にも面白い古地図が…」と水を向けたら、わずか2時間後に「年度内には(小倉と門司分も)何とかなりそうです」(同社)と、うれしい返事が来た。

 テレビ番組でも人気の街歩き。位置情報を使う地図アプリでは古地図以外にも、現在地の標高が分かるものや、3D(立体)風に地形を表示するものなど、多彩な製品が登場している。そんなデジタル版の活況を受けてか、書店にもユニークな地図本が並ぶ。位置情報利用アプリでは「ポケモンGO(ゴー)」などゲーム人気が突出しているが、それだけではもったいない。地図を手に、街を歩いてみよう。

西日本新聞社

最終更新:9月11日(日)7時0分

西日本新聞