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スタミナより重要…錦織圭「4大大会制覇」へ足りないもの

日刊ゲンダイDIGITAL 9月14日(水)9時26分配信

 ワウリンカ(31=スイス)の優勝で幕を閉じたテニスの全米オープン。ジョコビッチ(29=セルビア)との頂上決戦に勝って、14年全豪、15年全仏に続いて4大大会3勝目を挙げた。

 錦織圭(26)は準決勝でワウリンカに負けたものの、最新の世界ランクは7位から5位へ浮上したのだが、疲労の色が濃く、ヘロヘロ負けした準決勝の戦いぶりを見ると、4大大会優勝は「まだまだ遠い」と言わざるを得ない。

 気温30度以上で湿度も高い中で行われたワウリンカ戦。錦織は第1セットを奪うも、徐々に運動量が落ちていき、その後は3セットを連取され負けた。試合後は、「疲れて思考能力が低下していた。足がかなり重かった。言い訳にはなるけど、(マリー戦で)5セットやってなかったら、もう少し元気に戦えていたと思う」と言った。

 ワウリンカ戦の前々日は、世界ランク2位で、リオ五輪金メダルのマリー(29)をフルセットの末に破った。3時間58分に及ぶ激闘の疲れが残っていたことは間違いないだろう。だが、4大大会の準々決勝ともなれば、3セットで楽に勝てる相手など残っていない。ベスト8、ベスト4と勝ち進むにつれ、1日置きにランク上位の者と4時間ゲームが当たり前だ。それでもワウリンカは決勝戦でも、豊富な運動量が印象的だった。

■フィジカルトレーナーの視点

「錦織が4大大会に勝つには、次元の違う体の使い方が求められる」と言うのは、フィジカルトレーナーの平山昌弘氏だ。

「全身運動を長く続けるために、最大酸素摂取量を上げるトレーニングや、筋肉そのものの運動能力を上げるトレーニングはあるし、それを否定しません。しかし、アスリートはその前に体を効率よく使いこなすことが重要です。効率がよければ少ない力でたくさん動けるし、疲労も少ない。一流選手は長時間に及ぶ試合でも体のバランスがいい。上半身が股関節、骨盤のどこにのっているかを把握し、無駄な力を使わないからです」

 ワウリンカの片手バックハンドは、腰が深いストロークで切れがある。あれは上半身の力で打っているわけではない。サッカーのメッシやネイマールらも、試合終盤でも脱力した素早い動きで相手選手を抜き、日本選手には真似のできない厳しい体勢からでも正確なシュートを放つ。

「こうした動きはスタミナの問題ではなく、体の使い方を知っているからできるのです。過酷な条件でもワウリンカの運動量が落ちず、トップパフォーマンスを出せたのも同じ理由でしょう」(平山氏)

 錦織は、チャン・コーチとボールを打ってばかりいても、ビッグタイトルは手にできないということだ。

最終更新:9月14日(水)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL