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超大型風車が5MWの電力を作る

スマートジャパン 9月13日(火)11時25分配信

 日本の近海でも今後の拡大が期待できる洋上風力発電に向けて、日立製作所が超大型の風車を搭載した発電システムの製品ラインを強化する。これまで発電能力が5MW(メガワット)だった従来機のローター(羽根を含む回転部分)の回転直径を126メートルから136メートルに伸ばして、発電能力を5.2MWに引き上げた。

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 新開発のシステムはローターを大きくしたことで、風を受ける面積が15%拡大して、風速が遅い状態でも回転数を維持しやすくなった。洋上風力発電は年間の平均風速が7.5メートル/秒を超える場所で実施することが望ましいが、本州の近海に多い7.5メートル/秒未満の海域でも発電量を増やせる利点がある。

 従来の5MW機は日立グループが茨城県の沿岸部で運営する「鹿島港深芝風力発電所」のほかに、福島県の沖合で実施中の浮体式による洋上風力発電プロジェクトの5MW機「ふくしま浜風」にも採用されている。ふくしま浜風は7月から係留作業に入っていて、12月までに運転を開始する予定だ。

 日立製作所はローターの回転直径を136メートルに拡大した新機種と合わせて、従来機をベースに発電能力を5.2MWに引き上げた機種も製品化する。この製品は年間平均風速が10メートル/秒を前提に設計したもので、風速が速い北海道・東北北部や九州南部の洋上を対象に導入量を増やしていく方針だ。

 現在は5MWの従来機が稼働中の鹿島港深芝風力発電所の構内に、ローター直径が136メートルの新型機を設置して、10月から試験運転を実施する。性能や安全性を確認したうえで、2017年度から全国各地の洋上風力発電プロジェクトに新型機を提案していく。

洋上でも有効な「ダウンウィンド風車」

 新開発の風力発電システムでは従来機と同様に「ダウンウィンド方式」の風車を採用している。大型の風車をスムーズに回転させるためには、支柱(タワー)に対して回転軸(ローター)を傾けて風を受ける必要がある。通常の風車は前方から風を受ける「アップウィンド方式」が多く、やや下向きに吹く風を受けた場合に効率よく回転する。

 これに対してダウンウィンド方式は風車の後方から風を受ける構造になっていて、やや上向きの風が吹く場所に適している。風見鶏が後方の尾で風を受けて向きを変えるのと同様に、機械で制御しなくても風の方向に動く点が特徴だ。風の向きに合わせて首を振る「フリーヨー(free yaw)」と呼ぶ回転運動である。このため横風を受けにくく、風力発電の事故の原因にもなる強風や乱気流を受け流す効果がある。

 海に囲まれて国土が狭い日本では、風力発電に適した場所は陸上よりも洋上に広く残っている。陸上では年間の平均風速が5.5メートル/秒以上、洋上では6.5メートル/秒以上が風力発電を実施する条件になる。陸上の適地は北海道と東北の山間部に集中しているのに対して、洋上の適地は全国の近海に分布している。

 ただし洋上では強い風と波の影響を受けるため、発電設備の安定性が重要な課題になっている。こうした点から現時点で計画中の洋上風力発電プロジェクトの大半は設備を海底に固定する着床式を採用している。

 福島沖で実証中の浮体式の洋上風力発電プロジェクトでは、ダウンウィンド方式の「ふくしま未来」(発電能力2MW)とアップウィンド方式の「ふくしま新風」(7MW)が運転中だ。年内に稼働予定のダウンウィンド方式による「ふくしま浜風」(5MW)を加えて、3基の風力発電システムがどのような性能を発揮するかによって、国内の洋上風力発電システムの市場は大きく変わってくる。

最終更新:9月13日(火)11時25分

スマートジャパン