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かすむ雲海ツアー 津別峠、土石流で通行止め、復旧めど立たず

北海道新聞 9月12日(月)7時30分配信

生活道路の復旧優先

 【津別】津別峠(標高947メートル)につながる道道屈斜路津別線の釧路管内弟子屈町側の国有林で、8月18日未明に台風7号による大規模な土石流が発生し、峠から弟子屈方面への通行止めが続いている。生活道路ではないため津別町民への影響は限定的だが、弟子屈側から雲海観光ができない状況で、見学ツアーを受け入れている津別町の主催団体などが頭を抱えている。復旧のめどは立っておらず、峠を観光資源と位置づける津別町は、早期の全面開通を関係機関に働きかけていく考えだ。

「2000人キャンセル」 観光に打撃

 津別峠山頂から弟子屈側へ下ること約2・5キロ。長さ1・6キロ、幅50メートルにわたって土石流が道道に爪痕を残していた。カーブが連なる道路の2カ所が土砂に覆われ、ガードレールや標識は根元から折れて埋まっている。山肌は削られ、木々は跡形もなく消失。湧水が沢のように流れ落ち、一歩足を踏み入れると、土砂は柔らかく、再び大雨に見舞われれば、さらなる崩落は避けられそうにない。

 国有林を管轄する根釧西部森林管理署(釧路市)は「復旧を前提に、林野庁に災害申請する準備を進めている。ただ、山地崩壊がひどく年内着工は難しい」という。弟子屈側は阿寒国立公園内にあり、自然保全の観点から治山工事をコンクリートなど人工物に依存しすぎることは難しく、同管理署は「どのような工法を採用するかも課題。億単位の費用が掛かる」と話す。

 また、道路管理者の釧路建設管理部は「土砂流出が収まるまでは対応は難しい」と話し、森林管理署と調整しながら対応する考え。ただ、釧根地区も相次ぐ台風の影響で、各地の国有林や道道が被害を受けており、住民生活に直結する地点の復旧を最優先する必要がある。屈斜路津別線は例年6~10月に開通し、雪に閉ざされる冬期間は通行止めとなるため、復旧に着手できない以上、来年も通行止めが続く公算が大きい。

 それだけに、津別峠の雲海観光に携わる関係者の落胆は大きい。2012年から見学ツアーを行う津別のNPO法人「森のこだま」(上野真司代表)によると、昨シーズンは2789人がツアーに参加。弟子屈側からは、主に峠から車で20分の距離にある屈斜路プリンスホテルの宿泊客を受け入れ、参加者全体の約7割を占めたという。今シーズンは道道が通行止めとなる前に約2500人に達していたが、上野代表は「約2千人のキャンセルが見込まれる。秋の行楽期にも期待していただけに残念」と嘆く。

 同ホテルも「津別峠の雲海は、大手旅行代理店も注目する全国有数の観光商品。通行止めで多大な被害を受けた」と困惑。同じく雲海観光で人気の美幌峠(525メートル)にも車で20分で行けるというが、「標高が高い津別峠の方が雲海を見られる確率が圧倒的に高い。美幌峠ではツアー商品にならない」と話す。

 こうした状況を受け、津別町は「津別峠はマチの観光資源で、弟子屈町も同様に捉えている。一日も早い全面開通を目指し、連携していきたい」(商工観光グループ)と話している。(嶋田直純)

北海道新聞

最終更新:9月12日(月)7時30分

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