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<日弁連>死刑廃止宣言へ 10月の大会、被害者から反対も

毎日新聞 9月12日(月)22時6分配信

 日本弁護士連合会が「2020年までに死刑制度の廃止を目指す」と宣言する準備を進めている。これまで死刑廃止を明確に表明してこなかったが、死刑廃止国が増え、国内で再審開始決定も相次いでいることから、踏み込んだ対応が必要と判断した。死刑存置を望む被害者側からは反対の声が上がる。

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 日弁連は、全国から弁護士が集まる10月7日の人権擁護大会(福井市)に「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を提案する。大会では毎年、日弁連の活動方針を決めており、出席者の過半数が賛成すれば採択される。

 宣言案は「遺族が厳罰を望むのはごく自然なこと」とした上で、国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開かれる20年までに死刑制度の廃止を目指す▽代替刑として終身刑などの導入を検討する--としている。死刑廃止を目指す理由として、袴田事件の再審開始決定=検察側が即時抗告=で元死刑囚が釈放されたことなどを列挙。「冤罪(えんざい)で死刑が執行されれば取り返しが付かない」などと説明している。

 日弁連は従来、「死刑の廃止を全社会的に議論する」との立場だった。日弁連関係者は「先進国が死刑廃止の流れにある中、国連会議のホスト国として死刑存置の立場でよいのかという議論があった」と明かす。

 ただ、15年公表の内閣府の世論調査では、死刑について「やむを得ない」との回答が8割に上る。犯罪被害者支援に取り組む上谷さくら弁護士は「死刑を望む被害者・遺族は多い。存廃を問うことは思想信条に関わり、多数決で決めることなのか」と疑問視する。

 東京弁護士会は15日に地下鉄サリン事件遺族の高橋シズヱさん(69)を招いたシンポジウム「被害者遺族と死刑制度のあり方を考える」を開く。12日に記者会見した高橋さんは「被害者の立場で加害者の人権を理論的に答えるのは難しい。市民感覚で死刑存置の立場で話したい」と述べた。【島田信幸】

最終更新:9月13日(火)12時9分

毎日新聞