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「新幹線の聖地」に初代0系のスカートを使ったオブジェ その目的は

乗りものニュース 9/11(日) 16:34配信

先頭車両の下部にある「スカート」を使い

 1964(昭和39)年に、日本の高速鉄道「新幹線」が誕生して半世紀。その初期から「全般検査」という、鉄道車両の法定検査でもっとも大掛かりな、あえてクルマにたとえるならば「車検」に相当する検査を担い続けてきた場所があります。現・JR東海の浜松工場(静岡県浜松市)です。その安全を守り続けてきた「新幹線の聖地」のひとつ、といえるかもしれません。

【写真】浜松工場で空を飛ぶ「ドクターイエロー」

 この「新幹線の聖地」で、2008(平成20)年に全車両が引退した初代新幹線車両の0系が、いまなお「新幹線の安全」を見守っています。

 0系の先頭車両下部にある、「排障器」または「スカート」と呼ばれる部品を用いたオブジェです。浜松工場の創立70周年と、1983(昭和58)年4月に落成した通用門の開門を記念し、建立されたもので、もちろん本物の0系の部品が使用されています。JR東海によると、0系のうち、1982(昭和57)年11月1日に廃車になったH40という編成の、1号車と16号車から取り外されたものだそうです。

「排障器」は文字通り、線路上の障害物を脇へ排除することなどを目的とした部品です。

 さてこのオブジェ、ふたつの排障器を使い「X」字状になっていますが、そこにはデザイン性以外の、ある大切なことが表現されています。

交差するスカート、それが意味するもの

 この、ふたつの排障器を交差させる形で作られたオブジェは、浜松工場の“基本”という「ダブルチェック」のシンボルマークとして製作されました。国鉄時代に製作されたものですが、それが分割民営化されJR東海になったいまも、同社にとって「ダブルチェック」は検査に対する基本姿勢だそうです。

 全車両が引退したいまも、新幹線にとって重要な「安全」を見守っている、この0系の部品を使ったオブジェ。浜松工場の敷地内にあるため、間近で見ることはできません。ただ、年に1回(2日間)の浜松工場一般公開イベント「新幹線なるほど発見デー」では、じっくりと見学できます。

 そして、2016年の「新幹線なるほど発見デー」はすでに終わってしまいましたが、今年はまだ、工場の敷地内へ入って見学できる機会があります。

 浜松工場では新幹線車両の全般検査を、クレーンで車体をつり上げ、空中を移動させる形で実施。新幹線の全般検査は福岡県などほかの場所でも行われていますが、そのように「新幹線が空を飛ぶ」姿を見られる検査施設は、ここしかありません。

 しかし検査方法の変更にともない、まもなくこの「空飛ぶ新幹線」は見納めになるため、JR東海は2016年9月18日(日)と19日(月・祝)、浜松工場で「さよなら 車体上げ・載せ作業実演」を開催。このとき、浜松工場の内部へ入ることが可能です。

「さよなら 車体上げ・載せ作業実演」イベントは入場無料で、当日は700系新幹線の部品販売なども行われるほか、浜松駅付近から工場まで無料シャトルバスも運行されます。

恵 知仁(鉄道ライター)

最終更新:9/11(日) 16:57

乗りものニュース