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<防衛相>15日から米と南スーダン訪問 視察で実績作り

毎日新聞 9月14日(水)22時18分配信

 防衛省は14日、稲田朋美防衛相が15~18日、米国と南スーダンを訪問すると発表した。稲田氏は就任以来、国内外で視察を頻繁に実施している。8月の内閣改造では外交・安保が専門外だった稲田氏の防衛相起用が目玉となっただけに、現場の実情を把握して経験の少なさをカバーする狙いもありそうだ。一方で保守色の強い持論は封印し、安全運転に徹している。

 稲田氏は15日(日本時間16日)、ワシントンでカーター国防長官との就任後初の会談に臨み、核実験を強行した北朝鮮や海洋進出を強める中国など地域情勢について意見を交わす。17日(日本時間同)には、南スーダンの首都ジュバを訪れ、国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊を視察し、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの新たな任務を付与する判断材料にする。

 訪問日程は1週間を予定していたが、北朝鮮の核実験で14日に参院外交防衛委員会での閉会中審査が入り、短縮した。同委で質問に立った民進党の大野元裕氏から「当初、委員会に出席せず外遊しようとした危機感のなさは理解できない」と批判され、「緊張感を持って職務にまい進したい」と答弁した。

 安倍晋三首相の稲田氏起用は、苦手分野でも経験を積ませ、将来の首相候補として育てる狙いがあるとみられる。ただ、防衛省は軍事技術や防衛装備など専門性の高い政策判断を迫られるため、歴代の防衛相は石破茂氏や中谷元氏ら自民党防衛族が多かった。稲田氏は周辺に「防衛相という立場で失敗はできない」と語っている。

 稲田氏は8月に海賊対処活動に従事する自衛隊部隊がいるアフリカ東部・ジブチを訪れたほか、国内でも石川県小松市や神奈川県横須賀市、長崎県佐世保市などを視察した。

 一方、就任後は歴史認識や核保有の検討についての持論を封印。衆院初当選翌年の2006年に、A級戦犯を裁いた東京裁判の不当性を主張する「伝統と創造の会」を有志議員と結成した稲田氏だが、これまで欠かさなかった8月15日の終戦記念日の靖国神社への参拝を見送った。かつて検討の必要性について発言した核保有についても、就任後は「現時点で核保有はあり得ず、検討する必要もない」と説明している。

 さらに、11年には竹島に近い韓国・鬱陵島視察のために訪韓を計画し、韓国政府から入国を拒否されたが、就任後は韓国との安全保障協力強化に強い意欲を示してきた。今後は中国や韓国など海外にも広がる「強硬な保守派の論客」とのイメージを払拭(ふっしょく)できるかが鍵となりそうだ。【村尾哲、影山哲也】

最終更新:9月15日(木)10時40分

毎日新聞