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リオ五輪でハーフ選手躍進の理由…スポーツ遺伝学で見る

スポーツ報知 9月13日(火)11時3分配信

 日本選手団が史上最多41個のメダルを獲得して閉幕したリオデジャネイロ五輪は、陸上男子400メートルリレー銀メダルのケンブリッジ飛鳥(23)や柔道男子90キロ級金メダルのベイカー茉秋(21)ら外国出身の親を持つハーフ選手の活躍が目立った。4年後の東京五輪でも活躍が期待されるハーフ選手たちの強さの秘密とは何か。スポーツ遺伝学の研究者で、医学博士の福典之・順大大学院准教授に聞いた。(取材・構成 小河原俊哉)

 ◆最強遺伝子の法則

 高い身体能力はすでに証明済みのハーフ選手。スポーツ選手の強さの秘密を研究している福准教授は、米国籍の陸上短距離選手を対象に母親からしか受け継がれないミトコンドリアDNAを解析した調査を英国との共同研究で2011年に発表した。その結果、好成績を残した選手は「父がアフリカ系、母が非アフリカ系」だったという。これまでは遺伝的にスポーツで高いパフォーマンスを出すと思われていた「アフリカ系×アフリカ系」ではなかったという。

 昨年、英ケンブリッジ大が約35万人を対象にした大規模な調査でも裏付けられた。身長や体重、認知機能や肺活量などを調べた結果、遺伝的に異なるもの同士、すなわち同じ民族同士よりも離れた民族同士で結婚して生まれた子供の方がほとんどの数値が高かったという。「簡単に言えば、いろんな国の人同士の結婚から生まれる子供は、高い能力を発揮する確率が高まる、ということでした」

 ◆瞬発系か持久系か

 陸上男子のトラック種目とマラソンの世界記録保持者のルーツ=別表=を見ると、線を引いたようにアフリカの西と東の地域に分かれる。短距離の瞬発系は西。800メートルからの長距離の持久系は、東の地域がルーツの選手が占める。東京五輪で活躍が期待される日本のハーフ選手の両親のどちらかもルーツを重ねると同じような現象になる。福准教授は「おそらく西アフリカ系の民族と日本人との間に生まれた子供は短距離系、同様に東アフリカ系は長距離が強いのではないか」と説明した。

 ◆筋肉の質の違い

 アフリカ系の黒人と日本などアジア系の黄色人種では筋肉の質も異なる。筋肉は主に2種類の筋線維で構成され、速く動かすのが速筋(そっきん)。持久的に動かすのが遅筋(ちきん)」。「割合として速筋線維は黒人の方が多く、日本人は遅筋が多い。遅筋はマグロのように赤く、速筋はヒラメのように白い」と福准教授。

 ◆適したスポーツ

 柔道やレスリングがなぜ日本のお家芸なのか。福准教授は長い人類の歴史の中で適応した身体的特徴が強い要因の一つと言う。「日本人の特徴は短足胴長。つまり重心が低い。レスリングや柔道が得意なのが分かる。競泳も胴長短足の方が推進力を生みやすく、瞬発系の短距離を除けば日本人に適したスポーツと言える」と福准教授。

 多様性を秘めた“金の卵たち”。4年後の東京五輪での活躍が期待される。

 日本国内でハーフ選手が増えた要因として「国際結婚」が増加したことも考えられる。厚労省の人口動態統計「夫妻の国籍別にみた婚姻件数」で「一方が外国籍」によると、1960年の5546件から年々増加し2001年の3万9727組がピークとなっている。01年に結婚したカップルから子供が誕生した場合、現在15~16歳で、20年東京五輪では高いパフォーマンスを発揮すると思われる19~20歳の年齢を迎える。福准教授も「国際結婚で結ばれた両親から、多様性を授かり、生まれた子供たちが自分の能力に適したスポーツで活躍しているのではないか」と話した。

最終更新:9月14日(水)1時28分

スポーツ報知