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マー「帝国の逆襲」主役に 8回途中1失点で米自己最多タイ13勝

スポニチアネックス 9月12日(月)7時0分配信

 ◇ア・リーグ ヤンキース5―1レイズ(2016年9月10日 ニューヨーク)

 ヤンキースの田中将大投手(27)は10日(日本時間11日)、レイズ戦に先発し、7回1/3を1失点で13勝目を挙げた。14年の自己最多に並ぶ勝ち星で、自身6連勝も同年の自己最長に並んだ。2桁10奪三振は今季初。チームを今季初の7連勝に導き、今季最多の貯金11とした。プレーオフ進出圏内のワイルドカード2位と1ゲーム差。最大9・5あった地区首位とのゲーム差も、現首位のレッドソックスに3差と迫り、奇跡の逆転ポストシーズン進出が現実味を増した。

 勝てる投手。田中が真骨頂を見せたのは、0―0で迎えた6回だった。2球で1死三塁のピンチを招くと、体内をアドレナリンが駆け巡る。

 「あの回は一番大きかった。あのピンチで、相手が点を取れる可能性が高かった回で、6球で終わった。その裏に点も入ったし、試合の流れを大きく変えたと思います」

 メジャーで魔球と称される90マイル(約145キロ)の高速スプリットを連発した。3番ロンゴリアを浅い右直。4番ミラーは一ゴロに斬った。失点必至の窮地をしのぎ、わずか6球でこの回を終わらせた。直後に味方が3点を先制。均衡状態の中、エースが示した強烈すぎるアクセントだった。

 「(チームの)連勝が続いていたので自分も続いていこうと。スプリットが一番良かった」。13勝目で、自身6連勝。いずれもメジャー1年目の14年に残した自己記録に並んだ。「チームが22勝しているからいいです」。とっさに出た短い言葉に、矜持(きょうじ)がにじんだ。今季29試合に先発し、チームは22勝7敗。自身の白星より、試合の勝敗を何よりも重んじる。チームを今季初の7連勝に導き、貯金11で地区首位のレッドソックスには3ゲーム差だ。あと1ゲーム差のワイルドカードでのプレーオフ進出どころか、地区優勝さえも射程圏内に捉えた。

 「喜べるものは何もない」。そう言い放ったのは前回7回途中2失点で12勝目を挙げた5日のブルージェイズ戦後だった。始動の独特な大きく外回しの左足の上げ方から丹念に反復した。「始動からが大事。制球できないのは球を離すところだけとかじゃない。始動が良ければ、その後がいい形でつながっていく」。修正の感覚が合致したのは試合開始直前だった。「試合前のキャッチボールです。もうちょっとこうかな、とプラスアルファで変えた」。重視したのは左足を上げた後に「最も力強く」腕を振り切るための全体のバランス。どこまでも繊細な調律。開始数分前までもがき、つかんだ。そして今季初の2桁10三振を奪った。

 防御率3・04はリーグ3位へ浮上。米メディアでは最優秀投手賞にあたるサイ・ヤング賞の候補の一人に挙げている。主力を大量放出し「落日の帝国」とさえ言われた。それが今やどうだ。若手主体で、全米を驚かす「帝国の逆襲」。その中心に、1カ月以上勝ち続ける27歳のエースの姿がある。(後藤 茂樹)

最終更新:9月12日(月)13時6分

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