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JAXA「いぶき」に関するシンポジウム(全文4)松永恒雄氏/国立環境研究所

THE PAGE 9月14日(水)20時20分配信 (有料記事)

松永:ただ今ご紹介あずかりました国立環境研究所の松永と申します。私のほうからは「いぶき」によって明らかにされた温室効果ガスの動態ということで、10分、15分ほどお話しさせていただきたいと思います。
 まず「いぶき(GOSAT)」の測定原理ですけれども、先ほどのJAXAの中島さんお話でありましたので割愛したいと思いますが、こういったいろんな色の波長の光を採りましてその中で、各元素や気体の種類ごとに対応する波長で追って、吸収がありますので、その吸収の深さを調べることによってどの気体分子がどのくらいの量はあるのかなということを推定いたします。

 これがそのイメージ図ですけれども、「いぶき」の観測の場合にはここでは立柱みたいになっておりますけれども、「いぶき」は円柱に近いイメージになります。円柱の円の直径がだいたい10キロぐらい。それから高さ方向が実質的には高度70キロぐらいまで。で、その10キロ、70キロの間の平均的な二酸化炭素濃度等を「いぶき」は求めております。

 で、実際の「いぶき」データ、もう早速ご覧に入れますけれども、これは2012年の1年間に関東地方、ここに海岸線、書いてあります、東京はこれになりますけれども、実際の観測の例になります。で、この年は全部でCO2の濃度データが140個取れています。今、実際ここに映っている観測点の数というのは、だいたい今見えるところで20個強ぐらいですので、1カ所当たり1年間で7回ぐらい平均的には観測してることになります。

 で、この1個1個の点の大きさというのが、だいたい先ほどお話しした直径10キロに相当しております。で、ここに書いてある色がCO2の濃度に相当していまして、青いところ、真っ青なところでは385ppmぐらい、それからオレンジ色、赤色になっているところで400ppm前後という形になっています。

 で、これは東京付近ですけれども、われわれの中でも東京は重要だということで観測を集中してることもあり、周りの領域で若干データが減るというようなことにもなっております。地域的に見るとこのような観測をしているんですが、では日本全体ではどうなっているかと申しますと、これは、ちょっと年が違くて申し訳ないですけれども、2014年の1年間の「いぶき」のデータです。季節変化等、全て考慮せずに1つにまとめてしまってる図でありますが、こちらのほうに真っ青なところが380ppm、真っ赤になって茶色になってくると410ppmぐらいということで、それから日本の陸域の中でいろんな観測点が散らばっております。

 関東地方は先ほどお話ししたように(※判別できず)出す点数が多いとか。それから東北の南側から西日本、九州ぐらいにかけて赤からオレンジといろいろ多くなっておりますので、400から405ppmぐらいの濃度が観測されております。それに対してこの年はちょっとこのせんじょうになっていますけども、東北の北のほう、それから北海道にかけて比較的濃度が低め、395ppmぐらいとなっております。

 それから海上のほうは、今「いぶき」ではサングリントと呼ばれる海面の日光の照り返しといいますか、鏡面反射の状態でのみ二酸化炭素濃度を計算できますので、特定の角度、特定の場所しか海上では計算することができないんですが、見ていただくとちょっと若干濃度の高いときもありますけれども、ほかは黄色か黄緑色になってますので、390から395ppmということで、ざっくり見ると陸より若干濃度が低いような形になっております。それから韓国であるとか、中国の一部の都市等で濃度の高いところも見えております。

 これは日本の周辺を1年間まとめたのになりますが、こういったデータを使ってわれわれ、基本的には1カ月単位でデータをよく取りまとめております。これは昨年の7月のデータをまとめたものです。1点1点プロットするともう小さくて目に見えなくなりますので、これからお見せする図の場合には、2.5度メッシュ、赤道上で250キロ四方ぐらいにあるデータの値を1カ月分集めてきて、全て平均した形になっております。

 で、北半球の夏に相当しますので、シベリア、それからカナダのほうにある北方の森林の上空ではこれらの森林が活発な光合成を行いますので、濃度が比較的低くなっていて、390を切るぐらいの濃度になっております。

 それに対して北半球の中緯度、赤道、それから南半球にかけてですけれども、黄色から黄緑になっていてロシア、カナダよりも若干濃度が高め、390から400ppmオーバーぐらいのところにまでなっております。これが北半球の夏のタイミングなんですが、次にお見せしますのが9カ月後、今年の4月になります。

 で、今見ていただくとちょっとデータの分布が変わっておりますけれども、北半球の中緯度の北のほうからそれから赤道辺りにかけて色が、黄色と赤が増えております。400から410ppmぐらいの濃度になっております。

 それに対して季節的には夏になる、4月のころ、夏よりも秋ですけれども南半球のほうでは北半球よりも若干濃度が低くて、400から390の間ぐらいの濃度になっております。「いぶき」によるCO2データの空間的な分布、地理的な分布をお話しするとこのようになりますが、次のスライドでは今度は時間方向を見ていきたいと思います。

 これはアメリカとオーストラリア、それぞれの国土、ここで線でくくってますけども、この中で取られた「いぶき」のデータの平均値を1カ月ごとにプロットしたものです。で、青い線がアメリカ、ピンク色の線がオーストラリアになっております。

 で、先に比較的分かりやすいアメリカの例なんですけれども、こういう大きな季節変化をしながらだんだんCO2濃度が上がってきていることが「いぶき」の観測で分かります。で、アメリカの場合のCO2の最低値がだいたい8月ぐらい、それからCO2濃度の最大値が4月、5月ぐらいに起きています。で、そういった季節振動はあるんですけれども、これは基本的にはアメリカの国土の中には非常に森林が広い面積によって広がっているため、その森林の光合成によって夏場はCO2濃度が下がり、それ以降の季節はだんだんCO2濃度が上がっていくということを繰り返してるという形になります。

 それからオーストラリアでは南半球ですので、逆の信号が出てくるか、逆の季節変化が出るかというと出てないこともないんですが、非常に振幅が少なく、何か揺れながら上がってるような傾向があります。これはオーストラリア、南半球であります。国土も広い国ではありますけれども、基本的には森林がそれほど多くはない。東側と熱帯のほうの一部で、国土の大半はやや乾燥して砂漠に近い状況ですので、森林等による吸収というのがあまり顕著に見えてこないと。

 そういった2つの国がありますけれども、どちらも同じようなペースで上がっております。今日の2つ前の三枝さんの講演にもありましたけれども今、地球全体の平均的なCO2濃度が2ppmちょっとのペースで年間増えているというのを反映した形になっております。さらにもう少し細かく見ると、平均的に見るとアメリカのほうがオーストラリアよりも若干濃度が高いような分布にもなっております。本文:16,746文字 この記事の続きをお読みいただくには、THE PAGE プラスの購入が必要です。

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最終更新:9月14日(水)21時29分

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