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最新にして、最良――iPhone 7/7 Plusは、“後戻りできない進化”

ITmedia Mobile 9/13(火) 19:05配信

 ポルシェファンにとって、「最良のポルシェは?」と問われた時の答えは決まっている。いわく、「最新のポルシェ」だ。ポルシェは伝統と格式のあるブランドでありながら、それに甘んじて旧弊となることなく、常に“最新にして最良”を求め続ける。そして、ポルシェとしてのブランド体験やユーザー体験は揺るがさない。それに対する賛辞が、「最良のポルシェは最新のポルシェである」という常とう句になったのだ。

【6と7のホームボタンの違い】

 AppleのiPhoneもまた、それと似ている。

 iPhoneも最新のテクノロジーを積極的に取り入れる。しかし、そのテクノロジー自体には振り回されず、ユーザー体験がぶれることなく、常に「最良のiPhone」を目指す。ポルシェのライバルがそれまでのポルシェであるように、iPhoneのライバルはそれまでのiPhoneなのだ。

 そして、最新のiPhoneである。

 既報の通り、Appleは9月7日に「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」を発表。フルモデルチェンジとなる今回のiPhoneは、先代にも増して変化と進化の大きいものになっている。

 今回、筆者は日本向け製品版をいち早くテストする機会を得た。iPhone 7とiPhone 7 Plusは、どれだけ“最良のiPhone”になっているのか。その実力と魅力についてレポートしたい。

●全ての世界が明るく、カラフルに

 初めてRetinaディスプレイを目にした時の感動を覚えているだろうか。iPhone 7、そしてiPhone 7 Plusを初めて手にした時、まず感じたのは"あの時の感動"だった。そして数日iPhone 7シリーズを使うと、これまで見慣れたいたiPhone 6sやiPhone SEのRetinaディスプレイに、ずいぶんと色あせた印象を受けてしまった。パッと見て分かり、日常的にこれまでとの違いを実感するのが、iPhone 7の新世代Retina HDディスプレイである。

 その美しさは、写真を見るだけですぐに分かる。

 iPhone 7やiPhone 7 Plusで撮影した写真はもちろん、これまで撮りためた写真を見ても、世界が明るくカラフルになったように感じる。それもそのはず。iPhone 7シリーズでは、iPad Proシリーズと同じ広色域のRetinaディスプレイが採用され、カラーマネジメントシステムもiPad Proからのフィードバックを受けている。世界中のプロカメラマンをうならせた“iPad Proクオリティー”なのだ。その違いは素人目にもはっきりと分かるものだ。しかも、そのカラフルさは不自然に演出されたものではなく、とてもナチュラルで違和感がない。Appleのおはこである「ハードウェア技術とソフトウェア制御の高度な調和」が、この新たなRetina HDディスプレイの美しさに昇華している。

 もう1つ、色の再現性の高さが分かるのは、iPhone 7シリーズで映画を見たときだ。iPad Proと同様にiPhone 7/7 PlusのRetina HDディスプレイは、現在のデジタル映画と同じ色空間を使っている。そのためiPhone 7シリーズで見る映画は、スマートフォンで見ているとは思えないほどクオリティーが高い。映画好きなら、“手のひらに収まり、持ち歩けるミニシアター”というだけでも今度のiPhoneを買う価値があるだろう。その際には、より画面が大きいiPhone 7 Plusがおすすめだ。

 iPhone 7シリーズの画面の美しさ、とりわけ「正しく色を表示するすごさ」については、読者の皆さんがいま見ているPCやスマートフォンのモニター越しでは伝えることができない。iPhone 7シリーズが気になっている人も、そうでない人も、ぜひ実際の新世代Retina HDディスプレイを見てもらいたいと思う。「スマートフォンで、ここまで美しく色が表示できるようになったのか」と感動するはずだ。

●カメラ性能は飛躍的に向上、本格的な写真も簡単に撮れる

 今さら言うまでもないが、iPhoneは昔から数字にこだわらない。スペックシートの数字の違いが性能の決定的な差ではないことを教えてきたのが、iPhoneだからだ。それは今回、カメラの部分において顕著に表れている。

 iPhone 7シリーズの画素数は1200万画素。これはiPhone 6sシリーズと同じだが、カメラ機能の中身はまったく違う。実際に使ってみると、“iPhoneのカメラ”が飛躍的な向上をしたことが分かる。

 それがはっきりと分かるのが、夜や屋内など薄暗い場所での撮影時だ。カメラレンズがこれまでより明るくなり、全モデルに光学式手ブレ補正が入ったことで、薄暗い場所でもきれいな写真が撮れるようになった。これにはiPhone 7シリーズで搭載されているA10 Fusionチップの「ISP(画像信号プロセッサ)」による高度なソフトウェア処理も貢献している。ユーザーは何となくフォーカスを合わせて、気軽にシャッターボタンを押すだけで、ソフトウェアが自動的に最適な処理で“きれいな写真”にしてくれるのだ。

 また、iPhone 7 Plusでは「広角」と「望遠」の2つのカメラユニットを組み合わせて、2倍の光学ズームと10倍のデジタルズームを実現。これが実際に使ってみると、実に便利で楽しい。光学2倍のズームで画質劣化がないのはもちろんだが、デジタルズームの画質劣化も最小に抑えられている。このズーム機能は写真撮影だけでなく、動画撮影でも有効なので、かなり使い勝手がいい。

 iPhone 7 Plusは画面サイズが大きいこともあり、撮った写真をその場で友達や家族と見るのにも最適だ。スマホで写真をいっぱい撮るカメラ女子や、子どもの写真をいっぱい撮りたいファミリー層ならば、iPhone 7 Plusのカメラの楽しさはぜひ試してもらいたいところだ。

●違和感があるのは最初だけ――新型ホームボタンの使い勝手

 ディスプレイとカメラは、誰もが納得する機能強化ポイント。一方で、古くからのiPhoneユーザーであるほど賛否両論が出そうなのが、物理的な構造を廃止した新型のホームボタンである。

 周知の通り、iPhoneのホームボタンは、2007年の初代iPhoneから続く特徴的な機構にして、iPhoneのデザインアイデンティティーである。カチッというクリック感とともにホームボタンを押し込む感覚は、フィジカルな小気味よさとしてiPhoneユーザーの身体に染みついている。そこに何かしらかの安心感を感じる人も少なくないだろう。

 しかしiPhone 7シリーズでは、従来の物理的なホームボタンを廃止。ホームボタンがあった場所は少しへこみがあるだけになっている。押した時の感触はTaptic Engineが疑似的に生成しており、物理的な“スイッチ”はそこにない。

 この新型ホームボタンを実際に使ってみると、最初はやはり少しの違和感があった。Taptic Engineによるクリック感のフィードバックだと、iPhoneの下部全体が“沈み込む”ような感覚があるからだ。しかし、この違和感は一部で言われているほど大きなものではなく、すぐに体が「これはやはりボタンである」と錯覚するようになる。なぜなら、Taptic Engineによるクリック感は、ホームボタン上に指がかかっていないと作動しないからだ。

 そして、この新型ホームボタンには、従来のホームボタンにはないメリットが複数ある。物理的な構造が減ったことでiPhoneとしては初めて防水性能を実現し、また故障のリスクも減少した。またTaptic Engineによるクリック感は、好みの強さ設定することが可能だ。筆者がいろいろと試したところ、これまでiPhoneを使ってきた既存ユーザーは、初期設定の「2」よりも、さらにクリック感の強い「3」にした方が違和感が少ないだろう。

●ステレオスピーカー&AirPodsで音楽シーンでも楽しく

 iPhoneで忘れてはならないのが「音楽」である。かつてオーディオプレーヤーのアプリを「iPod」としていたように、AppleはiPhoneのオーディオ機能に並々ならぬこだわりを持っている。iTunes Storeの音楽サービスも合わせて、iPhoneはスマートフォンの中でも屈指の使いやすくて便利な音楽環境を持っている。少し大げさな言い方をすれば、AppleはiPodの時代からずっと音楽シーンを変え続けているのだ。

 そしてiPhone 7では、“オーディオ”の部分で2つの変革が行われた。「内蔵スピーカーの機能強化」と「ワイヤレス化の推進」である。

 まず内蔵スピーカーの強化では、単純にステレオ化がされただけでなく、音質と音量の両方が大幅に向上している。ボリュームを上げればモバイルスピーカー並みの音量になり、しかも最大音量でも音楽や映像の音が割れない。これまでの電話機のスピーカーから、きちんとサウンドを楽しむためのスピーカーになっている。自分の部屋や旅行先のホテルなどで気軽に音楽や映像を楽しむのなら、イヤフォンを使わず内蔵スピーカーでも十分に満足できる。また、音量を上げても聞き取りやすいので、YouTubeで見つけた動画を恋人や家族とカジュアルに楽しむといった用途にも最適である。

 また個人的に重宝したのが、iPhoneでカーナビアプリを使う時だ。従来のiPhoneよりも音質・音量ともに向上しているので、ルート案内の音声が聞き取りやすい。無論、自分のクルマでカーナビアプリを使うのなら、LightningケーブルやBluetooth接続でカーオーディオから音声出力した方が聞き取りやすいのだが、例えば旅行先のレンタカーやカーシェアリングのクルマでカーナビアプリを使う際などは、iPhone単体で音声ガイドが聞き取りやすいというのは便利だろう。

 一方、オーディオ出力のワイヤレス化では、3.5mmのアナログイヤフォン端子の廃止が1つの象徴といえる。Appleはイヤフォン端子廃止の代替として、Lightning端子のイヤフォン利用や、過渡的なものとしてLightning端子とアナログイヤフォン端子の変換ケーブルなど用意しているが、真の狙いは音楽を聴くのに邪魔なケーブルそのものをなくしてしまうことだ。そのためにわざわざ独自のワイヤレスオーディオチップ「W1」まで開発した。

 そしてAppleの目指す新たな音楽体験を体現したのが、「AirPods」である。この新しい小さなワイヤレスイヤフォンは、まるでSF映画から飛び出してきたかのようなデザインだが、実際の機能や使い勝手もまた未来感のあふれるものだ。iPhoneの近くでふたを開ければ自動的にペアリングが行われ、耳に装着すると自動的にAirPods側にオーディオ出力が切り替わる。音楽を聴いている時に耳から外せば再生が止まり、本体をポンッと軽くたたけばおなじみのSiriが起動する。

 気になるAirPodsの装着感だが、これは純正のEarPodsにかなり近い。しかしワイヤレスなのでケーブルが何かに引っ掛かるということがなく、また本体内蔵のバッテリーが小さくて重量が軽いため、見た目に反してしっかりと装着できる。AirPodsを付けたまま階段を駆け上がるなどしてみたが、途中でぽろりと外れるような心配はなかった。またAirPodsのケースにはマグネットが仕込まれており、イヤフォンを近づけるとシュッと引き込まれて磁石でくっつく。このあたりの感覚はMagSafeコネクターに似ているが、いずれにせよ、イヤフォンをケースに出し入れする際に落とすといった心配もほとんどなくなっている。

 ちまたではiPhone 7シリーズで従来のイヤフォン端子が廃止されたことを嘆く声も聞かれるが、AirPodsを体験したら「今さら有線には戻れない」と強く感じること請け合いである。そのくらいAirPodsのユーザー体験はすばらしく、Appleらしさを感じる魔法のアイテムに仕上がっている。とりわけ日々の生活で音楽が欠かせない人なら、iPhone 7とセットでAir Podsを買って損はないだろう。

●期待が高まる「発売後の新機能」

 今回のテストは発売前だったこともあり、iPhone 7の全ての機能が試せたわけではない。特に日本市場で注目の「Apple Pay」および「Suicaサービス」や、iPhone 7 Plusの特徴の1つである「被写界深度エフェクト」の機能が利用可能になるのは10月であり、現時点で試せなかったのは残念な限りである。しかし、1人のユーザーとしていえば、iPhone 7とiPhone 7 Plusは発売後にも楽しみな新機能が控えているというのはうれしいところである。

 今回はやや試用期間が短かったが、それでもiPhone 7とiPhone 7 Plusが「最新にして、最良のiPhoneである」と臆することなく断言できる。その変化と進化の大きさ、そして所有する喜びの大きさという点では、ここ数年でナンバー1かもしれない。

 iPhone 7/iPhone 7 Plusの発売まで、あと3日。その魅力は、実機を見れば一瞬で分かるはずだ。

最終更新:9/13(火) 20:48

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