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追い越し車の「飛び石」でマイカーのフロントガラスが割れた…修理代を請求できる?

弁護士ドットコム 9/12(月) 10:12配信

追い越してきた車の飛び石があたって、フロントガラスが割れた。修理代は払ってもらえるのかーー。そんな相談がネットの掲示板で話題になった。

投稿者は、車のナンバーと車種と家の住所を控えたので、修理の費用を請求したいと考えている。しかし、警察に相談したところ、「ムリだ」と言われてしまったらしい。

この投稿に対して、「飛び石なんてお互い様」、「その車から飛んできたことを証明せなあかん」などと冷静な反応が出てきたが、投稿者は「泣き寝入りは嫌だ」と譲れないようだ。

飛び石が当たって車が傷ついてしまったとき、修理にかかる費用を相手に支払わせることは可能なのだろうか。池田誠弁護士に聞いた。

●「理論上、立証上の困難がある」

「結論から申し上げると、修理代を相手に支払わせることは不可能ではありませんが、理論上および立証上の困難が伴います」

池田弁護士はこのように述べる。どのような点が問題となるのだろうか。

「まず、理論上の問題ですが、自動車を走行させる際に、道路上の石に注意を払うべき義務は道路交通法に明記されていません。

道路交通法71条には運転者が遵守すべき事項が列挙されていますが、ここにも道路上の石に注意するべき義務は明記されていません。

各都道府県の公安委員会が、道路交通法上の運転者遵守義務事項に追加して遵守義務事項を定めていますが、一都二県を調査した限りでは、これについて定めたものは見付かりませんでした。

そうすると、道路交通法70条の『安全運転の義務』に違反したとして、当該行為の違法性を主張することになります」

飛び石のケースでは、どんなときに「安全運転の義務」に違反したといえるのだろうか。「『安全運転義務』のような一般条項で責任を追及するためには、たとえば、次のような特殊な状況が必要になると思います。

石が相応に大きく目立つもので、回避する余地があるのに回避をせず、かつ、対向車または後続車との距離が近く、飛び石が生じればその飛び石が対向車または後続車に衝突する具体的な可能性を認識できる状況下で、あえて当該石の上を走行したと言えるような状況です」

理論上はこのようなハードルがあるということだ。立証上の困難というのは、どのような点だろうか。

「今指摘したような事項すべてを、損害賠償を請求する側が立証する必要があります。このような立証は極めて困難でしょう。

もっとも、近年、自動録画のカメラを積載する自動車も増えています。前方を走る自動車がまさに飛び石を生じさせる状況を録画していた場合であれば、立証の困難は多少克服されると考えます」

●石はなぜ道路上に置かれていたのか?

「今回は、飛び石を生じさせた自動車の運転者に対する責任追及を前提とする質問でしたが、そもそも飛び石の原因となった石が道路上に置かれていた状況を作った者の責任を考えることができます。

飛び石の原因となった石が別の自動車の積載物であった場合には、その積載自動車の運転者や会社の責任を追及する方法も考えられます。

また、飛び石の原因となった石の存在について、再三にわたって道路管理者に報告されていたのに、管理者が適時に撤去しなかった結果生じた事故であったとすれば、道路管理者の責任も問題となり得ます。

飛び石が原因となった事故について損害賠償を求めようとした場合、上記3者の責任を状況によって使い分け、理論上および立証上の困難を克服できる可能性のある、責任追及が一番容易な対象者を見極めることが重要であると考えます」

【取材協力弁護士】
池田 誠(いけだ・まこと)弁護士
証券会社、商品先物業者、さらには金融機関などが扱う先進的な投資商品による被害救済を含む消費者被害救済に注力している下町の弁護士です。
事務所名:にっぽり総合法律事務所

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:9/12(月) 10:12

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