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<北朝鮮内部>政府の無策で洪水被害拡大と住民反発 水害最中のミサイル発射に「人民の命に関心ない」の声(写真3枚)

アジアプレス・ネットワーク 9/12(月) 5:10配信

北朝鮮北東部の豆満江一帯を8月末に襲った豪雨で甚大な被害が発生しているようだが、現地住民の間から政府の無策に対する批判の声が上がっていると、被害地域に住む複数の取材協力者が伝えてきた。豆満江を挟んで国境を接する中国側で人命救助や捜索が迅速に行われているのを見て反発が生まれている模様だ。(カン・ジウォン/ペク・チャンリョン)

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咸鏡北道の豆満江沿線に住む複数の取材協力者が、自身が居住する地区の状況と、被害が大きかった穏城(オンソン)郡南陽(ナミャン)労働者区などの知人に電話をかけて、被災状況を調べ8日伝えてきた。

取材協力者Aさんは次のように言う。
「今回の洪水では、南陽で多くの死者が出たが、『下流のセビョル郡では6人が死んだ、柳多島(豆満江の中州の島)でも2人が死んだ』など、電話で尋ねる人ごとに、大勢が死亡、行方不明になっていると言っている」。

中流の会寧(フェリョン)市に住む別の取材協力者B氏も
「自分の所では、国境警備隊の警戒詰所ごと兵士7人が流されていった。下流の穏城郡の3カ所で兵士4人の遺体が発見されたと聞いた。また、中国側にも死体が流れ着いているが、中国側が収容して引き渡しくれたそうだ。流されて行方不明になった人が多いが、見つかった死体は、それに比べてまだ少ない」と述べた。

6日の朝鮮中央通信は、今回の水害の人命被害について、60人死亡25人行方不明と伝えていたが、11日には労働党中央委員会のメッセージ(10日付け)を報道。豆満江付近で解放後最悪の豪雨によって数万世帯が浸水したと伝えた。また吉林新聞などの中国メディアも、延辺地区の深刻な水害被害について伝えており、北朝鮮の人命、建物、農耕地の被害が甚大なのは間違いないと思われる。

◆中国側に助けを求めた住民

今回の水害被害について、被災地の住民たちの間では、当局の無策が被害を大きくしたという意見が出ている。前出の取材協力者A氏は次のように言う。
「中国側は高い堤防を築いていたので被害はさほど大きくなかったが、朝鮮側は、セメントがなくて住民を動員して石を積み上げただけ。堤はすぐ壊れて水が溢れ、家も収穫前の畑も流された」。

一方、中国当局が北朝鮮側の人命救助に積極的だったことを、現地の住民たちは見ていた。前出のBさんは、
「普段『中国野郎』などと悪口言っていたが、今回は随分助けられた。川で救援を求める人たちは、朝鮮の国境警備隊ではなく、中国側に『助けて』と手を振っていたほどだ。中国は、ヘリコプターを飛ばして救助してくれたし、高速ボートで捜索も続けている。我われの方は、人民委員会(行政機関)も労働党委員会も何もしなかった。川岸に立って人が流されるのを見物していただけだ。捜索も川べりを棒で突いて人が引っかかっていないか見る程度だ。国が貧しいから人が犬のように死んだ。可愛そうだ」
と、自国当局の無策を批判した。

また、大水の中で次のような事件があったと、別の協力者は伝える。
「ある女性が、家が浸水するとおばあさんより先に(金日成と金正日の)肖像を家から持ち出したため、おばあさんは流されてしまった。以前であれば、『水害から肖像画を守った』として表彰されただろうが、近所の人々は、その女性を「おばあさんを死なせた」と口々に罵った」。

北朝鮮政権は、二人の首領の肖像を命のように大切に扱えと教養宣伝してきた。粗末に扱うと処分の対象になり、災害時などに大切に扱うと表彰される。この女性は、肖像を守って家族を失うことになった。

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最終更新:9/12(月) 7:50

アジアプレス・ネットワーク