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[ニュース分析]米国も反対する「核武装」をする?「北核対応失敗の隠蔽狙い」

ハンギョレ新聞 9/13(火) 20:45配信

広がりを見せる「核武装論」、現実性のない理由 ⑴NPT違反で国際的孤立を招く ⑵米国「拡大抑止」戦略揺ぎない ⑶「核武装」先決「戦作権返還」は沈黙

 北朝鮮による5回目の核実験の直後から、セヌリ党を中心に核武装論の声が高まっている。北朝鮮の4回目の核実験直後には、ウォン・ユチョル当時セヌリ党院内代表だけが核武装論を提起していたが、今回はセヌリ党の李貞鉉(イジョンヒョン)代表をはじめ、金武星(キムムソン)前代表、キム・ムンス、オ・セフン議員など、党内の有力大統領候補までが加勢した。チョン・ジンソク院内代表をはじめ31人のセヌリ党議員は「北朝鮮核問題解決のためのセヌリ党議員の会」(核フォーラム)名義で12日、「核武装などあらゆる可能な手段を動員して大韓民国や国民の安全を守らなければならない」として、決然たる声明まで発表した。セヌリ党の核武装論は「自衛権としての独自核武装」(核フォーラム声明)から「米国の戦術核兵器の再配備」まで振幅はあるが、本質的には同じものだ。核で核を阻止しようという主張だ。

 これは適切な対応なのだろうか。また現実性はあるだろうか? 外交・安保分野の元高官らは、「韓国も北朝鮮のように世界から孤立しようとする、とんでもない主張」だと一蹴した。北朝鮮の核問題を担当した経験が多いある元高官は「セヌリ党の核武装論者がバカでない限り、狙いは他にあるだろう」として、「朴槿恵(パククネ)政権の北朝鮮核対応政策の失敗に向けられる批判世論の矛先を変えることが目的」だと指摘した。

 韓国の核武装は国際社会の不拡散レジームである核兵器不拡散条約(NPT)はもちろん、韓米同盟レベルの原子力協定違反だ。1992年、盧泰愚(ノテウ)政権が国際社会に公約した朝鮮半島非核化共同宣言の破棄でもある。韓国の核武装は、北朝鮮のように、韓国も国際社会の責任ある一員であることを放棄して「核を手に国際社会から孤立する」という宣言だ。

 核武装をするためには、兵器級のウランを濃縮(90%)するか、プルトニウムを再処理しなければならない。しかし、5年間の交渉の末に42年ぶりに改正され昨年発効(11月25日)した新しい韓米原子力協定は、韓国が非軍事的な目的で独自にウランを濃縮することやプルトニウムの再処理を行うことを禁止している。米国政府は、李明博(イミョンバク)・朴槿恵政権が改正交渉で強く求めていた「パイロプロセシング」(核燃料の再処理技術)さえ許さなかった。

 実際、米国政府はすでに韓国の核武装に反対する方針を数回にわたって明らかにしてきた。バラク・オバマ米大統領が6日、ラオスで行われた朴槿恵大統領との首脳会談後の共同記者会見で、「拡大抑止を含む米国の国内防衛公約に揺るぎはない」と公言したのが、それに当たる。オバマ大統領は、北朝鮮の5回目の核実験直後に発表した個人声明でも「(朴大統領との電話会談で)拡大抑止を提供するという約束を再確認した」と繰り返し強調した。「拡大抑止」とは、米国が韓国に核兵器を配備しなくても、米国本土と沖縄、グアムをはじめとする太平洋の米軍基地に展開した戦略資産を持って、韓国に「核の傘」を提供するという意味だ。見方を変えると、「米国が確実に保護するから、韓国は核武装を進めてはならない」という戦略的けん制だ。したがって、米国の「拡大抑止」公約は米国の戦術核兵器の再配備案も排除する。米国務省の関係者は「戦術核兵器を再配備しようという話は米国の軍事戦略にふさわしくない時代錯誤的な発想」だと一蹴した。「核武装論は韓米同盟を破棄しようということ」(チョン・セヒョン元統一部長官)という指摘が出てくるのも、そのためだ。

 韓米同盟の破棄の危険と核兵器不拡散条約の違反による国際社会の強力な制裁を押し切って核武装に乗り出したら、どうなるだろうか。北朝鮮のように、経済・外交・軍事的孤立と「暗黒時代」への後退が韓国人を待っている。

 韓国は貿易依存度が99.5%(2015年韓国銀行の基準)に達する貿易国家だ。国際社会の制裁の中で現在の生活水準を維持するのは不可能だ。しかも、韓国はエネルギー資源の国外依存度が96~97%のエネルギー弱小国だ。24の原子力発電所を利用した核発電の比重が31.5%だ。核エネルギー依存度が世界4位、電力消費量世界10位の「エネルギー弱小国+多消費国」、これが韓国の現実だ。韓国は核発電に必要なウランを100%輸入しているが、核武装に伴う国際制裁はこれをも不可能にする。その結果は慢性的「ブラックアウト」(大規模停電事態)だ。

 誰にも見つからず、ひそかに核武装をすることは不可能に近い。韓国のすべての核発電所の使用済み燃料貯蔵施設には、国際原子力機関(IAEA)の監視カメラが設置されているが、24時間稼動され、3分単位で監視映像を国際原子力機関に送っている。盧武鉉(ノムヒョン)政権時代の2004年、科学技術研究院(KIST)の跡地で、1982年に極少量のプルトニウム抽出実験を行った事実が確認された時、国連安全保障理事会への付託まで主張し、最も強く問題視した国は米国、英国、フランス、オーストラリアなど伝統的友好国だったことも記憶する必要がある。

 何よりもセヌリ党の核武装論が真剣に受け止められないのは、彼らが核武装を主張しながらも、米国に預けた戦時作戦統制権の返還を要求しないからだ。戦時作戦統制権のない核兵器は、撃発装置のない銃と同じだ。セヌリ党の核武装論を「政略的ジョーク」としてとらえる人が多いのも、そのためだ。

イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:9/13(火) 20:45

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