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メロスとは大違い!? 親友を人質に「太宰治」がとった行動とは?

TOKYO FM+ 9/13(火) 11:40配信

秋に入り、マラソンを始めようと考えている人も多いのではないでしょうか。そもそもマラソンの語源は「ギリシャ軍の勝利を知らせるため、マラトンからアテネまで兵士が走ったこと」なのだとか。走ることには、こんな意外なドラマがあったんですね。そしてドラマティックな走りで思いつく小説といえば、やっぱりこれ! 今回は「走れメロス」の作者・太宰治に関するお話です。

日本の文豪の中でも人気の高い人物、太宰治。
そんな彼の代表作のひとつといえば「走れメロス」ではないでしょうか。
簡潔で読みやすく、教訓もわかりやすいため、教科書でもおなじみのこの作品。
実は隠されたエピソードがあるのです。

「メロスは激怒した」というインパクトの強い文章で始まる物語。
暴君ディオニス王の暗殺を決意するものの、捕えられてしまった主人公メロス。
処刑は受け入れたものの、妹の結婚式に出席するため、猶予が3日間欲しいと王に頼みます。
ですが、それには親友・セリヌンティウスを人質として渡すことが条件……。
メロスが帰らなければ、セリヌンティウスは代わりに殺されてしまうのです。
必ず戻ると約束し、結婚式に向かうメロス。
帰ってくるはずがない、逃げるに決まっているとあざ笑うディオニス王……。
ですが、メロスは自分を信じてくれた友のため、自らが処刑される場所へとひた走るのでした。

と、誰もが知っているこのストーリー。
実は作者の太宰も、似たようなエピソードを持っています。
作家である檀一雄と親友関係にあった太宰。
ある日2人は熱海で遊びまわり、気付けば財布が空になっていました。
旅館のお代が払えなくなった太宰は、檀を人質に残し、ひとり東京へとお金を取りに戻ります。

「必ず戻るから信じて待っていてくれ!」
……と言ったかどうかはわかりませんが、待てど暮らせど帰って来ず。
檀のほうも、セリヌンティウスのように友を疑った自分を恥じたかと言えばそうではなく、「どう考えても怪しい!」と旅館の主人に事情を話し、東京に様子を見に行きます。
探しまわって見つけた先は、井伏鱒二の家。
なんと、縁側でのんきに将棋をさしていました。

その顔を見て「ああ、檀くん」と驚く太宰。
「なんだ、君、あんまりじゃないか!」と怒る檀一雄にひと言、こう言ったそうです。

「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」

メロスとはかけ離れた結末の「走れ太宰」。
友を放って遊び、最後は逆ギレだなんて、これでは「人間失格」ですね!

(TOKYO FMの番組「シンクロのシティ」2016年9月12日放送より)

文/岡本清香

最終更新:9/13(火) 11:40

TOKYO FM+