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アングル:米石油産業、専門職には「雇用なき回復」

ロイター 9月13日(火)11時19分配信

[スプリング(米テキサス州) 12日 ロイター] - 原油価格が底値から持ち直し、米石油企業は徐々に生産と予算を増やしているが、いったん削減した専門職の人員回復には及び腰だ。石油産業のホワイトカラーにとって、今回は「雇用なき回復」となっている。

エリザベス・フーバーさん(58)は損傷した油田パイプを検査する技術職に就いていたが、1年8カ月ほど前に失職した。過去の景気循環と同じく、現在の苦境はいずれ過ぎ去るとの望みを捨てていない。

しかし業界幹部や人員採用専門家など数十人に取材したところ、今回は様子が違うようだ。

統計もこの懸念を裏付けている。過去25年間、エネルギー産業の雇用は原油価格に忠実に追随していた。それが今年は、原油価格が2月の1バレル=26ドル前後から6月には50ドル超に回復し、その後も概ね40ドル以上を維持しているというのに、人員削減が続いている。

米石油産業は価格の下落時に20万人以上を削減した。相場の回復が根付くかどうか現段階で疑問が残るのは確かだが、不透明な状況が長引けば長引くほど、フーバーさんのような技術職の現場復帰は難しくなる。

失業保険の給付期間もとっくに切れたフーバーさんは、何でもいいから給与の得られる職に就くしかないかもしれない、と考え始めている。「エネルギー職探しチーム」という人脈作りのイベントに参加したフーバーさんは「あと1年待つと財布が続かなくなる」と話した。このイベントには毎週数百人が集まっている。

<シェールブームの後遺症>

EOGリソーシズ<EOG.N>やパイオニア・ナチュラル・リソーシズ<PXD.N>など業界大手幹部は生産と予算を増やす方針を示しているが、雇用増には結び付いていない。

人材会社チャレンジャー・グレー・アンド・クリスマスによると、米エネルギー産業の人員削減は1─7月に9万5000人に達し、前年同期の7万人弱を上回った。

企業が採用の再開を渋っている要因の1つが、シェールブーム時の後遺症だ。米国の石油生産は5年間でほぼ倍増したが、多くの企業は現在の石油価格ではカバーできないような多額の債務返済負担を背負いこんだ。

石油価格の急落により、企業が急速なスリム化や技術改善を迫られたという要因もある。新たな油田の掘削とフラッキング(水圧破砕法)にはかつて1カ月以上を要したが、今では半月かそれ以下で済むようになり、必要な掘削要員や専門家の数も減っている。

<専門技術の喪失>

多くのブルーカラー職は建設その他の産業で新たな職に就いているが、専門職は他の業界ですぐに技術をいかせないため、転職が難しい。

求人サイト、インディードのデータによると、ブルーカラーの求人は過去5カ月間で上向いたが、エネルギー産業のホワイトカラーの求人は減り続けている。

多くのアナリストの予想では、企業は原油価格が60ドルを回復するまで大規模な採用を見送りそうだ。ベビーブーム世代の退職により熟練労働者が減り、将来の成長が損なわれるとの懸念があるが、それでも腰は重い。

今のところ、企業は稼動していなリグを再稼働したり、道半ばの油田掘削を完了することによって生産を増やせるが、新たな開発が必要になれば専門職の確保に苦労するかもしれない、と人材専門家は指摘する。

しかし油田サービス大手ハリバートン<HAL.N>の人材担当グローバル・バイスプレジデント、マヘシュ・プドゥチェリ氏は、業界の給与は魅力的なため人材確保に心配はいらないと楽観的だ。石油業界の給与は年間10万ドルを超えることが多い。

同氏はロイターに対し、「別の業界に行かざるを得なくなった人々も、石油と天然ガスの価格が持ち直した途端、われわれの業界に戻ってくるだろう。われわれは人を呼び戻すのに苦労したことはない」と話した。

(Ernest Scheyder記者)

最終更新:9月13日(火)11時19分

ロイター

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