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有線でContinuumできるWindows 10 Mobileスマホ「Liquid Jade Primo」

Impress Watch 9月14日(水)6時0分配信

 日本エイサーは8月25日より、Windows 10 Mobile搭載スマートフォン「Liquid Jade Primo」を法人向けに販売開始した。Windows 10スマートフォンの中では数少ない有線接続によるContinuumが可能といった特徴を備えている。

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■ドック、無線マウス/キーボードが同梱のセットモデル

 もともとContinuumで有線接続可能な機種としては、Snapdragon 808/810を搭載したLumia 950と960XLが先行していた。専用のドックがあり、それを含めるとそれなりの価格になったのだが、そこへ割って入ったのが、今回ご紹介する日本エイサーの「Liquid Jade Primo」だ。米Microsoft Storeでは649ドルで販売されており、国外ではそれほど高くはないようだ。

 現在単品販売はなく、本体、ドック、無線マウス/キーボード込みのセットモデルで、なおかつ国内ではダイワボウ情報システムを通しての法人向けのみとなっている。ただ調べてみると一部の量販店でも購入が可能。必要であれば個人ユーザーも手にすることができる。数少ないContinuum有線接続対応機種だけに、個人でも入手ルートがあるのは嬉しい限り。主な仕様は以下の通り。

 SoCはQualcomm Snapdragon 808(MSM8992)。最大2GHzで6コアだ。CPUにARMv8-AのCortex-A57(2コア)+Cortex-A53(4コア)。GPUはAdreno 418の構成で、軽量のメタルヒートパイプにより冷却効率を高め、筐体が熱を持つのを抑えている。国内で何機種か出ているSnapdragon 617搭載機との最大の違いはUSB 3.0に対応していること。これによって有線接続によるContinuumが可能になっている。

 メモリは3GB、ストレージはeMMCで32GBを搭載。加えて最大128GBまでのmicroSDカードスロットも装備。OSはWindows 10 Mobile(TH2)。

 ディスプレイは5.5型AMOLEDで解像度はフルHDの1,080×1,920ドット。一般的にAMOLEDは明るく色域も広いため美しい画面が期待できる。ネットワークはIEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.1+LE。また1つはmicroSDと排他になるが、Nano SIMスロットが2つあり、対応バンドなどは表の通り。LTEのバンドが少なめだが、海外モデルとは異なっており、国内用に調整されている。

 そのほかのインターフェイスは本体側に、USB 3.1 Type-C、マイク、ヘッドフォン出力、モノラルスピーカー、前面約800万画素/背面約2,100万画素カメラ。センサーは、GPS(A-GPS対応)、加速度センサー、照度センサー、近接センサー、ジャイロセンサー、Eコンパスを搭載。もちろんUSB Type-CはOTG(ホスト接続)に対応している。

 ドック側は、USB 3.0×1、USB 2.0×2、HDMI、電源入力を備え、本体のUSB Type-Cを使い合体する仕掛けになっている。USBポートは汎用的に使用でき、Windows 10 Mobileが対応しているキーボード/マウスなどHIDデバイス、ストレージ、USB Audio(ただしClass 1.0)などを接続可能だ。余談になるがRedstone 2ではUSB Audio Class 2.0の再生に対応するようだ。以前NuAns NEOの時に指摘したUSB接続のハイレゾDACやポタアンもこれで使用可能になるだろう。

 本体のサイズは75.9×156.52×8.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約150g。2,870mAhのバッテリを内蔵し、連続待ち受け時間は約400時間、連続通話時間は20時間だ。

 筆者が調べてみた限り、個人で買おうとすると価格は、本体、ドック、マウス/キーボード一式で約10万円前後(税別)だった。正直高い印象を受けるが、LTEバンドの調整や日本語キーボードなど、コストが余計にかかっているだけに仕方ないところか。

 筐体はほぼブラック。見た目は昔ながらのAndroid搭載機っぽい感じで好みが分かれるかもしれない。パネルのフチの左右は狭く、上下が結構広めだ。5.5型ということもあり、iPhone 6 Plusと比べやすいが、重量は約150gと、日頃iPhone 6 Plus/172g(6s Plusは192g)を持っている筆者からすると、若干軽く感じる。厚みは8.4mm。周囲に行くほど薄くなっており、スペック値ほど厚みを感じない。なかなかうまいバランスでまとめられている。

 前面、パネル中央上に約800万画素前面カメラ。ナビゲーションバーはソフトウェア式だ。背面は、中央上に約2,100万画素背面カメラとその横にフラッシュ。下の丸い部分にスピーカーが埋め込まれている。バッテリは内蔵で着脱できない。専用のケースが付属し、前面を開くと自動的にロック解除される仕掛け。色は写真からは分かり辛いが、本体の背面と同じ系統だ。

 5.5型のAMOLEDパネルはとにかく綺麗。最大輝度だとかなり明るく、発色は独特な感じで色域が広く派手で鮮やか。黒が浮かず締まってコントラストが高く、視野角も広い。写真はもちろん動画も十分以上に楽しめる。もちろんタッチの反応も良好だ。これだけで「おっ!」と思ってしまう。

 カメラについては別途まとめているので参考にして欲しいが、サウンドは、スピーカーがモノラル。背面にあり、机の上に置くとメッシュ部分を塞いでしまい音が小さくなる。と言って持っても後ろに抜けるので十分な音量にならない。側面であれば手で反射させるなど方法はあるが、裏となるとそれもあまり効果がない。また最大音量でもパワーが足りず、低域から高域まで取りあえず鳴っている感じだ。

 3.5mmヘッドフォンジャックからの出力はパワーこそあるものの、低域は団子になり、高域はこもり気味。個人差はあると思うが、音楽を聴くにはストレスが溜まりそうだ。パネルが綺麗なだけにこの点は残念。別途USB接続やBluetooth(aptX対応)接続の機器を用意した方が無難だろう。

 付属のドックは専用のACアダプタ(5V/4A)で電源供給を行なう。合体した時の様子は扉の写真を参考にして欲しいが、左側面にHDMIとUSB 3.0、右側面にUSB 2.0×2と電源入力を配置。本体との接続はへこみの奥にあるUSB Type-Cで行なう。充電しつつ、これらのポートが使えるので、本体のバッテリ残を気にせずContinuumを使用可能だ。マウスとキーボードは無線式。それぞれ、単3型電池1本と単4型電池2本を使用する。もちろんこれを使わず、BluetoothやUSB接続で好みのデバイスも接続可能だ。

■Snapdragon 808/3GBでワンランク上の快適さ

 初期設定はWindows 10 Mobile標準なのだが、この貸し出し機は言語が英語/USになっていたため、日本を選び、地域設定をして再起動、その後は、ほかの国内メーカーの端末と同じ動作になる。また、日本語キーボードも組み込まれていなかったため、設定/時刻と言語/キーボードで日本語QWERTYや日本語10キーを追加する必要があった。

 初期設定が終わるとスタート画面が表示される。驚いたことに設定/簡単操作/ハイコントラストがオンの状態が標準だった。さすがに見辛いものの、標準設定を基準として掲載しているので、そのままの状態で使った(物撮りは見栄えのこともありハイコントラストをオフにしている)。

 なお、OSはTH2でビルド「10.0.10586.545」だったが、システムの更新で確認してもWindows 10 Anniversary Updateは未だ配信されていないようだ。

 インストール済みのアプリはWindows 10 Mobile標準のまま。アラーム&クロック、ウォレット、エクスプローラー、カメラ、サポートに問い合わせる、ストア、ストレージ、ニュース、フォト、ボイスレコーダ、ポッドキャスト、マップ、メッセージング1/2、映画&テレビ、設定、天気、電卓、電話1/2、Continuum、Cortana、Excel、Facebook、Get Started、Grooveミュージック、Microsoft Edge、OneDrive、Outlookカレンダー、Outlookメール、People、PowerPoint、Skype、Skypeビデオ、Windowsフィードバック、Word、Xbox。

 SIMスロットが2つある関係で、メッセージングと電話が2つある程度で、特に本機固有のものはない。

 全体的な動きは日頃使っているSnapdragon 617搭載機とは明らかに違い、レンダリングが速く、キレが良く、メモリ3GBなので(例えばEdgeで多めにタブを開いた場合など)余裕もある。さすがに上位SoCといったところ。

 アーキテクチャが異なるので単純比較はできないが、最大クロック2GHz、メモリ3GBぐらいのAtomを搭載したスティックPCよりも動きがいいのではと思うほどだ。

■約2,100万画素背面カメラ

 メインで使う背面カメラは約2,100万画素。4:3で撮影した時、5,344×4,016ピクセルとなる。Exifの情報から絞りはf/2.2、レンズは5mm(35mm換算は不明)だった。光学式の手ぶれ補正機能は搭載していない。

 カメラアプリは標準のまま。機種によって異なる、最大ISO感度とシャッタースピードは、それぞれISO3200、0.6~1/16,000秒。

 設定を見ると、カメラの画像サイズは21MP JPEGに固定だが、ビデオに関しては、3,840x2,160p/30fps、1,920x1,080p/30fps、1,280x720p/30fpsの3パターンが選択可能だ。3,840x2,160はいわゆる4Kとなるが、個人的にはフルHDやHDが60fpsにも対応した方が用途が広がるように思う。

 作例は全てProモード/基本オートで撮影(MFの表記がある写真はマニュアルフォーカス)。実機が来たタイミング的に天候がイマイチだったのが残念だが、いろいろなシーンを撮ってみた。

 まず思ったのはパネルがAMOLEDと言うこともあり、実データより若干明るく、そして派手に見えること。昔のように「PCで観たら地味でアンダーだった……」となるほどではないものの、軽く「あれ!?」と思うかもしれない。

 ホワイトバランスは、似たような構図で同時にNuAns NEOでも撮影しているのだが、本機の方が自然だ(NuAns NEOは青っぽくなるケースがある)。カメラ任せのAWB(オートホワイトバランス)で特に問題ないだろう。

 困ったのはAF(オートフォーカス)だ。これはほかのWindows 10 Mobile搭載機でも指摘しているが、今どきのミドルレンジ~ハイエンド内蔵カメラと思って撮ると、その差に愕然とする。作例でMFになっているのはどうやってもピンが合わず仕方なく……と言ったところ。

 またありがちな“暗めの屋内で今日のご飯的距離”も苦手。秒単位で時間がかかる上、結果合えばまだいいが、場合によってはAF動作を止めてしまう。NuAns NEOではファームウェアがV92になってずいぶん良くなったので、本機もファームウェアのアップデートで良くなる可能性はあるものの、それでも同クラスのAndroid搭載機やiPhoneと比較すると見劣りする。

■有線接続/HDMIによるContinuum対応

 これまでContinuumに関してはSnapdragon 617搭載機でMiracast(Wi-Fi)接続でのみ使っていたが、今回初めて有線接続(HDMI)によるContinuumを体験した。ベースとなるSoCがパワーアップしていることもあり、スクロールにしても画面描画にしても使用感はPCそのもの。多分、何も言わなければPCと勘違いする人も多いだろう。

 また解像度がMiracast(Wi-Fi)接続ではHDだったのに対し、HDMI接続ではフルHDとなり、「少し狭いかも」感がなくなり快適に見渡すことができる。これらの差はかなり大きく、やっとContinuumが実用レベルで使えると言っても過言ではない。

 テスト環境としては、HDMI/ミニD-Sub 15ピンアダプタ経由でディスプレイへ接続、マウス/キーボードは、付属の無線タイプ以外に、USB接続で「ThinkPad トラックポイント・キーボー ド(日本語)」も使ったが、TrackPointも含め正常に動作した。

 ドック経由なので通電しつつ使用でき、バッテリ残の心配もする必要がない。とにかくドックにサクッと入れてContinuum、抜いてスマートフォンへと、思った以上に快適だ。

 ただ現在Continuumは、アプリ作動がフルスクリーンに限定されているため、アプリによって都合が良い場合と悪い場合がある。

 都合が良い場合とは、画面キャプチャで掲載したように、レスポンシブに対応したWebサイト、Excel(Office)、ニュース、Outlookなど、広ければ広いだけ情報量が増すコンテンツやアプリだ。フルHDの画面でPCを使った時と同じなので容易に想像できるだろう。

 逆に都合の悪いのは、レスポンシブ非対応なWebサイトや、Facebook、Twitterなどタイムライン中心のアプリ。左右に大きな空白もしくはメインではないコンテンツが並ぶことになり、広い画面をまったく活かしきれていない。

 さらにシステムとEdgeのUIデザインが悪く、下の隠せないタスクバーに加え、タブ、URLと上に2行、計3行分が非コンテンツエリアとなり、その分、縦が狭くなっている。Chromeブラウザのようなフルスクリーンモードが欲しいところ。

 競合するモバイルOS、Android 7ではマルチウィンドウ、iOSはSplitViewが既に搭載されており、この点は非常に見劣りする。もっともマルチウィンドウに近いはずのWindows直系Windows 10 Mobileがこのような状況では寂しい限りだ。Redstone 2でとは言わず、至急に改善を望みたい。

 最後に簡単なベンチマークテストを行なった。まずバッテリ駆動時間は、明るさ50%(50%でも十分に明るいのには驚いた)、音量50%相当にしてYouTube/Wi-Fi接続で連続再生したところ、約9時間で電源が落ちた。この時、メタルヒートパイプによる冷却が効いているのか、本体上半分がほんのり暖かくなる程度。発熱に関しては、最近触ったスマートフォンの中ではかなり低い方だと言える。

 EdgeでのGoogle Octane 2.0のスコアは7,044。Snapdragon 617搭載の「MADOSMA Q601」で3,942、Atom x5-Z8350搭載の「Endeavor TN21E(2in1)」で6,759、Atom x7-Z8700搭載の「Surface 3」で8,190(ただしTH2のEdgeではなく、Anniversary UpdateのEdge)と、Atom x5クラスと同等以上のスコアを叩き出した(レンダリングエンジンが異なるので参考値となるがiPhone 6 Plus/Safariで7,691)。

 なるほど、スマートフォン時はもちろん、Continuum時にEdgeでいろいろなWebサイトを見ていたが、普通にPCを操作する感覚と変わらないはずだ。こうなるとさらに上位のSnapdragon 810や820を搭載した「Lumia 950XL」や「HP Elite x3」のスコア/使用感も気になる。

 以上のように、「Liquid Jade Primo」は有線によるHDMI接続でのContinuumも快適に操作可能。外ではスマートフォン、室内では(使用アプリにもよるが)PCの替わりに運用できるハイエンドクラスのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンだ。

 画面は非常に美しいものの、カメラはAFが弱く、サウンドがいまいちなのは残念な部分。そう言った意味ではやはりパーソナル用途には向いておらず、従来通りビジネスユーザーに向いた1台と言えよう。

PC Watch,西川 和久

最終更新:9月14日(水)11時45分

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