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芸能界で覚せい剤逮捕者も 中国「薬物中毒」事情は体制的腐敗が後押し

ZUU online 9月14日(水)11時10分配信

日本人の中国駐在員が日常生活を送る上において、麻薬中毒者に直接関わるようなことはまずない。ただし噂なら耳にする。例えば山東省・青島市にある不動産会社の2代目が麻薬におぼれているという。開発したショッピングセンターは電気代日本円4000万円相当を滞納中で風前の灯、また建設中のビジネスビルも中断に追い込まれるなど、苦境が伝えられていた。そのプレッシャーから逃れるためのめりこんだらしい。黒社会(暴力団)とのつながりも噂させている。

ところで危険な薬物はどの程度、一般中国人に浸透しているのだろうか。

■中薬と西薬、オモテの薬事情

中国では漢方薬のことを“中葯”と言い、欧米の薬のことを“西葯”という。「中西葯房」という看板を見れば、両方を扱っている薬屋と分かる。また国家統計局の発表する社会消費品小売総額には、「中西薬」という項目があり、一緒にされている。2016年1月~7月の売上は4633億元で前年比△12.3%伸びた。小売総額全体では、△10.2%なので、伸び率は全項目中で4番目の高さ、構成比は2.84%である。正当な“オモテ”の薬も常に高い伸びを示している。さらに爆買いで日本からも大量に買ってくる。

中国人はあらゆることに即効性を求めてやまない。薬を含む医療行為では特にそうだ。風邪を引けば、強力な点滴処方を求める。ある日本人駐在員は糖尿の気があり、中国の病院で薬を処方してもらった。一時帰国したとき日本人医師に、その処方について相談すると、命にかかわる危険なレベルだと警告された。投薬量が日本標準の5倍だったのだ。中国のほとんどの病院エピソードは、過剰投薬を物語っている。中国人は薬に依存する心が強く、副作用に対する警戒感は薄いように見える。

■ウラの薬事情、広範囲に流通か?

“ウラ”の薬事情はどうなのだろう。一般人レベルの話を少し集めてみた。

大都市のナイトクラブでは“揺頭丸”という薬物が流行っている。服用後1~1,5時間で気分がよくなり、どれだけ踊っても(4~6時間)疲れなくなるらしい。中毒性が強く、断ち切るのは難しい。金持ちのボンクラ子弟のイメージだ。また彼らの間では、氷毒(アンフェタミンの1種)、大麻なども用いられ、精力剤として認識されているという。

甘粛省・蘭州市郊外出身の男性は、一昔前の話と断って、遠縁に当たる人間がしばしば実家に阿片を売りに来ていた、という。あるとき帰省していた彼が厳しく拒絶すると、母親から遠縁の者を粗略に扱うな、と逆に叱責されたそうである。彼の印象では、おそらく田舎で行われていることは現在でも大差ないという。

また筆者は北京市内を車で移動していたとき、バイク同士が寄り添って怪しげな黒い袋を交換しているのを見た。スピードを落としているとはいえ、夕闇の迫る中、大変危険な行為だ。同乗していた北京人は、「麻薬の取引だろう。」と推測を述べた。

東南アジアと国境を接する雲南省から全国に流通していることは一般常識のようである。そういえばケシの実入り火鍋料理もごく普通に存在していた。ウラの薬物と一般人との垣根は、かなり低いと言えそうだ。

■当てにならない中毒者統計

中国における2015年の薬物犯罪検挙者は、前年比20%増の106、2万人である。人口10万人当たり78人となり、これは日本の7.8倍に当たるそうだ。また登録依存患者234万人、常習者1800万人という。

中国でネットを見ていると、「中国での薬物中毒者の増加は“不帰の路”を走り、その実数は“始終未知数”である。中国の統計数値は多くの領域で国家機密であり、随時対外公布できるものではない。医学においても医政一体という体制的腐敗の影響は大きい。これが医学の発展的前進を阻害している。医院は利益を最大化するため“真話”つまり薬品には三分の毒があるということを患者に伝えない」などという率直な批判記事が出ていた。つまり薬品過剰投与を起因とする中毒まで含めれば、一体何人の中毒患者がいるか絶対にわからない、ということである。

■芸能界はどこも同じ?

芸能界はどうだろうか。「吸毒明星名単(薬物汚染スター名簿)」が出回っている。覚せい剤で捕まった芸能人名鑑である。1人取り上げてみよう。

尹相杰、男、1969年北京生まれ。歌手、俳優、MC。1990年活動を開始、93年北京電視台の春節祝賀コンサートに歌手として出演、注目を集める。1995年からは俳優として、電視連続劇(連続テレビドラマ)に出演、俳優活動に進出。2008年には歌曲「中国骨気」を作詞するなど多芸であるようだ。風貌は三枚目キャラクターである。

2012年2月12日、非法持有毒品罪で北京市朝陽区人民検察院に起訴される。同月28日、同区人民法院で審理開始。最終的に懲役7カ月、罰金2000元の判決を受けた。尹は控訴せず判決は確定、7月24日に釈放された。ところが同年11月24日、再び逮捕される。尿検査で陰性だった。このときになって初めて10年以上に及ぶ“吸毒歴”を供述している。日本とそっくりである。

市場の大きさ、薬に対するスタンス、田舎の緩んだ治安、統計隠し、などなど薬物問題は中国の方がはるかに深刻そうだ。中毒者の治療はもちろんだが、“体制的腐敗”にもメスを入れなければならないのは言うまでもない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

最終更新:9月14日(水)11時10分

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