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JAXA「いぶき」に関するシンポジウム(全文6)パネルディスカッション2

THE PAGE 9月14日(水)20時59分配信 (有料記事)

最近起こっている温暖化の影響について三枝信子氏(国立環境研究所)

三枝:はい、三枝です。ただ今、木原さんから大変迫力のあるお話がありまして、特に台風については2004年の台風というのは私も非常に強烈に覚えています。なぜなら2004年の9月に台風の、私ども国立環境研究所は北海道苫小牧市に森林の観測ステーションがありまして、苫小牧、千歳周辺では広大な唐松林が倒壊しまして、それと一緒に2本の観測タワーも一緒に倒壊したという大変な事象がありましたので、あのとき10個の台風が通過したこと、本当に大きなことでした。

 それで台風とか、台風の予想、気象の予想というのはもう、非常に難しいのですけれども、ちょっとこちらに示しましたのはさらに50年、100年、200年といった、長期の気候変化予測をするときに非常に難しい要素をとして挙げられています温暖化を加速する可能性のある要因のうちいくつかを挙げてみました。

 これ、なぜ挙げたかといいますと、温暖化は今の理論によって予測されますが今、私たちが理解して、理解の範囲を超えたことが起こるかもしれなくて、理解の範囲を超えたようなことがさらに温暖化を加速したり、あるいは逆に減速したりすることもあるのですけれども、重要なのはこれから起こることがさらに温暖化を加速すると、この正のスパイラルに入ってしまいますと温暖化はどんどん加速するという可能性がありますので、特にそういうことをピックアップして地球規模で、地上観測でも衛星観測でもさまざまな手法を使って観測し、その兆候を捉えることが必要であるというようなことで少し、4つほど挙げさせてもらいました。

 まず左上の写真をご覧いただきますと、今日ビデオメッセージでも宇宙飛行士の油井さんからチベット、ヒマラヤの氷河を捉えたいと思ったところ、非常にそれが縮小していてびっくりしたというお話がありましたけれども、これ、たまたま上のほうが北米大陸の山岳の氷河ですけれども、氷河が山岳、あるいは高緯度地帯の氷河、雪氷域が縮小するとどうしてそんなに重要かといいますと、雪氷というのは白っぽいですから太陽の日射を強く反射します。新雪、新しい雪ですと9割近い光のエネルギーを反射してしまうのですけれども、逆に黒い土というのは90%ぐらいの日射のエネルギーを吸収する、そういう性質があります。先ほど木原さんからも黒い車ほど厚いというようなお話がありましたけれども、同じ原理ですね。ですから白っぽい雪氷の面積が地球上で縮小していくということは日射のエネルギーを吸収しやすい地表面の面積がより増えるということで、このスピードが上がることが、温暖化を加速する要因になるということで、雪氷の縮小のスピードというのは非常に重要ですから、地上観測、衛星観測などを併用しまして監視をする必要がある項目の1つです。

 また、左下のところをご覧いただきますと、これに関しまして高緯度地域などで雪氷域の面積が減りますと、地面が今までよりも早く加熱されることになります。その熱は地中に伝わり、こちらにちょっと、これはNASAにより撮影された写真ですけれども、永久凍土の部分が溶け出して、これは水の中にちょっと落っこちていますけれども、土の中で、今までだったら夏でも凍らない土壌の部分というのがあって、そこにかつて土壌の中に、雪氷の中に蓄えられた大量の温室効果ガス、特にメタンなどがありまして、これが今までは土の中に蓄えられたまま推移していたのですが、こうやって溶け出しますと、まず水の中に溶け、そして大気に出ていくということで、こういったことが広域で起こりますと、そして私たちの予想を超えるスピードで起こりますと、温暖化を私たちが予想するスピードを超えて加速する。こういうことが大きく心配されていることです。ですから、「いぶき」はこれからもメタンの濃度などを測ると思いますが、こういったところにも着目しまして、どこかに大きな発生源が発生していないか。こういうことを注意深く監視する必要があると考えます。

 左上のほうは割と自然的な要因による変化なのですが、右のほうになりますと、少し人間活動の影響が加わってきます。例えば右上のところをご覧いただきますとこれはマレーシア、サラワク州でかつて広大な熱帯林地帯だったところが伐採されまして、さまざまな会社や個人の経営者によって、今オイルパーム、あるいはアカシアといった植林がなされているのですが、見渡す限りのオイルパームのプランテーションになっている場所の写真です。

 これはかつて熱帯林だったとき、熱帯林には非常に太い幹に炭素を蓄えた森林などがありまして、そこに蓄えられていた炭素というのは、長い時間で見れば大気と森林の間で炭素は循環しているのですが、そこにとにかく熱帯林としてストックされていた炭素があったわけです。ですけれどもこのように植林しますと、そこにあった、幹に蓄えられていた大量の炭素というのは、その幹が燃焼させられたり分解されたりして、大気に多くの部分、戻っていきますので、大量の炭素のストックを失っているという意味で大気に二酸化炭素を放出した場所ということにもなるわけです。それから右下のところ、ですのでこういうふうに人間活動によって熱帯林が失われていくスピード、こういったところもさまざまな手法によって監視をすべき対象であります。

 最後に右下のところ。これは今日のビデオメッセージの主役であります、油井さんの、宇宙飛行士が宇宙ステーションに滞在しておられたときに、2015年10月にご自身が撮られた画像をTwitterに投稿されたということで、ハザード、ウェブページというところの写真をURLとともに拝借してきたものですが、宇宙から見てもこのように、これはインドネシアですけれども、大量の二酸化炭素などの温室効果ガスが森林火災によって大気中に放出されているということで人間活動、あるいは自然的な要因により、特に熱帯地方などでの森林火災の頻度がこれからどうなるか。温暖化によってそれがもし増加するとすれば、さらにこれは温暖化を加速する要因になるので、こういったことについても森林火災の起こっている面積、そしてこれからは、それによって大気中に放出された炭素の量。これまだ正確に見積もることが大変難しい項目なのですが、そういったところも正確に捉える必要がある。こういったところ4点ですけども例示させていただきました、以上です。

原澤:はい、ありがとうございます。先ほど木原さんのお話でも、気象面でもいろいろ過去に例になかったようなことが起きてる。で、地球規模で見るといろんな影響も過去に例がなかったようなことが起きているというようなことで、先ほど点の観測から面の観測へということで、そういった意味では衛星観測っていうのは非常に優れた性質を持っているんじゃないかと思いますけども、続きまして松永さんに話題提供ということで先ほどの講演を踏まえまして、木原さん、三枝さんのお話を踏まえた上で衛星観測の重要性について、ちょっとお話、追加いただければと思います。本文:16,124文字 この記事の続きをお読みいただくには、THE PAGE プラスの購入が必要です。

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最終更新:9月14日(水)21時27分

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