ここから本文です

メガクラウドベンダーが戦々恐々!? Dell EMCの事業戦略とは?

ITmedia エンタープライズ 9/12(月) 15:51配信

 EMCジャパンが先頃、新たなパートナー施策「EMCクラウドパートナーコネクトプログラム」(以下、クラウドコネクト)を開始したと発表した。

【画像】クラウドコネクトの商流(出典:EMCジャパンの資料)

 その内容は、EMCジャパンと提携している12社のクラウドサービスプロバイダー(CSP)が提供するクラウドサービスを、EMCジャパンの約650社からなる販売パートナー(ソリューションプロバイダーおよびディストリビューター)が再販もしくは自社のソリューションへ組み込むことにより、ユーザー企業へ一体的に提供することを促進するものである。(図1参照)

 EMCジャパンがクラウドコネクトによってCSPと販売パートナーを仲介することで、CSPは個々の販売パートナーとの交渉や契約手続きを円滑に進めることが可能になり、短期間で販売網を拡大できるメリットがある。一方、販売パートナーは実績のあるCSPのクラウドサービスを利用することで、必要最小限の投資で自社のソリューションと組み合わせてユーザー企業に提供できるようになるというメリットがある。

 そして、ユーザーのメリットとしては、パートナーからの提案内容が拡充され、クラウドサービスを含めたITの利用方法の選択肢を増やすことが可能になるとしている。EMCジャパンでは、クラウドコネクトの商流として、図2のようにシステムインテグレーション(SI)を伴うケースとディストリビューター経由の2系統を想定している。

 クラウドコネクトのCSPには、IDCフロンティア、ニフティ、新日鉄住金ソリューションズ、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTコミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンク、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ディメンションデータジャパン、ブロードバンドタワー、ヴイエムウェア(VMware)などが名を連ねている。一方、販売パートナーには、大手のソリューションプロバイダーやディストリビューターだけでなく、全国各地域で活動している中小規模のSI事業者も数多く名を連ねている。

 なお、グローバルで事業を展開するEMCでは、クラウドコネクトを2015年から順次、米国、オーストラリア、インドなどで展開しており、着実に実績を上げつつあるという。EMCとしてはクラウドコネクトを推進することでCSPの事業拡大を支援し、CSPへの継続的なソリューション提供を見込んでいる。

●自らクラウドサービスを提供しないDell EMCならではの協業形態

 以上がEMCジャパンのクラウドコネクトに関する発表内容だが、筆者はこの新たなパートナー施策に対し、「自らクラウドサービスを提供しないEMCならではの協業形態ではないか」という視点で非常に興味を抱き、それを確かめたくて取材を申し入れた。

 あらかじめ上記の視点について説明しておくと、厳密にいえばEMCはグループ会社のVMwareやVirtustreamにおいて、特定領域に向けたクラウドサービスを提供している。だが、EMCはクラウドサービス市場で先行するAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなどと競合するサービスを自ら提供する戦略はとらず、むしろサービスプロバイダーに対してクラウド技術に優れたプロダクトを幅広く提供することに徹する構えだ。「自らクラウドサービスを提供しない」と表現した根拠はそこにある。

 取材には、EMCジャパン執行役員でサービスプロバイダビジネス本部長の笠原直也氏、同本部ビジネス開発部長の岩田浩一氏、同部アライアンスアカウントエグゼクティブの竹内宏之氏が応じてくれた。

 まず、笠原氏が筆者の視点について、クラウドコネクトを日本で始めた背景を含めて次のように話した。

 「当社と提携しているCSP各社は、日本のビジネス習慣に合わせたさまざまな工夫により、メガクラウドベンダーのサービスと差別化を図りながら販売網を拡大している。一方、従来、オンプレミスでのビジネスが中心だった販売パートナーも、顧客の多様な要求に対応できるようクラウドサービスの再販や自社SIでのクラウド適用を進めることでポートフォリオを拡大し、ソリューション力を強化している。そうした両社のニーズにEMCが仲介役を果たし、最終的にユーザーに幅広い選択肢を提供できるようにしたいと考えた。そこで仲介役を担うEMC自身がクラウドサービスを提供していないことは、とりわけCSPの信頼を得る上で非常に重要なポイントになっている」

 また、岩田氏はCSPのメリットについて、「販売網を拡大したいCSPにとって、約650社の販売パートナーとつがなることができるのは非常に大きな価値になる。しかも日本ではとりわけ全国各地域の“地場”のSI事業者と接点を持つことができるので、CSP各社から大きな期待を寄せていただいている」と語った。

 さらに竹内氏も「販売パートナーがCSPのサービスを単に再販するだけでなく、各地域の個々の顧客ニーズに応じたソリューションを共同で開発していこうという動きが強まってきている。こうした動きも仲介役としてのEMCを信頼していただけている証しだと実感している」との手応えを語った。

 取材時のコメントはもっと盛りだくさんだったが、いずれも「自らクラウドサービスを提供しないEMCならではの協業形態」を象徴するエピソードだったことが印象的だった。

 その視点で、最後に挙げておきたいのは「Dell EMC」になってもそのスタンスは変わらないのではないか、ということだ。それというのも、Dellも自らクラウドサービスを提供していないからだ。むしろ、Dellが中堅中小企業に多くの顧客を保有していることを考えると、クラウドコネクトはさらに広がりを持つパートナー施策になりそうだ。

 この点については両社統合後の事業の詳細がまだ不明なところもあるので、「正式なコメントは差し控えたい」(笠原氏)とのことだったが、3人の表情からは期待の大きさがうかがえた。

 クラウド事業はパートナーエコシステムが決め手になると、本コラムでも度々述べてきたが、クラウドサービス事業者の展開はあくまで「1対n」なのに対し、Dell EMCは自らクラウドサービスを提供せず仲介役に徹するだけに「n対n」の関係となる。このユニークな協業形態が、今後のクラウドサービスの流通の仕組みにどのような影響を与えるか、注目しておきたい。

最終更新:9/12(月) 15:51

ITmedia エンタープライズ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

「水中に潜む本当の危機」
インドガリアルとキングコブラはインドの象徴ともいえる爬虫類ですが、水質汚汚濁のために存亡が危ぶまれています。環境保護者のロミュラスウィトカーがこの素晴らしい動物たちの貴重な映像をお見せして、彼らのそして私達の生活を支えている川の保全を訴えます。