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<生前退位>「皇室典範特例」政府検討 特別立法

毎日新聞 9月14日(水)7時10分配信

 天皇陛下の生前退位について、政府は今回限りの特別立法での対応を検討するが、憲法との整合性に苦慮しそうだ。憲法2条に、皇位継承は「国会の議決した皇室典範の定めるところにより」規定すると記され、厳格に解釈すれば典範改正が必要だからだ。違憲との指摘を和らげるため特別立法の名称を「皇室典範特例」とし典範に含まれる位置づけとする案も浮上している。

【写真】皇太子さまが即位、第125代天皇に=1989年1月7日撮影

 政府が特別立法を検討するのは、典範を改正するとどういう条件で退位できるかを詳細に規定する必要があるからだ。将来の天皇にも適用される永続的な制度改正となり、議論に時間がかかる。陛下の高齢に配慮し、早ければ来年の通常国会への提出を目指して迅速に対応したい考えだ。憲法との整合性について政府関係者は「特別法も含めて皇室典範だと見なす考え方で構わない。あくまで技術的な問題だ」としている。

 しかし憲法学者の見解は割れる。特に伝統重視の保守派には、憲法2条の「皇室典範の定める」との文言に重きを置き厳格な解釈をとる意見が多い。安倍晋三首相に近い八木秀次・麗沢大教授は特別立法について「法技術的に困難を伴い、立憲主義を壊してしまう」と指摘する。百地章・日大教授は、特別法で対処するには、その根拠規定を典範の付則などに新たに設ける必要があると提唱する。

 このため政府内では、特別立法で対応する際の案の一つとして「典範特例」が浮上している。皇室典範とは別の単なる特別法とするのではなく、典範の一部と位置付ける立法にすれば、合憲性が強まるとの理屈だ。

 一方、憲法2条の「国会の議決」を重視し、単体の特別法で十分可能だとする見解もある。横田耕一・九州大名誉教授は「明治憲法下で天皇が決めていた典範を、法律で決めるというのが現憲法の趣旨」として、特別立法でも矛盾しないとの立場だ。明治憲法とは異なり、現典範は一般の法律と同じ扱いだ。このため、高見勝利・上智大名誉教授は「典範も一般法である以上は、手当てできない部分は特別法で対応することはあり得る」と話す。ただし「法的に望ましいことではない」(横田氏)、「窮余の策」(高見氏)と、本来は典範改正で対応すべきだとしている。

 さらに今回に限り退位を認める特別法は、「特定の個人を対象にした法律ができるのか」(八木氏)との指摘もある。今後、こうした憲法解釈が議論になりそうだ。【野口武則】

最終更新:9月14日(水)11時7分

毎日新聞

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