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「セフィロスの人」漫画家・やしろあずきは何者か 母親とともに黒歴史を掘り起こしてみた

ねとらぼ 9月12日(月)12時10分配信

 ファイナルファンタジーVII(FF7)の人気キャラ「セフィロス」のフィギュアを使ったおもしろ動画(※)が話題となり、「セフィロスの人」と呼ばれるようになった漫画家、やしろあずき先生をキミは知っているだろうか。

【取材現場に現れたやしろあずき先生】

※FF7に登場するセフィロスのフィギュアを手に、「私はセフィロスだ! ピシューンピシューン!」と遊んでいたところ、母親に見つかってしまうという赤面必至な動画。Vineのリアルタイムランキングで一時、世界1位となる。この動画が原因で、やしろ先生は「セフィロスの人」と呼ばれることになる。

 「セフィロスの人」という名前が先行しすぎて、漫画家というよりもTwitter芸人として認識されがちだが、4コマ配信サービス「つぶやきGANMA!」で週6連載している「日常バグ報告」は、自身の中二病時代やゲームプランナーとして働いていた社畜時代の話をフィクションを織り交ぜながら描き、若者を中心に人気を集めている。

 その「日常バグ報告」の単行本が、9月12日に発売決定。ねとらぼでは、単行本発売で舞い上がっているやしろ先生に取材を敢行した。漫画を描き始めたころの話から、中二病に侵された中学時代、これまで語られてこなかったセフィロスとの出会いなど、やしろ先生ファン必見の内容になっている。ちなみに、インタビュー中にちょっとしたサプライズを用意してみたのだが、やしろ先生は喜んでくれただろうか。

●漫画家・やしろあずき現る

―― 漫画家らしからぬ登場ありがとうございます。ひとまず座っていただき、単行本発売の率直な感想を聞かせてください。

やしろ: ついに出てしまったか、という思いです。

―― 「つぶやきGANMA!」での連載は、どのように始まったんですか?

やしろ: いまの担当編集さんから「うちで連載しないか」ってメールが来て、会社に行ってお話して決まった感じですね。その前にも別の漫画で某出版社から単行本化の話を持ちかけられてたんですけど、担当が姿をくらまして出版できなくなりまして。

―― なにそれ、そっちの話も気になる。今日は刷り上った「日常バグ報告」をお持ちいただきましたが、せっかくなので先生から内容の説明をお願いします。

やしろ: 一言で言えば“カオス”ですね。子どものときの黒歴史から、中二病の話、社畜の話、なにかに特化しているわけではないですけど、大人だったら全てを経験しているような内容になってます。あと、黒歴史が詰まった「ダークノート」も公開されてますけど、これは見なくていいです。

―― 週6連載ですけど、ネタに困ったりしないですか?

やしろ: ないですね。昔あった面白いこととかノートにまとめてたりしますし。でも、原稿はめっちゃ遅れてます。担当さんがLINEでだんだん片言になるんですよ、「原稿マダデスカ」って(担当編集さんをチラッと見る)。

担当編集(千葉夏紀さん): (無言の圧力)

やしろ: は、はやく帰って原稿ヤリタイナー。

―― (主従関係ができてる……)た、単行本化にあたって修正とかありましたか?

やしろ: 丸々描き直すとかはなかったですけど、多少ブラッシュアップはしました。描き下ろしも11ページぐらいありますよ。あと、表紙裏にも遊びがあるので買った人には見てもらいたいですね。表紙は時間かかったんですけど、そこは一発OKでした。

●中二病を経て社畜生活へ

―― ちょっと先生の過去を掘り下げてみたいと思います。まず、漫画を最初に描いたのっていつごろからなんですか。

やしろ: 落書き程度のものだったら、小学生のころに学級新聞に4コマを描いたりしていましたね。本当にしょうもない内容なんだけど、皆読んで笑ってくれて。ただ、そのころ「絶対漫画家になるんだ」みたいな思いはありませんでした。楽しそうだなとは思ってましたけど。

―― ほかに夢があった?

やしろ: いや、どうだろ、中学時代は無職になりたいと公言してましたけど……。あー、でもゲームを作る人になりたいというのは言ってましたね。

―― それがゲームプランナーの仕事につながってくるわけですね。

やしろ: なれたのはたまたまなんですけどね、特に専門的な勉強をしたわけでもないし。

―― でも、その後会社をやめてしまう。

やしろ: 同人誌の原稿落としそうになったんですよね。両立は難しかったです。でも、社内で花火したり、普通の企業に勤めてたら絶対経験できないようなことを結構やれたので、漫画にすると笑って読んでくれますね。定時で帰りたいという意志を貫いた結果、いろんなネタも生まれましたし。

―― 辞めてよかったと思いますか?

やしろ: 本当によかったですよ。朝起きて会社に行くの苦手なんで。親にも言われましたもん、「あんたは会社員に向いてないんだろうね」って。裁量労働制って言葉が世界一嫌いなんで、滅べばいいと思ってます。

●セフィロスとあの人が登場

―― さあ、ではここからは、やしろ先生と切っても切れない関係になっているセフィロスについて話を聞いていきます。今日は実物を持ってきていただいたということで。

やしろ: はい、バッグに入れてきました。

―― こ、これがあのセフィロス……。なんだか、こうやって本物を目の前にすると重要文化財みたいなオーラが漂って……って、なにやってんですか。

やしろ: いや、自立するんですよこいつ。あ、ジョジョ立ちっぽい。

―― (めっちゃいきいきしてる……)では、気を取り直して。やしろ先生とセフィロスの出会いから教えていただけますか。

やしろ: 小学生のころに近くにブックオフのぱくりみたいな中古屋があったんですけど、そこで3000円で売られていたんですよ。当時はFF7をやったことなくて何のキャラクターなのかも分からなかったんですけど、「なんだこいつかっけー」って思って。

―― 中二病発症しかけてる。

やしろ: でも買ったはいいけど、どう遊べばいいか分かんないし、なんかめっちゃ間接とか動くし気持ちわりいってなって置きっぱなしにしていたんです。それが、社会人になったころに何かのきっかけで出てきて、部屋に飾ったのかな。特に、「こ、こいつは!」って運命的な感じでもなくて、ただただ偶然に。もしかしたら、これがガンダムだったりジョジョだったりした可能性もありますね。それがまさかあんなことになるとは。

―― 「セフィロスの人」とか呼ばれちゃってますけど。

やしろ: 俺はいいんですけど、スクエニさんに怒られそうですね。今度、FF7のリメイク版がでますけど、なにかしらやらなきゃっていう義務感みたいなものはありますね。なにかするんで楽しみにしていてください。

―― 期待しかないです。それと、「アキネイター」にもやしろ先生のことが登録されていますよね。「セフィロスで遊んでいますか」って質問されました。

やしろ: あー、そうらしいですね。いまはやしろあずき(漫画家)ってなってますけど、最初そこが芸人だったんですよ。ふざけんなよと思って、自分で「漫画家、漫画家」って繰り返し入力したら漫画家になりましたけど。いや、もうTwitter芸人なので間違ってはいないですけどね。

―― そこは認めるんだ。そうだ、せっかくセフィロスを持ってきてもらったので、あの動画を再現してもらってもいいですか?

やしろ: あ、大丈夫ですよ。セフィロスはブレさせます? 顔も結構ヤバい感じにした方がいいですかね。確か、あのときは上の方から――。

(背後から母親登場)

やしろ: あ、お母さん……? え、なんで? え!?

やしろ母: あんたがインタビュー受けるって聞いたから来たんじゃない。はじめまして、やしろの母です。

―― お越しいただきありがとうございます。今日は、いろいろとやしろ先生についてお聞きしたいと思っております。

やしろ: ドッキリ? ドッキリなのこれ。

やしろ母: あ、これが学級新聞の4コマで、こっちが子どものころ描いてた絵ですね。このスヌーピーのノートは一番古いやつだと思います。

やしろ: ババァーーーーーー!!!! ちょっと、ほんとやめて! これはリアルにだめなやつだから!!

やしろ母: ケガニマジンだって(笑)。

やしろ: あああああああああああああ!!

―― えー、一通りやしろ先生の精神が崩壊したところで、お母様にもお話を伺っていきたいと思います。

やしろ母: よろしくお願いします。

やしろ: 原稿カキタイ、原稿ガ俺ヲ待ッテイルンダ。

―― まずは、単行本の発売が決定しましたが、母親としてなにか感慨みたいなものはありますか? 息子さんがいよいよ名実ともにプロの漫画家になられたわけですけれど。

やしろ母: 母親としてどうかなとも思いますが、なんとも思ってないんですよね。へえー、出たんだっていう、それだけです。

やしろ: そうだよね、そういうタイプだよね。

―― (あ、復活した)普段のやしろ先生ってどんな人なんですか?

やしろ母: 訳が分からない人、かな。でも最近になって、私がこれまで思っていたのはちょっと違う人なのかなと思いはじめたんです。中身がもっと単純で、世の中ではやっていけなさそうだと思っていたんだけど。

やしろ: この人がいいと思ったものって、後になってから流行ることが多いんですよ。「食べるラー油」ってあったじゃないですか、あれもブームになるだいぶ前に「これ絶対売れるわよ!」って大量に買ってきたりして。

やしろ母: だからといって彼が売れるとは思わないけど。

やしろ: 辛らつ!

―― そうだ、これ聞くのタブーかもしれないですけど、「セフィロスの人」と呼ばれる原因になったあの動画って演技だったんですか?

やしろ: あれは偶然だったんですよ。セフィロスで実家の犬と遊ぼうとしたところに、ちょうど母親がいたんです。その後の動画では、協力してもらっていろいろ撮ってますけども。

―― お母様も動画は楽しんで参加していらっしゃる?

やしろ母: 最初はめんどくさかったですね。でも、最近はだんだん楽しくなってきてダメ出しとかしています。あと、このあたりの話は単行本に掲載されている彼との対談企画でも細かく語っているので、読んでみてください。

―― (商魂めっちゃたくましい)お2人とも、動画ではだいぶ演技が上手だと思いますが、なにかやられてたんですか?

やしろ母: 彼は小学生から中学生にかけて劇団に所属してましたね。

やしろ: あ、はい、小学4年生から中学2年生ぐらいまで。

―― はじめたのは何がきっかけで?

やしろ: 子どものころすごいコミュ障だったんですよ。それこそ人と話すときに震えちゃうぐらい。それで自分から入りたいって言ったんです。

やしろ母: あんた長ぜりふも本番で1回も間違えなかったし、最初から主役だったよね。

―― すごい。

やしろ: いまでも舞台に立ちたいっていう気持ちがあるんですよ。ゲストでもなんでも、もう「カラーコーン役」(※)でもいいんで呼んでほしいですもん(笑)。自分とは違う人の人生、人格を演じられるのってすごく楽しいんですよ。「日常バグ報告」も舞台化しないかなあ。「ギャグマンガ日和」だって舞台化したしできますよね。「テニミュ」みたいな感じで「バグミュ」とか。

※誕生日にAmazonの欲しいものリストを公開したところ、実家に複数のカラーコーンが届いたことに由来。その後、配布会も行っており、「カラーコーンの人」とも呼ばれるようになった。(togetterにもまとめられている)

―― 本当にマルチですよねやしろ先生って

やしろ: 目指すは岸田メルさんです。

やしろ母: そうだ、今日は見たいドラマがあったのよ。私はもう帰るけど後しっかりやりなさいよ。

やしろ: あ、はい、ありがとうございました……。

―― おつかれさまでした!(敬礼)

―― ドッキリ、いかがでしたか?

やしろ: こんなことなら来なければよかったですよ! 取材現場に親が来るってなんだよ。Twitterにも最悪なインタビューだったってつぶやくからな覚悟しろよ!

―― そんな突っ伏しながら語気を強められても……。最後に、読者の皆さんになにか一言ありますか? なければ先に帰りますけど。

やしろ: あるからちょっと待って! まず値段ね、600円ですよ600円、とても安いし買ったら身の回りでいいことが起こります。キャンペーンもいろいろと展開していくので、参加してもらえたらうれしいです。人を助けると思って末代の分まで買ってください!

●キャンペーン情報

「日常バグ報告」コミックス発売記念 サイン入りダークノート生原画&目覚ましプレゼント

1.購入した「日常バグ報告」単行本の写真をやしろ先生が喜びそうな感じで撮る
(ex.カラーコーンと一緒に撮る、竹やんと一緒に撮る、など)

2.#祝日常バグ報告発売 をつけてTwitterに投稿で応募完了

投稿した人の中から抽選でダークノートのサイン入り生原画を5人に、やしろ親子の声入り目覚まし時計を5人にプレゼント。さらに、30投稿ごとにやしろ先生の家にカラーコーンが送られる。やしろ先生の家を工事現場のようにするチャンスだ。

応募締め切りは、2016年9月26日12時

特設ページURL:http://store.ganma.jp/comics/bughokoku/

最終更新:9月12日(月)12時10分

ねとらぼ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。