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バイオマス産業を2025年に5000億円へ、発電と熱利用で経済価値を拡大

スマートジャパン 9/12(月) 11:25配信

 「バイオマス活用推進基本計画」は農山村の活性化や地球温暖化の防止を目的に、国の方針をまとめたものだ。2010年12月に閣議決定してスタートした。5年ごとに計画を見直すことが法律で定められているため、農林水産省は2016年内に内容を改定して新たな政策を開始する。

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 現在の基本計画では2020年のバイオマス利用量や産業規模を目標に設定していたが、改定案では2025年に再設定した。利用量は炭素換算で2600トン、産業規模は5000億円のまま据え置く。バイオマスの発生量が減少していく中で、利用率を高めて目標達成を目指す。

 発生量の9割を占める廃棄物系のバイオマスでは家畜の排せつ物と下水汚泥が多く、特に下水汚泥は発生量の37%が未利用の状態にある。このほかに食品廃棄物の利用率も低く、下水汚泥と合わせて今後の利用拡大が課題になっている。一方で未利用系のバイオマスでは林地残材の利用率が9%にとどまっていることから、電力や熱などのエネルギー源として活用する方策を広げていく方針だ。

 農林水産省の推計によると、現時点でバイオマス産業の市場規模は約3500億円ある。このうち半分の1700億円強をバイオマス発電が占めている。発電用の燃料になる木質チップの市場規模も1000億円を超えた。これに対してバイオエタノールやバイオディーゼルが目標を大きく下回っている。

バイオガスで電力と熱の両方を供給

 新たな基本計画では発電に偏っている利用状況を改善するため、バイオマスを熱に転換して利用できる設備の導入と技術の確立に注力する方針だ。特にエネルギー効率の高いバイオガスの生産量を増やして、電力と熱の両方を供給できるコージェネレーション(熱電併給)型の設備を拡大していく。バイオガスは家畜の排せつ物をはじめ廃棄物系のバイオマスをメタン発酵させて製造できる。

 未利用系のバイオマスでは木材の多段階活用を推進する。林地残材に加えて製材端材を木質チップや木質ペレットに加工したうえで、木質ボードや紙製品、電力と熱を生成する燃料としても利用していく。最近は全国に木質バイオマス発電プロジェクトが広がり、林地残材や製材端材をチップに加工して利用する取り組みが増えてきた。

 木質バイオマス発電は2012年7月に開始した固定価格買取制度を機に急速に拡大している。林地残材を含む間伐材由来の木質バイオマスと製材端材などの一般木質バイオマスを合わせると、固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模は累計で288万kW(キロワット)に達した。大型の原子力発電3基分に匹敵する。

 認定を受けた木質バイオマス発電設備のうち、2016年2月までに全国の54カ所で運転を開始している。一方でバイオガス(メタン発酵ガス)を利用する発電設備も91カ所で運転中だ。

 バイオガス発電では熱も供給できる設備が一般的になっている。さらに木質バイオマスでもガスを発生させて電力と熱を供給できるシステムを導入するケースが増え始めた。新しい基本計画のもとでバイオマスの熱利用が拡大していく見込みだ。

最終更新:9/12(月) 11:25

スマートジャパン