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巨人2年連続V逸 敗因と今後の暗黒時代をOB2人が多角解説

日刊ゲンダイDIGITAL 9月12日(月)9時26分配信

 巨人の2年連続V逸だ。広島に14ゲームもの大差をつけられる歴史的大敗である。

 巨人は8月に一時4・5ゲーム差まで広島に迫ったものの、早々とペナントレースの灯を消してしまった。巨人などで投手コーチを歴任したOBの高橋善正氏(評論家)は「数打ちゃ当たる方式の外国人補強は今年も当たらなかった」とこう嘆く。

「今年も10人以上も在籍させた揚げ句(総勢13人)、ほとんど誰も期待通りの活躍をしてくれなかった。一年を通じて戦力になったのは、セットアッパーのマシソンくらいのもの。開幕4番のギャレットだって今は6番。年俸3億円で元ヤンキースの大物ということで楽しみにしていたが、打率・262、22本塁打、56打点では期待外れと言わざるを得ない。ロッテから獲得したクルーズはケガでほとんど一軍にいなかった。渡辺さん(主筆)も『由伸(高橋監督)の責任じゃない。フロントだ。補強してないんだから』と言っていたが、積極的に補強はした。でもダメだったということ。対照的に広島は昔から外国人選手の獲得がうまい。先発のジョンソンや中継ぎのジャクソンなどがしっかり機能した。広島との大きな差は、フロントの外国人補強力といえます」

■代走のスペシャリストに「走るな」

 現場では原前監督からバトンを受けた高橋由伸監督(41)の目指す野球も見えなかった。前出の高橋氏が続ける。

「オーソドックスといえば聞こえはいいが、何もしていないようにも映った。特に貧打にあえいでいた前半戦、ベンチはほとんど動かずに選手任せの野球に終始した。そして、主砲の阿部が復帰して4番に座った夏場に勝ち始めた。要するに、主力が打てば勝つし、打たなきゃ負ける。これでは監督がいる意味がない。打てない時に何をするかが監督の仕事ですから」

 代走のスペシャリストの鈴木がなぜかスタートを切らなかったのも、巨人ベンチで話題になったという。今でこそ、その数は「8」だが、7月に入る頃までわずか2盗塁。自由に走っていいという「グリーンライト」が出ている鈴木によると、「走れ」どころか、「走るな」のサインが出ることが度々あったというのだ。この時、高橋監督が出したサインは、送りバントだったり、そのまま強行させて併殺打に終わったこともある。巨人の某中堅選手は「監督1年目ということもあってリスクを冒したくなかったんでしょう。でも尚広さんを代走で出しておいて、送りバントはずっこけますよ。みんな『尚広さんは何で走らないんだろう』ってベンチでヤキモキしていました」と証言。高橋氏がこう憤慨する。

「サインが送りバントなら、他球団が恐れる鈴木という切り札を出す意味が全くない。他の選手でもいいわけです。無死一塁を盗塁によって無死二塁にできるのが鈴木の強み。宝の持ち腐れですよ。よく走る広島はリーグダントツの盗塁数(109)。対照的に巨人は走らない(56盗塁で同4位タイ)。広島の半分ですから。かつてのように本塁打で圧倒できず、長打力が落ちているのに足も使えない。昨季まで2年連続でリーグトップの盗塁数を誇っていたが今季は激減。走らない鈴木に象徴される『各駅停車野球』では、得点力がリーグ最下位なのも当然です」

■前も後ろも不安

 得点力不足は言うまでもないが、投手陣も暗黒時代到来を予感させる。元巨人投手コーチの中村稔氏はこう見る。

「エースの菅野と抑えの沢村の主力投手2人に物申したい。菅野は球数が多すぎる。六回くらいで100球に到達してしまうことが多いでしょう。今の投手全体に言えることだが、フォーク、スプリット、チェンジアップ、ツーシーム……と変化球をコネくり回しすぎる。縫い目に指をしっかりかけて手元でピュッと伸びる直球を追求していないからです。沢村もそう。与四球や被本塁打のイメージがあって見ていて怖いですね。セーブの数はトップとはいえ、防御率は2・22。4・5ゲーム差に詰め寄って迎えた広島との直接対決(8月7日)の九回2死から同点本塁打を浴びたように、絶対的な存在にはなっていない。細かい制球力がないこと、精神面の問題もあるでしょう。球速は速くても球に伸びがないから打たれるんです」

 先発投手も足りていないと中村氏が続ける。

「今でこそマイコラス、内海、大竹が加わっているが、一年を通じてローテーションを守っているのは、菅野と田口の2人だけ。リリーフ陣も長年の功労者でもある山口が勝ちパターンから外れているのも大きい。つまり、前も後ろも不安なんです。近年の巨人は打てなくても投手力でもっていた。チーム防御率は3.41でリーグ2位と目立ちませんが、もう一度原点に返らないと、投手陣を立て直すには何年もかかりますよ」

 巨人の罪は重い。

最終更新:9月12日(月)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL

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