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JAXA「いぶき」に関するシンポジウム(全文2)三枝信子氏/国立環境研究所

THE PAGE 9月14日(水)19時56分配信 (有料記事)

地球をめぐる温室効果ガス――全球規模での監視の必要性――国立環境研究所/三枝信子氏

三枝:国立環境研究所の三枝です。よろしくお願いいたします。今日は温室効果ガスについてお話をしたいのですけれども、温暖化の原因物質として重要な温室効果ガス。これは、先ほどの開会あいさつでも局長からお話がありましたとおり、地球全体で現在も増え続けています。この図は温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」のデータに基づき、地球全体の大気の平均的な二酸化炭素濃度を算出した結果で、これが2015年の終わりころに、とうとう400ppmを超え、さらに1年に約2.5ppmというこれまでにない早さで、上昇を続けているということを示しています。

 なお、この観測データについては、今日の講演の3番目にあります、国立環境研究所、松永より、詳しい説明があると思いますが、このように地球全体で温室効果ガスが今も速いスピードで増えているということを受けて、私たちは、油井さんのお話にありましたとおり、この薄い大気の中で増え続ける温室効果ガスを減らし、地球に対してどのようなことができるのか、今日は少しの間ですが皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 まず初めに、開会あいさつでもありましたとおり、昨年の秋にパリ協定と言われる、新しい国際枠組みができまして、私たちは温室効果ガスを削減する国際的な計画を、国ごとに持つことになりました。今から必要なことは、これを私たちが世界の人たちと協力してさまざまな削減策を実行し、そして地球規模でその削減策の効果が本当に十分に現れているかどうかを検証し、必要であれば、その計画をまた、見直し、改善していく、こうした取り組みを継続していくことが、大変重要と考えております。

 そこで今日は、初めにごく簡単にこの新しい国際的枠組み、パリ協定の概要について紹介し、続いてこのパリ協定が定めています、長期的な目標、今世紀の後半に、実質的な排出量をゼロに持っていく、これを実際にどういうふうに実行しようというのか、それがどういう目標なのかということを2番目に説明し、3番目に、私が所属します国立環境研究所の地球環境研究センターの研究者らが数多く取り組んでいます、地球上のさまざまな場所で温室効果ガスの観測を行い、その観測データから地表の吸収量、排出量とその変化を検出しよう、こういう取り組みについて紹介したいと思います。

 まず初めに、多くの方はすでにニュースなどで名前を聞かれているかと思いますが、2015年の終わりころにフランスにて、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議が行われ、ここでパリ協定と呼ばれる新しい国際枠組みが採択されました。また先週はアメリカや中国といった重要な温室効果ガスの排出国もこれを批准するといったニュースが流れたとおり、温暖化対策は明らかに次のステージへ入っていると言うことができます。この国際的枠組みについては大変重要な取り組みでありますので、そこに至るまでのさまざまな議論、それからその後の活動などについても、国立環境研究所でもさまざまな解説ですとかニュース記事として情報を公開しておりますので、詳しくはそちらもぜひご覧になっていただければと思います。

 今日はその重要なポイントだけ少しお話しますと、パリ協定がこれまでの京都議定書と異なる点は、国連に参加する先進国のみならず、途上国を含む全ての国の参加を得て、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑える、そのために、今世紀後半には、温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにする、こうした具体的な目標を掲げたことです。しかし、これまで行われた、さまざまな気候の将来予測の研究によりまして、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるためには、現状をかなり上回る、強い排出削減の努力が必要であり、かなりの困難を伴うということがあらかじめ分かっています。

 そして次に、このCOP21に先立ちまして各国は、それぞれの国ごとに目標を計画として作り、国連に提出しているのですが、日本における削減目標は2030年度までに、2013年度比で26%の削減を行うということで、こちらに挙げました図は、縦軸が日本の温室効果ガスの排出量を表しておりまして、こちらが1990年から2014年までは、国立環境研究所にあります、温室効果ガスインベントリオフィスが作りました、部門別の日本における温室効果ガスの年間排出量。そしてここに2030年度目標、2050年度目標をここに挙げましたが、このようなスピードで排出削減を行わなければならないということを表しています。

 ここで部門別の排出量の推移を見ますと、例えばエネルギー・転換、産業、運輸といった部分といったについては、今でも日本における温室効果ガス排出量の多くの割合を占めますが、これらは、それでも過去に比べてわずかながらですけれども、多くの努力によって減少に向かっています。一方、私たちの過程ですとか、私たちが働く会社や事務室のオフィスなどから排出される、そこで消費されるエネルギーに伴う排出量は過去に比べてまだまだ増加を続けているところであり、しかしながら、日本の目標によれば2030年というあと10年少しの間に、家庭やオフィスからの排出量を約40%も削減をすることが必要である、こういう目標を私たちは持っているということになります。

 なおこの40%という数値については、このエネルギー源をどこからつくるか。例えば再生可能エネルギーをどこまで増やせるか、といった議論によってこの値は変化しますが、多くの研究者、関係者の見積もりにより少なくとも3割から4割の削減の必要があるというふうに見積もっているものが多いようです。そしてさらに大変なのはここから先で、この傾きはますます急になり、2050年までには世界の温室効果ガスの排出を8割減らす、こういう目標を今、持っておりますので、ここに向かっていかなければならないという現状にあります。本文:15,575文字 この記事の続きをお読みいただくには、THE PAGE プラスの購入が必要です。

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最終更新:9月14日(水)21時30分

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