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北朝鮮の核実験、国際包囲網の「正面突破」狙う

ニュースソクラ 9/13(火) 12:30配信

北朝鮮に「甘い」中国が窮地に

 北朝鮮が先週、5回目の核実験を行ったと報道された。今年1月に続いて2回目になる。この間、ミサイルの発射実験も繰り返しており、北朝鮮情勢をめぐる緊張が高まるのは間違いない。すでに厳しい経済制裁受けているにも関わらず、なぜ今踏み切ったのか。

 過去の核実験はだいたい3年に1度のペースで行われてきた。そのたびに国際社会は北朝鮮への監視、経済制裁を強めてきた。今回は、前回からわずか8カ月しか立っていない。

 北朝鮮は、36年ぶりに開いた今年5月の第7回朝鮮労働党大会で、「核と経済開発の並進路線」を確認していた。これを金正恩委員長の路線として、打ち出したわけだ。

 9日は、北朝鮮の建国記念日であり、国威発揚に利用するため、このタイミングで実験を行った可能性が高い。

 この日は、中国で開かれた主要20カ国(G20)首脳会談など、一連の国際会議が終わった直後という微妙な時期でもある。核実験は、国際社会の動きを十分に意識したものとみてよいだろう。

 国連安全保障理事会は、北朝鮮が5日に行った3発の弾道ミサイルの発射を厳しく非難する報道機関向けの声明を出している。これに対し北朝鮮外務省スポークスマンは7日、「われわれの生存権や自主権、自衛権の侵害」と非難、「全面排撃する」と表明し、核実験をやめない姿勢を明確にしていた。

 一連の国際会議では、北朝鮮の核やミサイル実験を批判する意見が相次いだ。安倍晋三首相と朴槿恵韓国大統領は、ラオスの首都ビエンチャンで7日に行った首脳会談で、北朝鮮のミサイル発射を批判し、共同して対処することを確認した。

 また8日には、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国が議長声明を発表し、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射について深い懸念を表明している。

 こういった包囲網強化の中で、あえて正面突破を狙って実験を強行し、自分たちの核能力を国の内外に見せつける道を選んだとみられる。

 今年末の米大統領選をにらんで、駆け込みで実験を行ったとも考えられる。核能力をできるかぎり拡大して、米国を交渉の場に引き出す狙いだ。

 北朝鮮の友好国で、経済的な結びつきが強い中国も、今回の「実験」に強い関心を示している。

 中国政府は今年1月、北朝鮮が4回目の核実験をした際、事前に通報を受けていないとして厳しく批判している。

 だが、今後、制裁が強まって北朝鮮が不安定になることは望んでいない。今年に入って、中国は密かに北朝鮮への経済制裁を緩めたと報じられている。

 こういった中国の「甘い姿勢」が、核実験につながったとして国際社会から批判を浴びるのは間違いない。中国は、南シナ海への海洋進出問題に加え、北朝鮮問題に関しても、苦しい場面が増えそうだ。


■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にしたが、現在は連絡が途絶えている。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。

最終更新:9/13(火) 12:30

ニュースソクラ

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