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長野県総合教育会議、条例テーマに初議論 条例を評価、地域の連携にも言及

産経新聞 9月14日(水)7時55分配信

 阿部守一知事と県教育委員が教育施策について協議する今年度2回目の県総合教育会議が13日、県庁で開かれ、7月に施行された子供を性被害から守るための条例をめぐる課題について議論した。同会議でこの問題を取り上げるのは初めて。教育委員側からは条例制定を評価する声が相次ぐ一方、学校現場における教育のあり方や、地域との連携に本腰を入れた取り組みの必要性を指摘する意見も噴出した。

 会議では、耳塚寛明委員(お茶の水女子大学教授)が「長野県の伝統を最大限生かした、評価されるべき条例だ」と強調し「子供たちを守る仕組みがなければ、被害に歯止めがかからない時代ということであり、学校外の専門家と連携した予防の取り組みが重要だ」と指摘した。

 条例については矢島宏美委員(NPO法人CAPながの代表)も「これまで子供への性暴力は完全に沈黙されてきた。条例制定をめぐる議論が行われたことで周囲にこの問題を話せるようになった」と評価し、大人が目をそらしてきた子供への性被害が蔓延(まんえん)する実態を説明した。平林尚武委員(元高校教員)は「社会の流動性が高まり、長野県だけで問題解決できない状況にある」と制定に賛意を示した。

 会議ではまた、条例施行後に県教委と県県民文化部が産婦人科医や臨床心理士ら専門家に共同で聞き取り調査した結果が公表された。

 教育の充実をめぐっては、中学生で妊娠しトラブルに巻き込まれる事例があり、義務教育からの教育が求められる▽小中学生への性教育では学校によってかなりの差がある▽学校では性教育と道徳を重ねていくことが必要となる-などと課題が提示された。

 これに対し荻原健司委員(北野建設スキー部ゼネラルマネジャー)は「子供たちを性被害から守るには、性教育だけでなく『命の教育』が必要になるのではないか」と問題提起した。学校で動物を飼っている事例を挙げつつ、子供たちが妊娠や出産に関して自然に学んでいくような幅広い教育の大切さを訴えた。

 これらの意見について阿部知事は「基本的に同感だ」としたうえで「県独自のスタンスで子供たちに命の大切さを教えるのは重要であり、教育委員会の中で具現化してほしい」と事務局に検討を指示した。

 阿部知事はまた、条例に盛り込まなかった加害者の更生に言及し、国に再犯防止策の強化を要望する考えを明らかにした。

最終更新:9月14日(水)7時55分

産経新聞