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小学一年のための読書感想文の書き方・その3 一枚を三枚にする方法

ニュースソクラ 9月11日(日)12時20分配信

【いま大人が子供にできること(19)】実践編『ナルニア国ものがたり』で書いてみる

 感想文の書きかたの最後は「三枚ほど書くにはどうしたら?」です。

 高学年なら三枚書ければとりあえずオーライでしょう。
 今回書いてるのは賞をとるやりかたではなくて、書けなくて苦しんでいる子どもが、楽に書けるようになるだけの方法なので、そこんとこ誤解されませんように……。

 これは初級の基本のやりかたで、まだテクニックは使いません。
 つまり、25メートル泳げるようになる方法で、まだ早く、美しく泳げるわけではないってことですね。

 この話は知り合いのお子さん(五年生男子)が読書感想文を書くんだ、といって『ナルニア国ものがたり』(岩波書店)の一冊を借りてきたところから始まりました(実話です)。

 「ええっ?ナルニア?」と私は思いました。
 勉強は普通にできるお子さんですが『ナルニア』はかなりの物語好きじゃない人にはきついんじゃないかなぁ……。

 と思っていたら、次にいったときに「読めなかった……」と途方にくれていたのです。
 で、「30分くれたら書き方を説明してやってもいいが、聴く?」ときいたところ、「30分ね!」といって目覚まし時計を持ってきました(笑)。

 そこで、30分で話したのが次のやりかたです。

(1)400字づめ原稿用紙を六枚用意する。三枚セットで二組ね。一組は三行ずつ赤ペンで囲う(残りは清書用です)。

 文章を書くのが苦手な人は白紙三枚を見ると果てしなく遠く感じます。

 三枚で20のブロックなら、そのブロックを一つずつ撃破していけばいいわけですから少しは気が楽になるでしょう。

 それと、三行は20×3で60字……。
 いまの六年生の学力テストには必ず、○文字で書きなさい、が出題されるし、社会人になってもA4一枚でまとめなさい、というような要求をされるわけですから、日本語でこれくらいのことをいったらだいたいどのくらいの分量になるか、は知っておいたほうがいいのです。

(2)一番目のブロックには、題名と自分の名前を書く。
 なかには、それは欄外に、という学校もあるので、もしそういうのがあれば学校に従ってください。

(3)なぜその本を読もうと思ったのか、という「動機」を書く。

 たとえば……
 ”□読書感想文を書かなくてはいけなくなったので、母と駅前の本屋に本を買いに行きました。すると「耳の聞こえない子が渡ります」という本が目に飛び込んできました。□ぼくは、耳の聞こえない子がどうやって道を渡るのだろうと不思議に思ったので答えを知りたくなり、母にその本を買ってもらいました。”
――のように。

 ちなみに、これは、やりかたを教えたあと、その男の子が実際に書いた文章です。名文、というわけではないですが、なぜ読もうと思ったのかは伝わりますよね?

 さあ、これで八行です。まだ一ページも読んでないのに、まるまる二ブロック分、400字づめ原稿用紙の三分の二は書けました。

(4)次は開けて読み始めます。

 物語の始めは必ず設定です。どこの国のいつの話で主人公は誰でいま何してて……というような。
 それを一行とか二行で書きます。

 なぜかというと、その文章を読んでくれる人はおそらくその本を読んでいないからです。あらすじがなければ意味がわからないでしょう。

 でも一冊分を要約するのは難しい。だからこの本の舞台はこうです、だけをまず説明するのです。

(5)それに対する感想を書く。

(6)また少し読む。
 あらすじを書く。

(7)そのあらすじの感想を書く。

(8)このあらすじ+感想のセットを二枚目のまん中くらいまでやる……。

(9)そのへんまでいったら話を変えます。
 起承転結の、転、のとこです。

 変えかたは色々ありますが一番簡単なのは自分と比べることです。具体的なエピソードを二つか三つ探します。

(10)もうここら辺は三枚目です。最後にまとめますが、このまとめは「動機」を受けないといけません。

 今回の場合は「どうやって道を渡るのだろう?」ですから「どうやって渡るのかわかった!?」になればいいわけです。

 (1)から(10)までの流れを、簡単にまとめると……
題名
動機
あらすじ+感想
自分と比べる
動機を受けて結論を書く
――です。

 ここまで説明したところで、30分たったよ、といわれました。きっちり30分たってました(笑)。

 「ええっ? ホントかよ?」とお思いになるかもしれませんがやってみて!
 書けるから……。

 そう、もうみなさんおきづきだと思いますが、これは構成を説明しているのです。
 このやりかたの最大の欠点は、ご本人が面白くないと面白い原稿にならない、ということです。
 感性はいじってはいけない……、けれどもテクニックは教えなければならない……なのです。

 でも、人が教えるよ、といったら目の前に目覚まし時計を置いたので、大丈夫だろうと思いました。
 じゅうぶん、ユニークです。
 できあがった感想文は、生まれてはじめて花丸をもらったそうです。
 よかった!

 あ、最後に誤字脱字がないか、動機とまとめがあっているかどうかのチェックをします。
 OKだったら清書します。

 人に読んでもらうために書くのでしたら、読めるように書かなくてはなりません。
 本当はちゃんと書道を習って上手に書けるようになったほうがいいのですが、あしたまでに書かなくちゃ、というときには今日の紙芝居『ブタノ教授、が教える文字のかきかた』(埼玉福祉会)を見てください。
 三分で読めます。
 とりあえずそこそこ人にも読める文字になるはずです。

 最後に読む本の選び方――
(1)本人が最後まで読める本にする(物語は結末がわからないと書けないです)
(2)だから、本人がどうしても、というなら別ですが、名作は避ける。読みにくいですから。
(3)ドラマチックな本のほうが書きやすい

 そこそこ書けるようになると楽しくなり、たくさん書きます。
 そうすると、もっとうまくなりたい、という欲求も生まれてきます。
 本を見たときにも興味をもって見るようになるので、読書量も増えます。
 そうやってたくさん読むと、文体のレパートリーが増えるので、またまたうまく書けるようになります。

 そうしたら次の、美しい無理のないフォームで泳ぐ、的なレベルのテクニックにいけるのですが、小学生ならここまでできれば困らないと思います。

 手伝ってやってね。

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。著書多数。

最終更新:9月11日(日)12時20分

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