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鉄鋼、需給環境が上向きの動き 在庫調整進む国内に海外市況も増勢基調

日刊工業新聞電子版 9月12日(月)14時0分配信

メーカーの操業も回復

 鉄鋼の需給環境や市況を巡り、上向きの動きが相次いでいる。国内の在庫調整が進んできたほか、海外では中国の鋼材市況が増勢基調。メーカーの操業も回復してきており、鉄鋼大手による値上げは2次加工メーカーまで浸透しつつある。末端では建材向けを中心に回復が遅れており、これから本格化する“秋需”や東京五輪・パラリンピック関連需要の顕在化を待ち望んでいる。(編集委員・大橋修)

新日鉄住金、増産へ原料調達増やす

 在庫調整の指標となる薄鋼板3品の7月末在庫量は391万トン。目安だった400万トンを約2年半ぶりに割り込んだ。8月末はお盆休みの影響で再び増えることが予想されるものの、鉄鋼大手の関係者は「調整完了とは言い切れないが、9月以降、生産水準は需要見合いで増やしていくことになる」と漏らす。

 鉄鋼メーカーは7月こそ、いったんブレーキをかけたが、基本的に一時の減産を緩和している。新日鉄住金は9月中に粗鋼生産量を定常の水準まで戻し、さらに増産するため、追加的な原料となる鉄スクラップの調達を増やしている。

 「生産もタイト感がある」(新日鉄住金関係者)と言うように、製鉄所の加工工程の稼働率は高い。比較的、堅調なステンレスも「薄板工場は引き続きフル操業。輸入材も入ってきておらず、健全なマーケットになっている」(新日鉄住金ステンレス)と表情を緩める。

中国市況、過度な悲観論は後退

 一方、日本企業の輸出に大きな影響を与える中国の鋼材市況は、6月に反転して以降、上げ基調だ。異常値とも言われた4月下旬のピークに近づきつつある。これを受け「輸出のオファー価格は底を脱した。円高も進行したが、それを相殺できるくらいドル建ての価格が上がっている。引きは強い」(東京製鉄)と士気も上がる。

 中国の市況については、しばらく上下動を繰り返すとの見方が大勢だ。しかし、中国・杭州で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20)の場で、中国首脳があらためて国内の過剰能力削減を断行すると強調。過度な悲観論は後退しつつある。

 もっとも、国内の流通関係者の表情は晴れない。建材を中心に思ったほどの荷動きが出てこないためだ。そこに来て鋼管や鋼線など鋼材の2次加工メーカーまでが値上げを打ち出しており、後がない状況に。五輪関連を含め、工事の遅れがなかなか解消せず、潜在需要が実需までつながらないことに気をもんでいる。

最終更新:9月12日(月)14時0分

日刊工業新聞電子版