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野村祐輔独占手記 完全復活の裏に黒田さんの教え

東スポWeb 9/13(火) 10:03配信

 俺がやらなきゃ誰がやる。広島・野村祐輔投手(27)が自己最多、僚友ジョンソンと並ぶリーグトップの14勝で25年ぶりの優勝に貢献した。入団1年目の2012年に9勝をマークして新人王に輝き、翌13年は12勝。順調にエースの階段を上りながら、昨年までの2季は7勝、5勝と右肩下がり。そんな5年目右腕がどんな思いで完全復活を遂げたのか。悔しさや周囲への感謝を自らの言葉でつづった。

 皆さんのおかげで優勝することができました。正直、マジックが1桁になっても優勝への実感は湧かなかった。25年ぶりだし、事が大きすぎるというか。「本当にできるのかな」という感じでした。入団5年目で優勝するなんて、プロ入り直後は想像してなかったかも…(笑い)。

 アマチュア時代から高校、大学とどこのステージでも優勝を目指してきました。そして、それが難しいことだというのも体験してきている。それがプロで達成でき本当にうれしい。特に短期決戦の学生野球と違って1年を通しての戦いなので格別なものはあります。

 学生時代といえば皆さんからよく夏の甲子園での佐賀北戦(※1)の話をされます。ただ、僕は昔のことを振り返らないというか「次へ」と考えるタイプ。あそこで負けた後もすぐ「次、絶対大学で日本一になってやろう」と思いました。だから今回の優勝は「あの時の雪辱を果たした」というより「あの時から成長できて良かった」というのが率直な思いです。大学でも日本一(※2)になれましたし、立ち止まることなく成長できたかな、と。ここ2年ふがいない成績(※3)だったので、今季は期するものがありました。オフには金田正一さんや東尾修さん、江川卓さんといった大投手の映像を見てフォームの研究もしました。いろんなことを試したかったし、同じことをやっていたら、また同じ結果になってしまう。何か変えないといけないと思いました。

 ブルペンでは30球程度投げますが「1回15球」と意識して、15球ずつを2回に分けて投げるようにしました。試合の初回が「3イニング目」という考え方で、これは黒田さんからのアドバイス。立ち上がりが良くなったかなと感じます。

 黒田さんにはいろいろアドバイスをいただきました。特に紅白戦、オープン戦の時期は投球のたびに「ここはどうだったでしょうか?」と自分なりに感じたことをぶつけました。ただ技術面はもちろん、精神面での相談が多かった気がします。

 ここまで14勝させてもらっていますが、勝った試合でも必ず課題を持つようにしています。課題とその克服を繰り返すことで、さらなる成長があるというのが僕の考え。勝っても満足することはまずないです。

 なので、自分が投げたなかで心に残る試合はありません。ただ、シーズン通してローテを一回も飛ばさなかったのは大きい。今年が初めてですから自信になりました。

 後半戦初戦(※4)では腰の張りを覚えたこともあります。でも1年ローテを守る上では、それとも付き合っていかないといけない。「ベストの状態じゃないから試合がつくれない」では話になりません。

 あえて印象に残る1試合を挙げるならプロ初完封(※5)でしょうか。これもゼロに抑えたことより、最後まで投げきれたことが自信になりました。うちは中継ぎ陣も盤石ですが、先発投手である以上、一回でも多く投げたい。

 今年は前田さんが抜けて「戦力が落ちた」という声が多かったと思います。正直、優勝を予想された方も少なかった。これにはチームの誰もが悔しさを感じていました。僕自身が“ポスト・前田健太”に指名される存在ではなかった。昨年までの成績を見れば当たり前かもしれませんが、悔しさも感じていました。ただ、言葉は悪いかもしれませんが「見てろよ」という気持ちになれた。当然毎年「見てろ」「やってやる」とは思っていますが、いつも以上に発奮できたのは確かです。

 今年1年よかっただけでは意味はありません。黒田さんや前田さんをはじめ「エース」と呼ばれた方々は5年、10年というスパンでチームに貢献している。今年やっとスタートラインにつけたかなという感じです。

 まだクライマックスシリーズ、日本シリーズと大事な試合が続きます。かといって、ここから急に球が10キロ速くなるわけじゃない。ここまでやってきたことを継続するのみ。それを全うして最終的に日本一になれたら最高ですね。 (広島投手)
(※1)2007年の決勝。7回まで1安打に抑えながら、8回裏に逆転満塁本塁打を浴びて優勝を逃す。
(※2)11年の明治神宮大会。3試合連続完封勝利は大会新。
(※3)14年7勝8敗、15年5勝8敗。
(※4)7月22日の阪神戦=マツダスタジアム。
(※5)4月27日のヤクルト戦=神宮球場。

最終更新:9/13(火) 11:37

東スポWeb