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ブレイナード理事の利上げ慎重論、9月FOMCの議論誘導か

Bloomberg 9月13日(火)10時29分配信

米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、危機後の金融政策マニフェストと言える立場を打ち出した。利上げが喫緊の課題ではないことを訴えるのが狙いだ。少なくとも今月の連邦公開市場委員会(FOMC)はこれに同調することになるかもしれない。

6月以降、FOMCでは利上げの是非をめぐり議論が先鋭化している。7月開催のFOMCの議事録からは、インフレ率上昇と労働市場のたるみ減少を予想して緩やかな利上げを望む多数派グループに対し、インフレが労働市場の引き締まりに反応している証拠に乏しいとして「その他参加者」のグループが反対する構図が浮き彫りになった。

ブレイナード理事は12日のシカゴでの講演で、インフレや雇用の行き過ぎに対処する必要性は現時点で乏しいとみられるため、利上げを急ぐ理由はないとの認識を示した。この主張は恐らく20、21両日開催のFOMCで説得力を持つことになりそうだ。同理事の講演を最後に、当局者はFOMCを控えて金融政策に関する公の発言を自粛するブラックアウト期間に入る。

ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トーステン・スロック氏(ニューヨーク在勤)は「当局者は皆、性急に行動すれば経済や金融市場を混乱させかねないと懸念している」と述べ、「9月に利上げすると予想する理由は見当たらない」と語った。

ただこれは、ブレイナード理事がFOMCの全参加者を納得させたという意味ではない。経済のたるみの緩やかな減少が、時間をかけてインフレ率を押し上げるとの見通しに確信を持つ当局者もおり、そのシナリオ通りならフェデラルファンド(FF)金利は緩やかに上昇することになる。6月のFOMC経済予測で年末のコアインフレ率が1.7%と見込まれながらも、年内の利上げ回数見通しの中央値が2回となっていたのもこのためだ。

リスクは非対称的

イエレンFRB議長は先月、利上げの論拠が「強まった」と述べ、フィッシャーFRB副議長もインフレ率が当局の目標に「声の届く範囲内」にあると指摘し、両氏は利上げの時期が近づいていることを示唆している。それだけに今月の会合でなぜ行動しないのかという疑問も残るが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のシニア・グローバルエコノミスト、マイケル・ハンソン氏(ニューヨーク在勤)は、FOMCは引き締めについて真剣に議論するだろうが、リスク管理の配慮が依然として優勢になるだろうと指摘。ブレイナード理事の講演は「市場向けというよりも他のFOMCメンバー向けの発言だ」と分析した。

同理事の発言の一部は、性急な利上げによって経済が低成長パターンから抜け出せないようになるリスクの方が、多少の景気過熱を招くリスクよりも大きいとの趣旨だった。同理事は「伝統的な政策手段の非対称性を踏まえると、上振れリスクに備えて先制的に利上げするよりも、下振れリスクの予防に幾分傾いた政策を期待することになる」と述べた。

原題:Brainard’s Argument for No September Hike Likely to Sway Fed(抜粋)

Craig Torres

最終更新:9月13日(火)10時29分

Bloomberg