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<復興住宅>岩手県、空室貸与の方針 障害者ホーム用に

毎日新聞 9月13日(火)7時0分配信

 岩手県は、東日本大震災で被災した知的障害者のためのグループホームとして、同県陸前高田市の災害公営住宅(復興住宅)の空室を地元の社会福祉法人に貸し出す方針を固めた。国土交通省によると、復興住宅のグループホーム利用は全国初とみられる。他の被災自治体でも空室が課題になっており、有効活用の一例として注目されそうだ。

 県と同市は被災者の意向を確認した上で市内に計761戸の復興住宅を整備したが、入居を辞退する住民もいて、7月末時点で193戸が空室となっている。

 県と賃貸契約を結んで利用するのは「愛育会」(菅野高志理事長)。県営復興住宅「栃ケ沢アパート」2棟の6~7階7部屋で、知的障害者11人が月内に共同生活を始める見通し。

 同会は震災前、知的障害者が地域に溶け込み生活できるよう市内6カ所の空き家を借りてホームを運営。30~70代の28人が暮らしていた。

 震災時、入所者は高台の作業所にいて無事だったが、ホームは全て津波で流された。現在は愛育会がみなし仮設住宅の市営住宅4~5階をホームとして借り、11人が移り住んでいる。だが、今までと違い、コンビニエンスストアやスーパーといった買い物ができる店が少ないことや階段の上り下りなどを入所者がストレスに感じているという。

 愛育会は昨春、11人について復興住宅の空室への入居を申請した。県は、公営住宅の目的外利用に当たらないか国と協議した結果、入居する障害者も被災者であり、他の被災者からの入居希望も見込めないことを踏まえ、認める方針だ。同アパートにはエレベーターもあり、徒歩5分でコンビニにも行ける。

 愛育会の担当者は「新築の空き家より公営住宅の方が家賃が安く、入所者にとって経済的な負担も減る」と話す。

 早稲田大学の岡部耕典教授(福祉社会学)は「県の対応は評価できる。ただ、新しい環境への適応には時間がかかり、周りの住民の理解も必要。問題が起きないように、施設側と県が状況をこまめに把握する必要がある」と指摘する。【二村祐士朗】

 【ことば】災害公営住宅(復興住宅)

 災害で自宅を失った被災者のために、自治体が国の補助を受けて供給する住宅。公営住宅法は、災害発生時から3年間は被災者の入居に限ると定めている。2011年3月の東日本大震災では、津波による被災者向けに岩手と宮城、福島の3県で計2万4334戸を計画。7月末時点で1102戸が空室となっている。

最終更新:9月13日(火)7時0分

毎日新聞