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海外の学生、安全確保は大学の責任!?危機管理研修、渡航願提出…私的旅行もフォロー

産経新聞 9月14日(水)14時49分配信

 海外でテロが相次いでいることを受け、国内の大学が海外渡航中の学生の安全確保を本格化させている。専門家を招いた危機管理研修を開催したり、突発事案に対応する専門機関と契約したりしているのだが、近年の特徴は留学だけでなく、海外旅行する学生にも指導やケアを広げている点だ。専門家は「海外での学生の安全を確保するのは、もはや大学の務めといっても過言ではない時代」としている。(佐藤祐介)

 「凶器を向けられたら、相手の要求には絶対に逆らわないで」

 7月、関西学院大(兵庫県西宮市)で行われた留学予定者向けの危機管理研修。元警察大学校教授の出宮(でみや)良平氏が学生約350人に語りかけた。

 研修は1時間半。学生の留学先として人気がある国・地域の治安情勢を紹介した後、強盗やテロに遭遇した場合の対処法を指導。「夜暗くなってから一人で出歩かない」「バッグは背負ったりせず前で持つ」「襲撃に巻き込まれたら建物の陰に隠れる」などと具体的な対応が示され、仏リヨンに留学予定の3年、山口紘央さん(21)は「具体的な対策を何も知らなかったので勉強になった。自分で自分を守る意識を強く持った」と話した。

 関学大では毎年約1100人の学生が留学や旅行、ボランティアなどで海外に渡航する。このため海外でのテロ多発を受けて5月、学長の下に緊急対策本部を設置。危機管理支援を手がけるアシスタント会社「日本エマージェンシーアシスタンス」(東京都文京区)と契約も交わし、海外滞在中の学生が24時間いつでも連絡できる窓口を設けた。

 外交官出身の神余(しんよ)隆博副学長は「国際情勢が悪化する中、留学する学生やその保護者の不安は高まっており、予防策を徹底する必要がある」と話す。

 こうした取り組みは、全国的に拡大している。関西外国語大(大阪府枚方市)でも6月、留学を検討する学生約240人に卒業者の外務省職員が講演した。

 一方、上智大(東京都千代田区)では、海外に渡航する学生全員に、NPO法人「海外留学生安全対策協議会」(JCSOS)が提供する危機管理サービスへの加入を義務づけている。海外で事件に巻き込まれたり事故に遭ったりした際、同協議会が提携している、危機管理マネジメントを行うアシスタント会社が24時間態勢で対応にあたるもので、グローバル教育推進室の佐藤和美室長は「学生の危機管理は本学の最重要課題」と話す。

 また、今年4月に発足した日本大危機管理学部(東京都世田谷区)では、学生が海外留学したり旅行したりする場合、事前に渡航スケジュールや宿泊先、渡航中の連絡先などを記した渡航願を提出することを求めているという。

 日本学生支援機構によると、日本人の海外留学生は統計を取り始めた平成16年度以降、ほぼ毎年右肩上がりで増加。平成26年度は8万1219人で、前年度からの1年間だけで1万1350人も増えている。

 日大の福田充教授(危機管理学)によると、留学生の増加の背景には、国際経験豊かな人材を輩出することが大学の実績になり、学生数の確保にもつながると考える大学が増えていることがあるという。

 福田教授は「私的な旅行で学生が事件・事故に遭っても、大学は説明責任を求められる傾向にある。大学は海外でのリスクを学生が日本にいるうちに把握して伝えることが重要で、大学の危機管理能力の向上が早急に求められる」としている。

最終更新:9月14日(水)16時9分

産経新聞

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