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壁は「106万円」から「130万円」へ 配偶者控除が「夫婦」になると何が変わるのか

ZUU online 9/14(水) 18:10配信

今年の法改正で新たにできると話題になっている「106万円の壁」。配偶者が扶養の範囲で働いているという男性は特に要注意だ。

国は配偶者控除を含めた所得税改革の具体的な方向性を、2017年にも見直すための検討に入っている。現在の配偶者控除は妻の年収が103万円を超えると適用されなくなる。配偶者控除は廃止し、夫婦であれば誰でも控除が受けられる「夫婦控除」に転換し、女性の社会進出を促す方向で検討している。

改正の背景にあるのは、高齢化社会、女性の社会進出の活性化だ。配偶者控除を意識して女性が就労時間を抑えるケースが目立つため、働きやすい制度に改めて共働きの子育て世帯を後押しすること、これから増えるであろう子どもにかかる教育費なども準備し、マイホームの購入や既に購入している人は繰り上げ返済なども検討できるかもしれない。

高齢社会を迎えるにあたり老後のためにも収入を増やさなければいけないという国の指針が背景となっているようだ。しっかりと働いて収入アップを目指し、更に有利に仕事をしていけるように、自分の生活スタイルを考えながら検討することを考慮した改正となっているのだ。妻が扶養の範囲内で働いている人というにはいい改正ではないが、共働き世帯には有利になるかもしれないのだ。

■配偶者控除と異なる夫婦控除

政府は、専業主婦やパートの妻がいる世帯の所得税と個人住民税を軽くする「配偶者控除」を見直す検討をしている。このかわりに、妻の収入にかかわらず一定額を夫の所得から差し引く「夫婦控除」を導入するようだ。これは「配偶者控除」とは異なり、夫婦で子育てをする人に対しての優遇策を検討しているのだ。

配偶者控除が認められる配偶者には、その年の12月31日の時点でいくつかの条件がある。まず民法規定の配偶者であるということ。「内縁の妻」など正式に籍を入れていない場合、配偶者としては認められないことになる。

配偶者控除の控除額は38万円である。またその年12月31日現在の年齢が70歳以上の控除対象となる配偶者は48万円の控除額となる。

所得は、給料から給与所得控除額を引いた金額だ。
したがって、ここでいう38万円とは配偶者の給料が基礎控除額38万円+給与所得控除額65万円=103万円以下であることを示している。よく、扶養の範囲の質問をうけるが収入が103万円、給与所得控除65万円。そして、103万円-65万円=38万円が所得という意味である。
そして、基礎控除により所得ゼロという考え方である。今後改正をうけてもこの計算式が頭にあれば扶養の年収範囲というものをわかるはずだ。

■大規模企業でパートをしている方は要注意

現在はパートでも週30時間労働をされている人は厚生年金に加入することになっているが、2016年の10月からは以下のような条件となる(ただし学生は対象外)。

(1) 週20時間以上労働
(2) 年収106万円以上
(3) 勤務期間1年以上
(4) 501人以上の従業員のいる企業

(4)について見てみよう。従業員全員ではなく、元々の基準で社会保険の加入者が501人以上ということである。支店やお店などがいくつもあるような会社の場合、それぞれの事業所単位で見るのではなく、その会社の全ての事業所の人数で判断するのだ。

この基準を全て満たす場合は、厚生年金へ加入しなくてはならなくなるのだ。「130万円の壁」ではなくなり、新たに「106万円の壁」になる人が出てくるということである。
この改正で最も影響を受けるとみられるのが、夫の扶養内でパートをしている主婦だ。手取り額をふやし扶養の範囲内で働きたい奥さんには必ず一言、改正のお話をしてみるのもよいだろう。知らないでいたら損することになるかもしれない。

■次なる壁「年収130万円」

次なる壁として意識しておきたいのが「年収130万円の壁」である。

これは、社会保険料の負担の面から考える必要がある。社会保険料とは、健康保険や国民年金保険料、厚生年金保険料などのこと。配偶者の年収が130万円以下の場合は、夫の扶養範囲になるので、妻が社会保険料を負担する必要はありません。負担はなくても、健康保険は夫の健康保険組合に「扶養家族」として加入することができ、国民年金は夫の厚生年金・共済年金の「第3号被保険者」となることができる。

健康保険や厚生年金保険の保険料や保険給付の算定に使われる標準報酬月額というもので見るのだ。ここでの改正は、この標準報酬月額というものが8万8000円以上あるかどうかで判断しているのだ。8万8000円には残業代や交通費、皆勤手当などは含まれないのである。2つ以上掛け持ちしている場合、106万円の壁は合算せず勤務先ごとで見るのである。

女性の社会進出を後押しすることも国の政策であるが、子育てをしながら手取り額を多くもらいたい人は、扶養の範囲をきちんと把握したい。

眞喜屋朱里

最終更新:9/14(水) 18:10

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