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<全人代>建国後初の大規模な選挙違反

毎日新聞 9月14日(水)21時40分配信

 【北京・河津啓介】中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)で建国後初の大規模な選挙違反事件が摘発され、反腐敗運動のメスが新たな「聖域」に入った。李克強首相のお膝元である東北部の遼寧省で2013年1月に実施された代表選が舞台。中国では北京や上海と同格の天津市のトップなど地方幹部の摘発と後任人事発表が続く。指導部人事を決める来年秋の党大会に向けた前哨戦が激しくなっているとの観測もある。

 全人代常務委員会は13日、遼寧省人民代表大会(地方議会)が選出した代表(国会議員)102人のうち、半数近い45人が金銭を渡して投票を依頼したとして当選無効にした。投票した省代表(地方議員)619人のうち523人も金銭を受け取ったとして辞職、解任になり、省ぐるみの買収事件が明るみに出た。今回摘発された45人の大半は省経済を支える大企業トップたちで、総額400万元(約6000万円)以上を買収に使った代表もいたという。

 中国メディア「財新網」によると、中国共産党中央が約半年前から遼寧省に調査チームを派遣しており、省の幹部、元幹部が相次いで処分されていた。今年3月には、13年1月当時に省トップだった王※・前省党委員会書記が、党中央規律検査委員会の調査を受けていることが公表され、4月に全人代代表を辞職。8月には党籍を剥奪されていた。その際の処分理由の一つに「選挙の買収問題で、指導者責任と直接の責任を負う」と責任を問われていた。

 遼寧省では、李首相が04~07年に党委書記を務め、05年からは省人代常務委員会主任を兼務した。45人に先だって摘発された王※氏は江沢民元国家主席と近いとされる党中央委員であり、指導部人事にも一定の影響を及ぼしそうだ。

 習近平指導部としては、党を支える全人代代表の大規模な不正にメスを入れたことで、反腐敗運動に聖域がないことを知らしめた形だ。インターネット上では「遼寧省だけの問題なのか。全国調査をすべきだ」との声も上がっている。ただ、全人代代表の7割は党員であり、大規模な摘発が続けば、地方の党組織が機能不全に陥る恐れもある。

 反腐敗運動では、今月10日に天津市の黄興国・党委員会書記代理(61)=市長兼務=が「重大な規律違反」で調査されていることが公表された。黄氏は習氏の元部下。習氏と近い党高官の初摘発として注目されている。また、黄氏の失脚を受けて、空席だった党委書記に、江沢民元国家主席に近いとされる李鴻忠・湖北省党委書記(60)が就任した。李氏は習氏を「核心」と表現して忠誠を誓ったことでも知られる。次の党大会では政治局委員以上に昇格する可能性があり、指導部人事を巡る複雑な駆け引きがうかがえる。

 さらに8月以降、湖南、雲南、安徽(あんき)の各省と、新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの自治区のトップ人事が発令された。うち陳全国・新疆ウイグル自治区党委書記(60)は李首相の腹心とされ、格の高いウイグル自治区のトップに抜てきされたことで政治局入りが有力視されている。

※は王へんに「民」

 ◇全人代

 中国憲法で「最高の国家権力機関」と位置づけられる。国会議員にあたる代表は、省などの地方と軍、少数民族から選ばれる。任期は5年。憲法の改正や国家主席の選出、国家予算の決定などを行う。全体会議は毎年3月に10日前後と極端に短く、実質的には常務委員会が職権を代行する。かつて党の決定を追認するだけの「ゴム印」と呼ばれたが、最近は政府提案の議案に大量の批判票が出るなど意識改革が進む。

最終更新:9月15日(木)0時33分

毎日新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。