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クリプトン、DSD/MQA対応のオールインワンスピーカー最上位機「KS-9Multi」

Impress Watch 9月13日(火)18時44分配信

 クリプトンは、ハイレゾ対応のUSB DDCやデジタルアンプを搭載した、KSシリーズのフラッグシップスピーカー「KS-9Multi」を10月1日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は28万円前後(ペア)。愛称は「ハイレゾナイン・マルチ」。

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 また、ハイレゾフォーマット「MQA」の配信コンテンツ第2弾も発表。同社配信サービスのKRIPTON HQM Storeの配信作品から、評判の高い音源を選別してMQA化したというアルバムを11月1日より配信する。なお、MQAの第1弾は既報の通り10月1日から開始される。

■MQAデコーダも内蔵したスピーカー「ハイレゾナイン・マルチ」

 2ウェイユニット搭載の小型スピーカーに、DDCとデジタルアンプを搭載。ハイレゾ音源などをデジタルのまま処理/増幅することで、オリジナルに忠実な再生を追求。外部USB DACなどを必要とせず、スピーカー本体でデコードが行なえる。

 再生フォーマットは、既存モデル「ハイレゾセブン(KS-7HQM/実売25万円前後)」で対応しているPCM(最大192kHz/24bit)に加え、新たにDSD(2.8MHzまで/DoP)と、MQAのデコードにも対応したのが大きな進化点で、「ハイレゾ・マルチメディアの性能を引き出すクリプトンKSシリーズのフラッグシップモデル」であることから愛称を「ハイレゾナイン・マルチ」とした。なお、既存モデルのKS-7HQMは今後も継続して販売する。

 KS-7HQMとスピーカーユニットやオールアルミのエンクロージャなどは共通だが、内部デジタルオーディオ回路などを一新。最新のXMOSを用いたDDC回路構成で、PCM/DSD/MQAの各フォーマットに応じたデコードなどを行ない、FPGA(ファームウェアを読み込ませて回路構成を自由に変えられる汎用性の高いLSI)で組んだDSPに送り、DSP内のデジタルクロスオーバーネットワークを経てアンプへ入力される。

 アンプはフルデジタルのバイアンプ構成で、出力は40W×4(低域用×2、高域用×2)。DDC回路とデジタルアンプを直結しており、変換ロスを抑え、ハイレゾ音源の良さを活かして再生可能としている。

 他社のMQA製品との違いとしているのは、MQAデコーダも自社製という点。クリプトンがHQM Storeで10月1日から配信するMQA音源も、自社製のソフトウェアのエンコーダを使用して作成されたもので、「エンコード/デコードを自前でできるのは現時点でクリプトンだけ(オーディオ事業部長の渡邊勝氏)」としている。

 スピーカーユニットはデンマーク製で、60kHzの高域までサポートする30mmのリング型振動板のツイータと、84mm径のウーファを搭載。エンクロージャはオールアルミで厚さは8mm。スピーカーベースとネオフェードカーボンマトリックス3層材のインシュレータも備える。内部には折り曲げたダクト(フォールデッドダクト)を用いたチューンドバスレフ方式により、豊かな低域再生が行なえるという。周波数特性は60Hz~60kHz。クロスオーバー周波数は3.5kHzで従来と同じだが、低域のカットオフは50Hzまで広げたという。

 入力端子はUSB B、光デジタル、アナログ音声(ステレオミニ)、HDMIの4系統で、KS-7HQMと共通。HDMIのスルー出力も装備。HDMIはBlu-rayプレーヤーとの接続を想定したもので、192kHz/24bitなどのBlu-ray Discオーディオに対応する。光デジタル入力やステレオミニのアナログ入力も備え、ポータブルプレーヤーやCDプレーヤーなどとも接続可能。

 KS-7HQMからの変更点として、スピーカーのグリルを従来のジャージ素材から絹に変更。西陣織による日本独自の柄を用いており、不要な乱反射や吸音を防ぐという。

 さらに、付属するUSBケーブルは、クリプトン製の「UC-HRP1.0」に変更。このケーブルは電源線と信号線に分けたデュアル構造で、シールドテープにより、電源線に乗ったデジタルノイズの悪影響から信号線を保護。ジッタ成分が少なく、電圧マージンもとれ、ノイズ耐性に優れる点を特徴としている。

 ディスプレイは備えていないが、フロントにLEDを複数搭載し、LEDの色と数で再生しているハイレゾデータが判別できる。PCM 48kHz系のデータが入力されるとオレンジに、44.1kHz系ではグリーンに光る。さらに、LEDの個数で、1つが48kHz/24bit、2つで96kHz/24bit、3つで192kHz/24bitと、サンプリング周波数を表現。また、DSD再生時は左からグリーン、オレンジ、グリーンの3つが点灯。MQAの場合はイエロー1つが44.1/48kHz、24bitで、2つは88.2/96kHz、24bit、3つは176.4/192kHz、24bit。

 外形寸法と重量もKS-7HQMと同じで、インシュレータを含めて130×170×200mm(幅×奥行き×高さ)、左が約2.9kg、右が約3kg。リモコンも付属する。

 従来機種のKS-7HQMと、新機種のKS-9Multiの比較試聴も行なった。ウィリアムス浩子「A Wish」を再生すると、従来のKS-7HQMも小型スピーカーながら、広い部屋でも高解像度で鳴らせる力を味わえたが、KS-9Multiにすると、同等の大音量でも一段と余裕を感じる。「驚異のデュオ チェロとコントラバスのためのデュオ ニ長調 I.」を聴くと、豊かになった低域の芯の太さに加え、シャープな解像感や、立ち上がり/立ち下がりの俊敏さなどで、従来のKSシリーズの良さも活かされている。今回はニアフィールドでの試聴ではなかったが、デスクトップ以外でも活躍しそうな実力を感じた。

■MQA配信の第2弾発表。年内に約40タイトル予定

 KS-9Multiに合わせて、HQM StoreでのMQA配信タイトル第2弾も発表。「ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲」(192kHz/24bit、3,300円)や、「チューリップ・ガーデン2」(192kHz/24bit、2,760円)、「ウィリアムス浩子 A Wish」(176.4kHz/24bit、2,400円)など10タイトルを11月1日より配信する。HQM Storeでは、今後の追加により年内に約40タイトルの配信を予定している。

 MQAの日本代表・鈴木弘明氏が、今回の発表に合わせてMQAの現状などを説明した。MQAをサポートするメーカーや配信サービスが拡大していることを紹介し、今後はOTOTOYが対応を予定していることや、海外のTIDALがストリーミングでのMQA配信を始める見込みであるといった動向を報告。米国では、Wi-FiでMQAファイルをワイヤレス伝送して再生する機器をBluesoundが発売していることなども紹介し、今回のクリプトンによる対応を含め、MQAの広がりに期待を示した。

 クリプトンの濱田正久社長は、今回のKS-9Multi製品化について、「(8月に発表した)MQAの配信だけでは、ハードウェア会社らしくないと思っていたが、配信と同時期にハードウェア(KS-9Multi)を発売できる形になった。時間を掛けたが、これならMQAの本質をとらえたと認めてもらえるようなものに仕上がった」と自信を見せた。

AV Watch,中林暁

最終更新:9月13日(火)18時44分

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