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社保審介護保険部会 被保険者の対象拡大は時期尚早

福祉新聞 9月13日(火)9時58分配信

 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が8月31日に開かれ、被保険者範囲の拡大について議論した。介護費用が増え続ける中、中長期的に拡大は避けられないとの意見もあったが、現時点では「国民的な議論が必要」「若者の理解が得られていない」など時期尚早との見方が相次いだ。

 介護保険の被保険者は、65歳以上の1号被保険者と40~64歳の2号被保険者からなる。法制定時の付則には「被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲を含め必要な見直しなどを行う」と記され、これまで制度の普遍化(保険料を負担する層を広げて年齢や理由に関係なく介護サービスを提供する)について繰り返し議論されてきた。

 被保険者の対象年齢は、親が介護を必要とする可能性が高くなるなどの理由から、40歳以上に設定された経緯がある。しかし40歳以上の人口は2021年をピークに減少。推計では35年に40~64歳人口(3680万人)より65歳以上人口(3741万人)の方が多くなるとされ、制度の持続性をどう確保するかが課題になっている。

 同日の部会では、被保険者の年齢引き下げに反対の立場として、岡良廣・日本商工会議所社会保障専門委員は「40歳未満は子育ての負担があり、むしろ支援が必要」、佐野雅宏・健康保険組合連合会副会長は「若者への負担のしわ寄せでしかない」と述べ、給付の効率化や利用者負担の見直しを優先すべきとした。

 制度の普遍化の議論のあり方として大西秀人・全国市長会介護保険対策特別委員長(香川県高松市長)は「税負担もセットにして国民的な議論を巻き起こすべき」、鈴木隆雄・桜美林大大学院教授は「社会保障全体の中で考えるべきで、一部会で議論する内容ではない」と指摘した。

 一方、桝田和平・全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員長ら複数の委員から「39歳以下で介護を受ける可能性は低いので保険料を段階的に少額にする仕組みにしてはどうか」といった意見もあった。

 同日はそのほか▽通所介護と通所リハビリの役割分担▽中重度者の在宅生活を支えるための小規模多機能型居宅介護などの機能強化▽利用者が重度化する中での特別養護老人ホームの役割▽介護保険における現金給付-なども議論した。

 特養の役割では、齋藤訓子・日本看護協会常任理事が「外部の医療サービスを受ける仕組みも必要では」と発言したのに対し、桝田氏は「介護職の医行為を広げる方がよい」と述べた。現金給付については井上由美子・高齢社会をよくする女性の会理事が「サービスの整備を優先すべき」と発言した。

 今回の会合で、2月の部会で提示された検討事項について一通りの議論を終えた。次回からは開催頻度を増やし詰めの議論を行い、年内に意見を取りまとめる。

最終更新:9月13日(火)9時58分

福祉新聞