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<相模原殺傷>市などに不十分な対応 厚労省チーム中間報告

毎日新聞 9月14日(水)20時17分配信

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件で、再発防止策を検討していた厚生労働省の検証チームは14日、中間報告書を公表し、殺人容疑で逮捕された植松聖容疑者(26)を措置入院させた病院と市が連係不足で、退院後に必要な医療やケアなどの支援計画を検討しないまま、退院させていたことを明らかにした。こうした不十分な対応は他の自治体、病院でもありうるとの指摘を受け、厚労省は、退院後も患者が確実に医療や福祉を受けられるよう制度改正し、自治体が実施すべき支援策を明確化する方針だ。

 検証チームは座長の山本輝之・成城大法学部教授ら有識者で構成。措置入院先の北里大学東病院(相模原市)や相模原市、植松容疑者の両親らから聞き取りなどを行った。

 植松容疑者は事件前の今年2月、精神障害によって他人に危害を加える恐れがあるとして、措置入院の措置が取られ、その後「大麻精神病」などと診断された。報告書は、院内に薬物使用に関する精神障害に詳しい医者がおらず、外部の医師に意見を求めることもしなかったため、大麻など薬の再使用を防止するための治療や退院後の通院時の対応も不十分だったと指摘。また、他の精神障害の可能性を考えず、生活歴の把握や心理検査を実施しなかったことを問題視した。

 措置解除時には、症状が消え、入院の必要がなくなったことを市に伝えるため、病院が提出した「症状消退届」で二つの不備があった。医師は容疑者の退院後の住所について「(他市に住む)家族と同居」と記載したが、病院側と両親の理解に食い違いがあり、両親は同居を意識していなかった。このため同居を前提に退院させたにもかかわらず、実際は1人暮らしをすることになった。また大麻を再使用するリスクがあるのに退院後の支援策を検討せず、「届」の訪問指導や福祉サービスを書き込む欄が空白になっていた。

 市も、届の空欄の理由を病院側に問い合わせず「市外居住」のため支援対象外とした。精神保健福祉法は、自治体に精神障害者の支援を義務づけており、報告書はこうした市の対応は「不十分」と結論づけた。

 厚労省は、再発防止に向け、患者の入院中から、自治体が退院支援に関わる制度を作る方針。また、相模原市が個人情報保護を理由に、転居先とされた自治体に退院の事実を伝えていなかった点も踏まえ、自治体間の情報共有の仕組みも検討する。

 一方、措置入院を判断した医師の一人が、他人の報告書を流用して指定医の資格を取得した問題について「措置入院制度に対する信頼を損ね、重大な問題」と指摘したが、入院の判断自体には問題はなかったとした。【熊谷豪】

 ◇ことば【措置入院】

 警察官や検察官、市民らの通報を受け、2人以上の指定医が「精神疾患のため自傷他害の恐れがある」と診断した人に対し、都道府県知事や政令市長が精神保健福祉法に基づき本人の同意なく強制的に入院を命じることができる行政措置。措置解除は指定医1人の判断で可能。解除後は退院して通院するほか、本人や家族の同意で入院を続けることもできる。

最終更新:9月15日(木)0時22分

毎日新聞

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