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【レスリング】伊調馨、沙保里に続く国民栄誉賞「それでも同等と思ってない」

スポーツ報知 9月14日(水)6時7分配信

 政府は13日の閣議で、リオデジャネイロ五輪のレスリング女子58キロ級で金メダルを獲得し、五輪の女子史上初の4連覇を果たした伊調馨(32)=ALSOK=に国民栄誉賞を授与することを決めた。都内で会見した伊調は2012年に受賞した吉田沙保里(33)に次ぐレスリング界2人目の快挙に「それでも同等と思ってない」と偉大な先輩を改めて称賛。2年前に他界した母・トシさん(享年65)にも感謝の念を示した。

 左胸に黄色と紫色のコサージュを飾り、華やかな装いで登場した伊調は「信じられない気持ちが大きい」と受賞の喜びを述べた。そして、これまでのレスリング人生をかみ締めるように感謝の言葉を繰り返した。

 4年前に国民栄誉賞を受賞した吉田に触れ、「沙保里さんと同じ国民栄誉賞をもらったが、それでも同等とは思っていない。尊敬する先輩」と真顔で語った。かつての「霊長類最強女子」とは階級や年齢が近く、長年、比較されてきた。リオ五輪の女子代表6人のうち、東京を拠点とする伊調以外、吉田ら5人は愛知で活動したが「沙保里さんにすごく気にかけてもらった」と疎外感を抱くことはなかった。真剣勝負の練習場ではライバルだが、「沙保里さんがいなかったら私もレスリングにここまで打ち込めなかった。本当に感謝しなければいけない」と胸の内を明かした。

 もう1人、2年前に他界した母・トシさんへの言葉も忘れなかった。残り3秒の逆転劇で勝利したリオ五輪決勝では、試合中に母の顔が脳裏に浮かんだ。「母に(喜びを)伝えたい気持ちがある」と答えつつ、「母は『死んだ人間に感謝するのではなく、生きてる人間に感謝しろ』と言いそうな気がする」と天国の母の心境を想像した。

 レスリング人生を「まだ通過点」と表した女王。東京五輪でのV5へ「挑戦してみたいという気持ちになることもある」と意欲を示したが、「けがの状態もあるし、いろいろな選択肢の中で時間をかけて考える」と現役続行の判断はしばらく封印するつもりだ。

 100万円相当と言われる副賞は着物を希望。“アラサー”の真っただ中の伊調は「世界に出る機会も増えるし、日本女性の誇りである和装文化を伝えたいとこの年になって思うようになった。おねだりできたらと思います」。強く、しなやかな戦士はこの日ばかりは笑みが絶えなかった。

 ◆国民栄誉賞とは

 広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった人物、団体の栄誉をたたえることを目的とする賞。1977年の福田赳夫首相在任時に創設された。内閣総理大臣による表彰のひとつで、民間有識者の意見を聞いた上で決定する。同年9月にプロ野球・元巨人軍の王貞治さんが初めて受賞。これまでにスポーツ、文化、芸能関係者22人と1団体(2011年サッカー女子W杯日本代表チーム)が受賞している。

 ◆伊調 馨(いちょう・かおり)1984年6月13日、青森県生まれ。32歳。中京女大(現・至学館大)出身。姉・千春さんの影響で3歳からレスリングを始める。2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン、16年リオで五輪全競技を通じて女子史上初の4連覇を達成。世界選手権10度優勝。03年3月から16年1月まで個人、団体を合わせ189連勝(不戦敗を除く)。身長166センチ。

最終更新:9月14日(水)8時14分

スポーツ報知