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<台風10号>観光農園再開へ光 道路復旧、激励受け 岩手

毎日新聞 9月14日(水)13時4分配信

 台風10号による豪雨被害で、岩手県岩泉町では最大で約1100人が孤立状態になった。これまでに5世帯9人まで解消したが、家屋が損壊したり、唯一の交通手段である車を失ったりした住民は多く、元の生活に戻るには少なくとも数カ月はかかりそうだ。町南部の鼠入(そいり)地区に住む川上健治さん(65)もその一人。約40年にわたり愛情を注いできた観光農園のブルーベリー畑が甚大な被害を受け、不安の日々を送っている。

 「辞めないといけないかもなあ」。川上さんは9世帯からなる甲地(かっち)集落から今月4日、自衛隊のヘリコプターで救出された。被災のショックは大きく、臨時避難所となった竜泉洞温泉ホテル(同町)でも所在なげで、記者が声をかけると絞り出すような声で窮状を語った。

 標高約600メートルにある川上さん宅は、冷涼な気候でブルーベリー栽培に適し、収穫シーズンの7月下旬~9月末は例年約1000人の観光客でにぎわってきた。東日本大震災の影響で客足は一時半分まで落ち込んだが、ようやく元の水準に戻ってきたところで、今回の水害に襲われた。

 台風が接近した8月30日午後5時半ごろ、自宅脇を流れる幅3メートルほどの鼠入川の水かさが一気に増え、物置として使っていた自宅1階に水が流れ込んだ。同居する母親と居住スペースの2階にいた川上さんは「流されるかも」と危険を感じ、少しでも高い場所にと近くの車庫へ駆け込んだ。約3時間、水が引くまでじっと耐えた。

 夜が明けると、物置に置いていた耕運機などの農機具は泥まみれになり、自宅は基礎部分がえぐり取られていた。壁には床から約90センチの高さに水の跡があった。自宅に隣接する約1ヘクタールのブルーベリー畑では、約2000株のうち15%ほどが流されたり泥をかぶっていたりした。客も使う川沿いの町道は断たれ、今季の営業は絶望的。「廃業」の2字が頭をよぎった。

 希望の光が差したのは12日。町道の復旧は今月末以降になりそうだが、なんとか迂回(うかい)路が使えるようになった。来年、営業を再開するためには、雪が降る前の剪定(せんてい)が不可欠。「何とか間に合うかもしれない」と胸をなで下ろした。

 数十年来の客が「大丈夫か」「生きてっか」と心配して電話をくれるのも励みになっている。「お客さんがあってこその畑だからね」。ようやく笑顔を見せた。【山中宏之】

最終更新:9月14日(水)15時18分

毎日新聞

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