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<ブラックバイト訴訟>大学生「怖くて辞められず」

毎日新聞 9月13日(火)20時26分配信

 大手飲食チェーン店でアルバイトをした大学3年の男子学生(21)が4カ月間無休で働かされた上、店長に包丁で刺されたなどとして、運営会社側に未払いの残業代や慰謝料など計約800万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、千葉地裁である。ブラックバイトを巡る訴訟は全国初とみられ、大学生は「怖くて辞められなかった。学生を会社の都合だけで働かせるのは許されない」と訴える。

 「何でこんな目に遭わないといけなかったのか」。大学生は包丁傷の痕が残るという左肩をさすった。「『死ねよ』と首を絞められたこともある。殺されるかもしれない、耐えて働くしかないと思った」

 大学生によると、「DWEJapan」(千葉県成田市)が運営する「しゃぶしゃぶ温野菜」のフランチャイズ店で2014年5月に働き始めた。1日約5時間、週4日勤務だったが、人手不足で午前0時の閉店後の片付けも任されるようになり、15年春には1日約12時間勤務になった。

 「辞めたい」と訴えたが、当時の女性店長に「懲戒解雇にする。懲戒解雇となれば就職もできない」「店が潰れたら4000万円の損害賠償を請求する」と脅された。月150時間超の深夜労働が3カ月続き、4~8月の122日間は非番の日がなかったという。

 このため15年度前期は大学にほとんど通えず、一単位も取れなかった。飲み放題の客が制限時間を過ぎても帰らなかった時には「新しい客の注文を取れなかった損害」として10回以上にわたり計約23万円を払わされたという。大学生は「企業がアルバイトを軽視しない社会に」と願う。

 DWEJapanの代理人は毎日新聞の取材に対し「店長が打刻したタイムカードは正確でない可能性がある。未払い賃金などについては誠意を持って対応する用意があることは伝えている。暴行は、当時の店長が退職し事実関係の確認がとれていない」と話した。

 ◇歯止めのルールを

 労働組合「ブラックバイトユニオン」(東京都世田谷区・渡辺寛人代表)には、「テストがあるのにバイトを休めない」など月100件前後の相談がある。坂倉昇平事務局長は「サービス業などで低賃金の学生に過剰な責任と長時間労働を押しつけ、利益を上げる構造がまん延している」と警鐘を鳴らす。提訴した大学生に暴行したとされる元店長自身も8カ月間、休み無く働いていたといい「ブラック企業の社員が『ブラック』な部分をバイトに押しつけて加害者となるケースもある。歯止めをかけるルールを作らないといけない」と指摘する。【金森崇之】

最終更新:9月14日(水)18時16分

毎日新聞