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阿部勝征氏が死去 東海地震判定会前会長

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月13日(火)7時47分配信

 政府の地震調査委員会委員長を務めた東京大名誉教授の阿部勝征(あべ・かつゆき)氏が9日午前3時28分、東京都清瀬市内の病院で死去した。72歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者だけで執り行った。

 津波から地震の規模を推定する「津波マグニチュード」を考案するなど、地震や災害に関するさまざまな研究に取り組んだ。

 1995年から政府の地震調査委員会委員、2006~12年は同委員長。95年から東海地震の観測データを検討する地震防災対策強化地域判定会委員、08~16年は同会長を務めた。15年から地震予知総合研究振興会会長。

 11年の東日本大震災発生時は地震調査委委員長で「これほどの地震が東北地方で起きるとは想定できなかった」と述べた。

 1968年東大卒。89年に東大地震研究所教授、2007年に東大名誉教授。



 ■予知重要性 静岡県内で訴え

 阿部勝征氏は、気象庁の地震防災対策強化地域判定会(判定会)の会長として、東海地震の観測に深く関わってきた。地震予知の重要性を強調し、静岡県内に度々足を運んで、予想される大地震に対する息の長い防災対策などを訴え続けてきた。

 2013年5月に、内閣府の中央防災会議が南海トラフ沿いで起きる巨大地震について「現在の科学的知見からは高い確度での予知は困難」とする調査部会の報告書を公表した際には、判定会長の立場から「予知の可能性がある以上は追求する。諦めて、後世に前兆があったと分かったら反省しようがない」との立場を示した。

 元県防災局長で常葉大客員研究員の井野盛夫さん(78)は「判定会委員として常に静岡県や東海地域のことを気に掛けてくれていた。何か気になる観測データがあった時も、解釈の仕方や過去の類似例などを私たちに説明してくれる姿が印象的だった。学者でありながら行政にも詳しく、常に私たちの立場に立って一緒に考えてくれた」と語った。

 県防災・原子力学術会議委員を務める興直孝元静岡大学長は「科学者としての誠意から南海トラフ巨大地震の津波高想定の見直しに取り組んだのでは。これから私たちが日本全体の防災対策に反映させることが重要」と功績をたたえた。

静岡新聞社

最終更新:9月13日(火)10時5分

@S[アットエス] by 静岡新聞