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来年施行の「クリーンウッド法」は違法伐採の木材を取り締まれるか

ニュースイッチ 9月12日(月)14時55分配信

天然林が失われたマレーシア・サラワク州産の最大輸入国は日本

 「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(クリーンウッド法)が5月、成立した。1年後の2017年5月20日に施行される。「グリーン購入法」で政府調達は合法に伐採されたと確認された木材が使われるようになっている。民間にも合法伐採木材の利用を広めるのがクリーンウッド法だ。

 森林と環境問題との関係性は分かりやすく、森林保全に取り組む企業が多い。10年に名古屋市で開かれた国連の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)をきっかけに木材の調達方針をつくり、違法性が疑われる木材の使用を禁止した企業も少なくない。

 しかし、日本に違法伐採木材が流通しているとする指摘が多い。英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、日本の輸入木材の12%が違法伐採の疑いがあると報告している。環境NGOは、違法伐採で天然林のほとんどが失われたマレーシア・サラワク州産木材の最大輸入国が日本だと非難している。

 森林破壊は環境問題だけにとどまらない。サラワク州では原住民が住む場所を奪われ、人権問題にもなっている。違法伐採木材を購入する企業が、環境破壊と人権侵害に加担していると非難される事態が起きている。

 日本も違法伐採問題を重く捉え、議員立法でクリーンウッド法ができたが、NGOの地球・人間環境フォーラム(東京都台東区)の坂本有希部長は「名称の通り、合法伐採木材を増やすことが目的となっており、違法伐採木材の取引を規制していない」と指摘する。合法木材の使用は努力義務にとどまり、違法木材の取引に罰則がないからだ。

 また、登録制度を設けて「登録木材関連事業者」がデューデリジェンス(リスク調査)をして合法を証明することになるが、登録しなくても木材の販売を継続できる。

 一方、欧米には違法伐採木材を取り締まる法規制があり、行政が摘発できる。デューデリジェンスも義務化され、「日本は緩い」(同フォーラムの飯沼佐代子氏)という。

 坂本部長は「日本の家具や住宅メーカーが海外進出しようとしているが、厳しい海外規制を基準にしないとビジネスができない」と話す。また「森林資源がなくなると企業も困る。未来を考えてほしい」とも訴える。

 森林減少に歯止めがかからないと、木材を加工した製品を作り続けることが難しくなる。適切に管理された森林から合法的に伐採された木材なのか、調達先を確認することが事業継続のために必要だ。

<解説>
 原産国が「合法」と言っても、違法伐採の可能性がある。経済活動が優先され、違法伐採業者を取り締まる法律がない新興国では、違法が「合法」になって輸出されることがあるからだ。
海外からみると日本は「野放し」。知らず知らず、違法伐採された木材を使っている可能性がある。

最終更新:9月12日(月)14時55分

ニュースイッチ