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レフェリーは一方通行の出口に立つ…反則はとるもの?防ぐもの?

スポニチアネックス 9月14日(水)9時10分配信

 【鈴木誠治の我田引用】女勝負師のスゥちゃんが、カンカンに怒って言った。

 「一方通行の出口で捕まった!」

 正確には、左折はいいけど右折は禁止の“一方通行”だったらしい。当然、進入禁止の標識は、なし。待ち構える警察官は、曲がらないと見えない位置にいたと言う。その警察官は、右折禁止を告知する標識が10メートル手前にあると言ったそうだ。

 「あの標識は、一見しただけじゃ、分からないよ…」

 罰金と点数を取られたスゥちゃんは、怒りを抑えきれずに付け加えた。

 「毎週金曜日に、同じ場所で網、張ってるらしいよ。トラップやろ!って言ったら、真顔で、違いますだって。悔しいけど、わたしの負け!」

 ラグビーのレフェリーは「一方通行の出口」に立つ。(中略)反則をさせないために声をかける。そうすることで、反則の数を減らそうとする。

 静かに言ったのは、ラグビー好きのランコだ。

 「これをプリベントと言うの。予防するという意味らしいわ」

 ラグビーのレフェリーが書いた「ラグビーをひもとく」(李スンイル著、集英社新書)に書いてあったそうだ。プリベントは他のスポーツにはない考え方だと説く。同じ一方通行の出口に立っていても、違反を摘発するためと防ぐためとでは、発想が正反対だ。

 サッカーのW杯アジア最終予選で、そのレフェリーが話題になった。9月1日のUAE戦で、ゴールラインを越えたシュートをゴールと認められなかった。9月6日のタイ戦は、3年前に日本のクラブから後半だけでPKを4本もとったレフェリーが主審を務めた。レフェリングと勝敗との関係はわからないが、いずれにしても、レフェリーが目立つ試合に好ゲームはない。

 「いいレフェリーは、反則をポケットにしまうことができるそうよ。レフェリーの目的はアドバンテージを使ってゲームを継続させることで、反則をとることではないんだって。そういうところが、好きなのよね」

 ランコがいたずらっぽく笑った。

 「ま、ラグビーに限らず、そうじゃないレフェリーもいるし、こそこそ反則したり、文句ばかり言う選手もいる。理想通りに動けない人間の姿を見るのも、楽しいけどね」

 ランコは、ただ、純粋なだけのラグビーファンではないようだ。にやりとしたスゥちゃんは、こう応じた。

 「バクチにレフェリーなんか、いないから。イカサマは自分で見抜くしかない。見抜けなかったら、負けなのよ」

 ◆鈴木 誠治(すずき・せいじ)1966年、静岡県浜松市生まれ。立大卒。ボクシング、ラグビー、サッカー、五輪を担当。軟式野球をしていたが、ボクシングおたくとしてスポニチに入社し、現在はバドミントンに熱中。

最終更新:9月14日(水)9時10分

スポニチアネックス