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台風10号、北海道や岩手で193福祉施設に被害 浸水し避難も

福祉新聞 9月12日(月)10時28分配信

 8月30日に岩手県に上陸した台風10号の大雨で、北海道、岩手県を中心に193カ所の福祉施設が被害にあった(6日午前10時、厚生労働省まとめ)。北海道南富良野町の障害者支援施設では職員が迫りくる浸水に利用者の避難や安全確保に奮闘した。

 北海道では8月31日、十勝管内の清水町、大樹町、新得町、上川管内の南富良野町などで橋の崩落や堤防の決壊など大きな被害を受けた。

 北海道は8月に複数の台風が上陸。これに加えて南富良野町では29日からの雨量が500ミリを超える記録的な大雨となったため、町内を流れる空知川の堤防が決壊して役場や福祉施設がある中心部の幾寅地区が浸水、濁流に覆われた。

 31日、降り続く雨に障害者支援施設「南富良野からまつ園」では午前2時ごろに玄関から浸水。1階個室の居住者は2階部分へ、3階へはグループホームの利用者を避難誘導した。台風による大雨の予報で前夜から待機していた職員20人は一睡もせずに利用者への対応や1階の排水に追われた。

 また隣にある障害者支援施設「南富良野こざくら園」は平屋建てのため状況は深刻。杉村博史園長はあらかじめ12、13人の職員に招集をかけ準備していたが水害は想定外。窓の高さに迫る、深さ約1・5メートルはある濁流対策のため、毛布やシーツを土のうの代わりにして玄関など開口部をふさいだ。

 しかし泥水が床上まで浸水してからは、食堂に利用者を集めてテーブルに上がり、水が引くまで5時間ほど不安な時を過ごした。

 同町ではこの地区の水害は想定しておらず、これまで長年にわたり避難所として使用していた保健福祉センター「みなくる」も濁流に浸かっている。

 9月1日、両施設には道路の開通を待って道北地方と空知地方の知的障がい者施設協会の福祉施設職員が救援隊を組織して訪れたほか、同一敷地の特別養護老人ホーム「一味園」にも道北ブロック老人福祉施設協議会などの施設職員が駆けつけた。

 2日には特養利用者の近隣施設への受け入れも完了した。また本格的にボランティア活動も始まり、連日100人以上が泥の除去や消毒などに力を尽くしている。

 南富良野からまつ園の東雅春園長は「被害は甚大な状態だが、連日100人を超えるボランティアが来てくれる。人の力は本当にすごい。利用者のため早く日常生活を取り戻したい」と力強く語っている。

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 岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽ん楽ん」では付近を流れる川が氾濫し濁流が押し寄せ、利用者9人が死亡。被災当時、職員1人が当直しており、入所者には車いすや自力での歩行が困難な人もいた。同じ敷地にある老人保健施設「ふれんどりー岩泉」も2階まで浸水したが、3階に避難し入所者86人は救助された。施設を運営する法人は「認識が甘かった」と話している。

 町がグループホームのある地区に避難勧告や指示を出していなかったが、町総務課は「暗くなっていたので勧告を出す方が危ないと判断した」と説明している。

 台風10号の被害は7日午前6時現在、死者18人、行方不明2人、住宅の損壊588棟、床上床下浸水1670棟に及んでいる。

 北海道南富良野町のほか岩手県内も含めて計7市町で災害ボランティアセンターが設置され、被災家屋の泥出しなどが行われている。

最終更新:9月12日(月)10時28分

福祉新聞