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月面で岩石から酸素を生成 有人活動見据え研究、実証実験

福井新聞ONLINE 9月11日(日)15時31分配信

 若狭湾エネルギー研究センター(福井県敦賀市)は今年度、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと共同で、月面の砂や岩石を高熱で溶かして酸素をつくり出す装置開発の研究に取り組んでいる。将来の月での有人活動を見据え、人に必要な酸素を月の資源を使って現地調達するのが目標。同センターにある「太陽炉」を使い、実証実験を今月中に始める。

 同センターは、JAXAが宇宙探査の技術革新のため民間企業や大学を支援し共同研究を進める「太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ」事業に応募し、今年1月に採択された。

 月面にある岩石や砂の鉱物には酸化鉄などが含まれる。開発を目指す装置は、還元剤の水素ガスを送りながら鉱物を加熱し、化学反応や電気分解で水と酸素をつくる仕組み。このシステムを検討する上で、同センターが開発した太陽炉の技術を利用できる可能性があるとして共同研究を進めている。

 同センターの屋外にある太陽炉は2007年に整備。3・3メートル四方の特殊なレンズを持ち、虫眼鏡で太陽光を集める原理で対象物に照射する。光が集まる直径3センチの集光部の装置内では最高2千度程度の高熱が発生し、厚さ10ミリの鋼板を溶かして穴を開ける威力がある。

 同センターの担当者によると、月面で鉱物から酸素を生み出す装置に太陽炉を使うと▽宇宙空間のエネルギー源として太陽光が取りやすい▽特殊レンズに耐久性があり、装置構造も単純で容易に組み立てられる―などの利点があるという。

 月内に始める実証実験では、太陽炉の集光部の装置に水素ガスを送る配管を設置。装置内に月の鉱物と同じ酸化物が含まれる模擬の砂を入れ、高熱で照射し水蒸気がどのくらい発生するかなどを調べる。10月まで好天の日を選んで実験する。

 さらに、共同研究相手の九州大が電気炉を使って水素ガスの量や加熱温度の最適な条件を調べる実験をしており、その結果を踏まえ、太陽炉を改良して来年2~3月に本格的な実験を行う予定。

 同センターの担当者は「良い実験データを取り、ゆくゆくは月面で実際に太陽炉を基にした装置を使って酸素を生み出せるかを調べたい。30~40年先といわれる本格的な月面活動には酸素が必要。そのための準備として頑張りたい」と夢を描いている。

福井新聞社

最終更新:9月11日(日)15時31分

福井新聞ONLINE