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自ら動けば世界は変わる アルスマグナ、初主演映画で伝えたいこと/レビュー

MusicVoice 9月13日(火)15時30分配信

 2.5次元コスプレダンスユニットのアルスマグナの初主演映画『ザ・ムービー アルスマグナ危機一髪!』が17日に、全国12の劇場で1週間限定公開される。今年1月3日におこなった日本武道館での単独公演『ARSMAGNA Special Live 私立九瓏ノ主学園「迎春祭」』で映画化が発表され、ファンの間で話題になっていた。“2.5次元”という現実と非現実の両空間で繰り広げられる物語は、その特性から限りなくリアルであり、まさに彼らの今を象ったドキュメンタリー映画とも言える。一見、笑いあり、涙ありの感動ストーリーだが、この作品で隠された彼らの真意とは…。

■限りなくノンフィクション

 彼らは二次元にもいるし、三次元にもいる、ある種のパラレルワールド的な存在だ。メンバーは、とある学園『私立九瓏ノ主(クロノス)学園』のダンス部に所属する、神生(かのう)アキラ、泉奏、朴(パク)ウィト、榊原タツキ、九瓏(くろう)ケント、そして、ぬいぐるみのコンスタンティンの5人と1匹。アキラのどこまでも真っ直ぐな歌声と個性的なダンスパフォーマンスが魅力だ。

 今年1月3日には日本武道館で単独公演をおこない、7月13日にリリースした5枚目のシングル「サンバDEわっしょい!feat.九瓏幸子」では小林幸子扮する九瓏幸子と共演した。そして、先月には全国ツアー『炎夏祭~SAMBA CARNAVAL~』を終了したばかり。

 そのなかで公開を迎える映画『ザ・ムービー アルスマグナ危機一髪!』の物語は、アルスマグナが通う、私立九瓏ノ主(クロノス)学園が舞台。同学園に現れた、新たなライバルグループとの奮闘を描いた内容で、仲間の絆を揺さぶられながらも、解散危機回避を目指して果敢に立ち向かっていく姿を描いた、青春学園ムービーとなっている。

 このドキュメント作品に華を添える共演陣も個性派揃いだ。お笑いコンビ・流れ星のちゅうえいと瀧上伸一郎、2枚目のシングル「夏にキスしていいですか?」のMVでも共演した、お笑いタレントのキンタロー。が出演。そして、ライバルグループには、若手イケメン俳優コンテストで、グランプリを獲得した染谷俊之が名を揃える。

 近年、アーティストのライブやドキュメントが劇場公開される機会が多くなってきている。今年6月に結成10周年を迎えたHilcrhymeのライブ作品『Hilcrhyme 10th Anniversary LIVE「PARALLEL WORLD」』や、SING LIKE TALKINGのLIVE MOVIE『SING LIKE TALKING LIVE MOVIE-Strings of the night-』、過去にはX JAPANのギタリスト故・HIDEさんの生誕50周年を記念して制作されたドキュメンタリー映画『JUNK STORY』などがある。

 同じドキュメントの要素を持ちながらも一線を画しているのが今作である。それは彼らの活動フィールドが大きく影響している。ライブ作品が多い中、青春学園ストーリーとして発表されるこの作品は、音楽ものとしては異質な部類と言える。しかし、2.5次元という場で活動し、自身のライブでも芝居仕立てのストーリー展開を見せる彼らにとっては限りなくノンフィクション作品なのだ。

 それは、公開前から予告編を観たファンの声にも表れている。一部のファンはネット上に「この予告編見ちゃったら見に行かなきゃ気が済まない」や「これだけでうるうるしてどぉーすんだ これ大画面で観れちゃうんだよね」などと書き込み、早くも期待を寄せる声を挙げている。それは、この作品が単なる“青春学園物語”という枠で終えているのではなく、彼らの姿を描いたドキュメント作品だからである。

■僕らが出るとどこかドキュメント

 神生アキラも以前、小媒体のインタビューで「僕らが出るとどこかドキュメントなんですよね。なので、僕らの世界を改めて、映像で覗きに来てもらいたい」と語っていた。まさにドキュメント。そして、この作品では、アルスマグナのメンバーの個性がよく表れている。アルスマグナを初めて観るという人には、自己紹介的な作品としても役割を果たすだろう。

 また、この作品を大きく捉えると現実社会にも繋がるテーマが見えてきた。バラバラの境遇と人間性を持つアルスマグナのメンバーが、ダンスという一つのテーマに向かって切磋琢磨していく。これは社会性を持ったヒューマンドラマとも言える。待っていても何も変わらない、自ら動くことによって世界は変わる。これは、いつの時代にも通じる普遍的なテーマなのである。

 自分の信じる道を、仲間とともに進んで行く姿に心を打たれる人もいることだろう。苦悩と葛藤を経験して人は成長し、絆を深めていく。今の現代社会に大きく欠落していると思われるこの課題を、アルスマグナのメンバーが、笑いあり、涙ありの演技で伝えているとも言える。

 もちろん、シンクロ率120%のダンスシーンもふんだんに盛り込まれている。そして、映画の主題歌は、通算6枚目のシングル「EverYell」に収録され、21日にリリースされる。この新曲「EverYell」は、「辛くなったらここに来ればいい」というメッセージが込められた応援歌である。アルスマグナらしい独特で軽快なダンスで、楽曲の持つメッセージをより一層強固なものにしている。

 8月12日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でおこなわれた『アルスマグナLIVE TOUR 2016「炎夏祭~SAMBA CARNAVAL~」』で、九瓏ケントは「楽しみに行くか、楽しまないで行くかは自分の気持ち次第、僕にもみんなにも家族や友達、仲間がいる。辛い時、苦しい時、悲しい時はみんなが一緒なら乗り越えていける」と話していた通り、まさにそれを前面に押し出した作品となった。(文・村上順一)

最終更新:9月13日(火)15時30分

MusicVoice

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。