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Windows 10で新たに導入される月額課金モデルとその戦略

ITmedia エンタープライズ 9月13日(火)8時24分配信

 前回解説した企業向けWindows OSのボリュームライセンスは、これまで複数年の一括支払い、もしくは1年ごとの支払いだった。2016年7月に米国で開催されたカンファレンスの「Microsoft WorldWide Partner Conference 2016」では、同社のパートナー経由で提供する「Cloud Solution Provider」(以下、CSP)向けのライセンスとして、月額課金モデルが明らかにされた。

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 その1つの「Windows 10 Enterprise E3 for CSP」は、Windows 10 Enterprise(以下、Win 10 EP) E3と同じ内容を1ユーザーあたり月額7ドル(日本では月額730円)で提供する。また、「Windows Defender Advanced Threat Protection(WDATP)」を搭載したE5に関しても、CSP経由で月額14ドル(同1460円)で提供される。

 Microsoftは、月額課金のWindows OSをパートナー経由で販売するというより、パートナーの各種クラウドサービスと組み合わせた一つのクラウドソリューションとしてとらえ、Win 10 EPを含めて販売していこうと考えているようだ。同社としては、Windows OS自体を月額課金で提供するより、パートナーがパブリッククラウドのAzureを使って新たなクラウドサービスを提供するようになっていく方が、同社のビジネスをさらにクラウド中心にシフトさせることにつながるとみている。

 既にOffice 365もCSPでは月額課金モデルの提供が実現しているため、Microsoftは、Officeとパートナーのソリューションをパッケージ化してWindows 10の企業普及を進めていこうとしている。一方、コンシューマーを含めてWindows OS単体を月間課金で販売していく戦略ではない。

 コンシューマーでは、PC購入時にWindows OS(Home/Pro)がプリインストールされているため、わざわざ月額課金にする意味はあまりないだろう。こう考えると、コンシューマー向けのWindows OSが月額課金になるとは思えないのだ。

 企業向けのWin 10 EP E3/E5 for CSPに関しては、今回はCSPパートナー経由での提供となるが、もしかするとパートナーのクラウドソリューションと組み合わせたパッケージだけでなく、ボリュームライセンスとしても月額課金で提供される可能性がある。ただし、パブリッククラウドのAzureのように、月額課金という形よりは、従来型に近い年間契約などの方が1カ月あたりの使用料が安くなるような形で提供されることになるだろう。

 現状では、中小企業や数人の事務所(SOHO)などでなかなかボリュームライセンスによるWindows 10の利用が広がるとは考えづらい。こうした企業の多くは、Win 10 Proのプリンストールモデルをそのまま購入、利用している。

 しかし、Office 365やクライアント管理の「Intune」などのクラウドサービスと組み合わせたり、Win 10 EPの高いレベルのセキュリティ機能を利用したりしていこうと思えば、ボリュームライセンスは必須となってくる。

 Microsoftとしては、Windows 10の企業ユーザーを広げるためにも、もう少しボリュームライセンスを分かりやすくシンプルにしたり、オンラインで簡単に購入したりできるなどの施策が必要になるだろう。

最終更新:9月13日(火)8時24分

ITmedia エンタープライズ