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鈍い成長、政府に危機感 未来投資会議 他会議と重複の懸念も

産経新聞 9月13日(火)7時55分配信

 政府が12日に初会合を開いた「未来投資会議」は、技術革新による生産性の向上で、0%台前半に落ち込んだ日本経済の潜在成長率を高めることが目的だ。安倍晋三政権の経済政策、アベノミクスの「第3の矢」にあたる成長戦略や構造改革の加速をアピールする狙いがある。ただ、働き方改革や規制改革など、看板政策をめぐる官邸主導の会議は他にも残る。重複を防ぎ有効な政策をどこまで打ち出せるかが課題だ。

 「『国民生活の利便性を抜本的に高める』『技術革新の芽が社会変革につながる産業構造に改革する』などの切り口で検討を深めていく」

 安倍首相は未来投資会議の初会合でこう強調した。政府が危機感を抱くのは、日本経済の成長を阻害する人口減少対策に、即効性が望めないためだ。

 政府が同会合に提出した資料では、国際的にみて「情報化投資」や「人工知能の研究」などが日本では遅れているという。平成27年度は実質0・8%にとどまった国内総生産(GDP)成長率を高めていくには、不断の技術革新が欠かせない。

 その象徴として初回のテーマに選ばれた建設業界は、人手不足による弊害が激しい。総務省の労働力調査などに基づく推計によると、37年の建設技能労働者数は、必要な人数に比べて約130万人不足する。技術革新による生産性向上は「待ったなし」(石原伸晃経済再生担当相)だ。

 会合後の会見で石原氏は「本当にやらなければならないインフラ整備にマンパワーが追いつかない」と指摘。出席した建設業界関係者らからも、現場の技術革新を求める声が相次いだ。

 ただ、成長力を抜本的に底上げするには、技術革新だけでなく、働き方改革による労働力の増加や規制緩和を含む、総合的な対策が必要となる。

 賃上げや働き方については、近く初会合を開く「働き方改革実現会議」が担当する方向で、規制改革分野は、12日発足した規制改革推進会議が手がける。また「ローカルアベノミクス」は「まち・ひと・しごと創生会議」とテーマが似ており、未来投資会議との重複が出る懸念もある。

 重要な経済政策を扱う会議が並立するなかで、議論の重複を防ぎ、いかに効果的な対策を打ち出すか。安倍首相が成長戦略の「司令塔」と強調する未来投資会議のかじ取りが問われる。(山口暢彦)

最終更新:9月13日(火)7時55分

産経新聞